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281. 魔王討伐に向かう俺10
ケルベロス戦の前に作戦会議をしたおかげで、実際の戦闘は思ったよりもあっけなく、スムーズに勝ててしまった。
この攻撃が来たら各自防御陣を張ってダメージを軽減する、この攻撃が来たら祈りを発動、この攻撃が来たら…立ち位置は…と、真面目に相談した成果が出ていた。
ケルベロスは当然、Sランク魔獣の中でも上位の個体である。
ボスの広間に入った時には威圧感があったし、自己紹介をされた時にも、油断ならない強そうな雰囲気はしていた。
それを楽に倒せたことで、ミカエル達には自信がついた。
「ダンジョンを抜けた先の沼地は、ケルベロスクラスの魔獣が普通にいるみたいだ」
「えぇ…あのボスみたいなのが、ごろごろいるんですか?」
「大きい個体が散在しているらしいね、メモによると」
「うわぁ。戦利品いっぱい手に入る!って、素直に喜ぶべきか、迷っちゃうなぁ」
バージルとアベルの会話を聞きながら、ミカエル達は忘れ物がないかを確認しつつ、ボスの間を出て先へと進んだ。
少しずつ、瘴気が濃くなっていることを感じる。
視界が暗くなってきており、常時黒い靄がそこら中に漂っているのが見えるようになってきた。
今のところ、神器を持っている皆に異常は見られない。
馬も、大丈夫そうだった。
聖女もふてくされた様子は変わらないものの、大人しくついて来ている。
仲が良いはずの聖女とご友人は、朝から目も合わさず挨拶も交わさない所から、昨日喧嘩でもしたのかと思ったが、ご友人の機嫌は悪くなさそうで、よくわからなかった。
神殿のようなダンジョンの終わりは、上へと続く石段だった。
「え…っく、くさ…っくっさー…!なにここぉ!?」
石段を上がる前から薄々漂ってきていた悪臭の原因は、上りきって広がる景色にあった。
枯れた木々、枯れた草は腐敗し、泥とヘドロと湿気が肌にまとわりつき、おまけにしとしとと雨が降っていた。
薄暗く黒い靄と、白い霧、べちゃべちゃと靴をめり込ませながら土の上を歩くとすぐに、そこら中に毒沼がある。
沼の深さはそれほどでもないのだろう、大型の魔獣と人型のグール、スライムの魔獣が黒い影となって、さまよい歩いているのが見えた。
「わ、わぁ…」
まさかのホラー展開に、ミカエル達はダンジョンを出てすぐ、思わず足を止めた。
生温かいのに、吹き抜けると肌寒く感じる不気味な風と、雨が降っているというのに、ふよふよと空中を漂う無数の火の玉…なのか蛍?なのか…の小さな光も、薄気味の悪さに拍車をかけていた。
「や、やだぁ…リアルマジこわ…くさこわ…」
腐敗臭は、なかなかに耐え難い。
一カ所に止まっていると、吐き気がこみ上げてきそうだった。
「…風の魔術を使っても、キリがないだろうな…」
シャリエルの呟きに、皆は諦めて口と鼻を布で覆いながら進むことにした。
馬体の重さを考慮して道を探さねばならない為に、進行速度はゆっくりだったが、もし歩きであれば、ご友人の愚痴を道中聞き続けねばならなかったことを考えれば、どうということもない。
また、足場が悪くぐちゃぐちゃなおかげで、魔獣が近づいて来る音にも気づきやすかった。
沼地は三日程は歩き続けなければならず、一夜を過ごす場所はといえば、木々と岩山の隙間という、限られた場所しかない。
これまでも随分と過酷ではあったが、ここは精神的に最も辛いエリアとなった。
一時間も歩き続ければ、悪臭にも鼻が慣れてしまったことだけは救いと言うべきだったが、戦闘をすれば全身が泥だらけになり、一回ずつ浄化をかけてもまたすぐに汚れてしまい、気が滅入る。
忍耐力が試されていたが、ミカエル達は黙々と進んだ。
聖女はぶつぶつと文句を言ってはいるものの、誰かに絡むことはなく、ご友人は馬上であるので、景色が最悪、という位で、特にうるさくなかったのは幸いだった。
途中休憩では皆、食が全く進まなかった。
一日目の夜は、岩山の隙間に潜り込むようにして入り込み、辛うじて一列にテントを張った。
皆で集まって食事をするスペースはないので、各自テントで食事を済ませることにして、一日の総括と明日からの目標地点を定めてから、早めに解散した。
沼地の進軍は皆の体力を奪っており、寝ずの番以外は早々にテントに入った。
ミカエルも入り、アルヴィスが迎えてくれたものの、目が合った途端顔を歪められた。
「…その反応は、失礼じゃない?」
ミカエルが拗ねて見せれば、アルヴィスは慌てたように否定した。
「いや、違う。おまえじゃない。沼地の臭いが…」
「…外で浄化したけど、やっぱり臭う?」
「そういうエリアだ。仕方がない。臭いが染み着いてしまったんだろう」
「えっ嫌だ。それは嫌だ…!」
魔王城に辿り着き、いざ戦闘!という段になって、魔王に「くさい」なんて言われたら、雰囲気が台無しだ。
もう一度浄化の魔道具を使おうとマジックバッグへと手を伸ばすより先に、アルヴィスが浄化をかけてくれた。
「ここで浄化するのが一番だ」
「…ありがとう。もう臭くない?」
自身の腕を持ち上げて嗅いでみるが、臭いはわからない。
ミカエルが問えば、アルヴィスはようやく近づいて来て、抱きしめた。
「おまえは臭くない」
「…もう鼻が馬鹿になってるから、よくわからないや」
「嫌がらせエリアだから、仕方がない。食事より先に、風呂に入ろう」
「そうだね…ずっと雨降ってるし、身体も冷えちゃった。…あ、アル、食事は?」
「まだだ」
「じゃぁオムライス、作ってあげようか?食べる?」
「食べる」
アルヴィスと一緒に風呂に入り、雰囲気に流されてそのままヤってしまったら、ミカエルは寝落ちしてしまった。
とはいえ、二時間程で目を覚ましたのだが、ベッドに一人だったので不思議に思い、リビングに行くと、そこにはダイニングテーブルの上に並べられた、食事があった。
「え…」
キッチンに立っているのは、当然ながらアルヴィスだった。
「そろそろ起こそうと思っていた。体調はどうだ?」
「体調は大丈夫だけど…、え?これどうしたの?」
「座れ。スープを持って行く」
「え…え!?」
いつもの席に座りテーブルを見れば、パンとローストビーフ、サラダ、ソーセージに火を通したもの、それにポトフ。
飲み物は水だった。
ミカエルが疲れているだろうからと気遣って、ワインにはしなかったのだろう。
アルヴィスが向かいに腰掛けるのを待ってから、ミカエルはもう一度質問した。
「これ…どうしたの?」
「作った」
「作った!?」
「全部パントリーにあった物だ。ソーセージは焼いただけだし、ローストビーフとポトフは前、おまえが作っていたのを見ていた。…ソースは、おまえと同じ味にはならなかった。分量が違うのかもしれない」
「えぇぇ…」
「これなら俺でも作れそうだ、と思ったんだが、…作る順番までは考慮していなかった。ソーセージはもう、冷めている。すまない」
「えぇぇ…すごい」
ミカエルは驚嘆していた。
アル、天才では?
見ただけで作れちゃうの?
ていうか、わざわざ作ってくれたの?
「…おまえが疲れていることを、失念していた。オムライスはいつでも良い」
「アル、結婚しよ」
真面目に言ったが、アルヴィスは目を瞬いた。
「…もちろんするが、どうした?」
「いやちょっと、感動しちゃった…」
「…そうか?俺はいつも、おまえの存在に感動しているが」
「わぁ」
いいのかな。
こんなイケメンと結婚しちゃって。
疲れているだろうからって、ご飯を作ってくれる優しいカレシを持つ日が来るなんて、思わなかった。
「喜んでもらえたなら良かった」
「…アル、すごくカッコイイよ。僕泣きそう」
「…そんなにか?」
「うん。今度から、一緒に作ろうよ。最初からそうしておけば良かったね」
「わかった、そうしよう」
頷いてくれるアルヴィスは、優しい。
やばい。
ものすごくイイ男だ。
「うん。じゃぁアルが作ってくれた料理、食べよう!」
「…ちゃんと出来ていると、いいんだが」
ローストビーフは外側が焦げていて、中は寝かせる時間が短かったのか、生だった。
ソースは赤ワインが多すぎた。
ソーセージは火を通しすぎていて皮が破れて中身まで焦げてしまっていたし、ポトフはジャガイモも人参もまだ固くて、味はお湯っぽかった。
でも、それが何なのか。
心を込めて作ってくれた、それだけで、本当に嬉しい。
自分の為に、彼が時間を割いて何かをしてくれる。
それがこんなに幸せなことなんだと、実感した。
「…やはり、おまえのように美味くは出来なかったな。…すまん、泣くほど不味かったか?無理して食べなくていい」
「…違うよ、アル。僕、嬉しくて」
視界がぼやけると思い瞬きをしたら、涙が滑り落ちた。
「……」
「アルが、僕が作ったご飯を美味しそうに食べてくれる気持ち、わかったなって、思って」
「おまえのは、美味しいから」
「アルのも、美味しいよ。初めてでこれだけ作れるなんて、すごいよ」
「……」
「僕の為に、作ってくれたんでしょ。もちろんちゃんと食べるよ」
「…ミカエル」
「こういうの、いいね。すごく幸せだ…」
「……」
ミカエルが食事をする姿を見ながら、アルヴィスが必死に理性を繋ぎとめていることなど、ミカエルは気づかなかった。
一緒に片づけをして、一緒にベッドに入る。
窺うように触れられて、ミカエルはアルヴィスに口づけた。
「…アルのことは、あんまり褒めないようにしよう…」
「…み、ミカエル…!?」
深夜まで付き合わされるとは思わず、ミカエルは眠気に逆らわず目を閉じながら、疲れ切ったため息をつきつつ呟いた。
この攻撃が来たら各自防御陣を張ってダメージを軽減する、この攻撃が来たら祈りを発動、この攻撃が来たら…立ち位置は…と、真面目に相談した成果が出ていた。
ケルベロスは当然、Sランク魔獣の中でも上位の個体である。
ボスの広間に入った時には威圧感があったし、自己紹介をされた時にも、油断ならない強そうな雰囲気はしていた。
それを楽に倒せたことで、ミカエル達には自信がついた。
「ダンジョンを抜けた先の沼地は、ケルベロスクラスの魔獣が普通にいるみたいだ」
「えぇ…あのボスみたいなのが、ごろごろいるんですか?」
「大きい個体が散在しているらしいね、メモによると」
「うわぁ。戦利品いっぱい手に入る!って、素直に喜ぶべきか、迷っちゃうなぁ」
バージルとアベルの会話を聞きながら、ミカエル達は忘れ物がないかを確認しつつ、ボスの間を出て先へと進んだ。
少しずつ、瘴気が濃くなっていることを感じる。
視界が暗くなってきており、常時黒い靄がそこら中に漂っているのが見えるようになってきた。
今のところ、神器を持っている皆に異常は見られない。
馬も、大丈夫そうだった。
聖女もふてくされた様子は変わらないものの、大人しくついて来ている。
仲が良いはずの聖女とご友人は、朝から目も合わさず挨拶も交わさない所から、昨日喧嘩でもしたのかと思ったが、ご友人の機嫌は悪くなさそうで、よくわからなかった。
神殿のようなダンジョンの終わりは、上へと続く石段だった。
「え…っく、くさ…っくっさー…!なにここぉ!?」
石段を上がる前から薄々漂ってきていた悪臭の原因は、上りきって広がる景色にあった。
枯れた木々、枯れた草は腐敗し、泥とヘドロと湿気が肌にまとわりつき、おまけにしとしとと雨が降っていた。
薄暗く黒い靄と、白い霧、べちゃべちゃと靴をめり込ませながら土の上を歩くとすぐに、そこら中に毒沼がある。
沼の深さはそれほどでもないのだろう、大型の魔獣と人型のグール、スライムの魔獣が黒い影となって、さまよい歩いているのが見えた。
「わ、わぁ…」
まさかのホラー展開に、ミカエル達はダンジョンを出てすぐ、思わず足を止めた。
生温かいのに、吹き抜けると肌寒く感じる不気味な風と、雨が降っているというのに、ふよふよと空中を漂う無数の火の玉…なのか蛍?なのか…の小さな光も、薄気味の悪さに拍車をかけていた。
「や、やだぁ…リアルマジこわ…くさこわ…」
腐敗臭は、なかなかに耐え難い。
一カ所に止まっていると、吐き気がこみ上げてきそうだった。
「…風の魔術を使っても、キリがないだろうな…」
シャリエルの呟きに、皆は諦めて口と鼻を布で覆いながら進むことにした。
馬体の重さを考慮して道を探さねばならない為に、進行速度はゆっくりだったが、もし歩きであれば、ご友人の愚痴を道中聞き続けねばならなかったことを考えれば、どうということもない。
また、足場が悪くぐちゃぐちゃなおかげで、魔獣が近づいて来る音にも気づきやすかった。
沼地は三日程は歩き続けなければならず、一夜を過ごす場所はといえば、木々と岩山の隙間という、限られた場所しかない。
これまでも随分と過酷ではあったが、ここは精神的に最も辛いエリアとなった。
一時間も歩き続ければ、悪臭にも鼻が慣れてしまったことだけは救いと言うべきだったが、戦闘をすれば全身が泥だらけになり、一回ずつ浄化をかけてもまたすぐに汚れてしまい、気が滅入る。
忍耐力が試されていたが、ミカエル達は黙々と進んだ。
聖女はぶつぶつと文句を言ってはいるものの、誰かに絡むことはなく、ご友人は馬上であるので、景色が最悪、という位で、特にうるさくなかったのは幸いだった。
途中休憩では皆、食が全く進まなかった。
一日目の夜は、岩山の隙間に潜り込むようにして入り込み、辛うじて一列にテントを張った。
皆で集まって食事をするスペースはないので、各自テントで食事を済ませることにして、一日の総括と明日からの目標地点を定めてから、早めに解散した。
沼地の進軍は皆の体力を奪っており、寝ずの番以外は早々にテントに入った。
ミカエルも入り、アルヴィスが迎えてくれたものの、目が合った途端顔を歪められた。
「…その反応は、失礼じゃない?」
ミカエルが拗ねて見せれば、アルヴィスは慌てたように否定した。
「いや、違う。おまえじゃない。沼地の臭いが…」
「…外で浄化したけど、やっぱり臭う?」
「そういうエリアだ。仕方がない。臭いが染み着いてしまったんだろう」
「えっ嫌だ。それは嫌だ…!」
魔王城に辿り着き、いざ戦闘!という段になって、魔王に「くさい」なんて言われたら、雰囲気が台無しだ。
もう一度浄化の魔道具を使おうとマジックバッグへと手を伸ばすより先に、アルヴィスが浄化をかけてくれた。
「ここで浄化するのが一番だ」
「…ありがとう。もう臭くない?」
自身の腕を持ち上げて嗅いでみるが、臭いはわからない。
ミカエルが問えば、アルヴィスはようやく近づいて来て、抱きしめた。
「おまえは臭くない」
「…もう鼻が馬鹿になってるから、よくわからないや」
「嫌がらせエリアだから、仕方がない。食事より先に、風呂に入ろう」
「そうだね…ずっと雨降ってるし、身体も冷えちゃった。…あ、アル、食事は?」
「まだだ」
「じゃぁオムライス、作ってあげようか?食べる?」
「食べる」
アルヴィスと一緒に風呂に入り、雰囲気に流されてそのままヤってしまったら、ミカエルは寝落ちしてしまった。
とはいえ、二時間程で目を覚ましたのだが、ベッドに一人だったので不思議に思い、リビングに行くと、そこにはダイニングテーブルの上に並べられた、食事があった。
「え…」
キッチンに立っているのは、当然ながらアルヴィスだった。
「そろそろ起こそうと思っていた。体調はどうだ?」
「体調は大丈夫だけど…、え?これどうしたの?」
「座れ。スープを持って行く」
「え…え!?」
いつもの席に座りテーブルを見れば、パンとローストビーフ、サラダ、ソーセージに火を通したもの、それにポトフ。
飲み物は水だった。
ミカエルが疲れているだろうからと気遣って、ワインにはしなかったのだろう。
アルヴィスが向かいに腰掛けるのを待ってから、ミカエルはもう一度質問した。
「これ…どうしたの?」
「作った」
「作った!?」
「全部パントリーにあった物だ。ソーセージは焼いただけだし、ローストビーフとポトフは前、おまえが作っていたのを見ていた。…ソースは、おまえと同じ味にはならなかった。分量が違うのかもしれない」
「えぇぇ…」
「これなら俺でも作れそうだ、と思ったんだが、…作る順番までは考慮していなかった。ソーセージはもう、冷めている。すまない」
「えぇぇ…すごい」
ミカエルは驚嘆していた。
アル、天才では?
見ただけで作れちゃうの?
ていうか、わざわざ作ってくれたの?
「…おまえが疲れていることを、失念していた。オムライスはいつでも良い」
「アル、結婚しよ」
真面目に言ったが、アルヴィスは目を瞬いた。
「…もちろんするが、どうした?」
「いやちょっと、感動しちゃった…」
「…そうか?俺はいつも、おまえの存在に感動しているが」
「わぁ」
いいのかな。
こんなイケメンと結婚しちゃって。
疲れているだろうからって、ご飯を作ってくれる優しいカレシを持つ日が来るなんて、思わなかった。
「喜んでもらえたなら良かった」
「…アル、すごくカッコイイよ。僕泣きそう」
「…そんなにか?」
「うん。今度から、一緒に作ろうよ。最初からそうしておけば良かったね」
「わかった、そうしよう」
頷いてくれるアルヴィスは、優しい。
やばい。
ものすごくイイ男だ。
「うん。じゃぁアルが作ってくれた料理、食べよう!」
「…ちゃんと出来ていると、いいんだが」
ローストビーフは外側が焦げていて、中は寝かせる時間が短かったのか、生だった。
ソースは赤ワインが多すぎた。
ソーセージは火を通しすぎていて皮が破れて中身まで焦げてしまっていたし、ポトフはジャガイモも人参もまだ固くて、味はお湯っぽかった。
でも、それが何なのか。
心を込めて作ってくれた、それだけで、本当に嬉しい。
自分の為に、彼が時間を割いて何かをしてくれる。
それがこんなに幸せなことなんだと、実感した。
「…やはり、おまえのように美味くは出来なかったな。…すまん、泣くほど不味かったか?無理して食べなくていい」
「…違うよ、アル。僕、嬉しくて」
視界がぼやけると思い瞬きをしたら、涙が滑り落ちた。
「……」
「アルが、僕が作ったご飯を美味しそうに食べてくれる気持ち、わかったなって、思って」
「おまえのは、美味しいから」
「アルのも、美味しいよ。初めてでこれだけ作れるなんて、すごいよ」
「……」
「僕の為に、作ってくれたんでしょ。もちろんちゃんと食べるよ」
「…ミカエル」
「こういうの、いいね。すごく幸せだ…」
「……」
ミカエルが食事をする姿を見ながら、アルヴィスが必死に理性を繋ぎとめていることなど、ミカエルは気づかなかった。
一緒に片づけをして、一緒にベッドに入る。
窺うように触れられて、ミカエルはアルヴィスに口づけた。
「…アルのことは、あんまり褒めないようにしよう…」
「…み、ミカエル…!?」
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