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285. 魔王城に到着する俺
岩山を進むのは、馬を除いて順調だった。
細く高低差のある段差を何度も上り下りし、馬体が行き来するには厳しい岩道を進まねばならない場面が多くあり、その都度ご友人と蜥蜴亜人の冒険者は下馬して歩き、馬を誘導する必要があった。
「も~めんどくさいよぉ!」
ご友人は嘆いていたが、今まで馬上で楽をしていた分、これくらいは頑張ってくれと皆は内心で思いつつ、魔王城までもう少しなので気分を損ねる気にはならず、宥めすかして前へと進んだ。
褒めてやるべきは、馬の方だった。
ここまで本当に良く、頑張ってくれた。
帰りは楽になるので、もう少し頑張って欲しい。
足場の悪い岩場での戦闘は、魔術師シャリエルの独壇場だった。
空から攻撃をしかけてくる鳥を撃ち落とし、崖を駆け上ってくる狼タイプの魔獣は足止めをする。
ミカエル達も魔道具や魔術を駆使して弱らせてから、近づいてとどめを刺す。
しかしながら、死骸となった魔獣が崖を転がり落ち、回収できないことも何度もあって、もったいない…と皆で呟いては先を急いだ。
もったいない、と言える余裕が、出来たことは素晴らしい。
聖女とご友人の間には距離が出来たままだったが、罵り合いをするわけでも喧嘩をするわけでもなく、戦闘に関係するわけでもないので特にとりなすこともなく、遠巻きに見守っていた。
二人とも、魔王討伐後にはこの世界に残ってハーレムを築くという目標は変わらないらしく、帰るつもりは微塵もなさそうである。
気づかれないようにしなければならず、そういう会話は仲間内で一切禁止していたのだが、ここ最近になって休憩中、やたらとご友人が、「日本でいかに自分が虐げられてきたか」を語るようになっていた。
「でね、姫はぁ、その子に言ったわけ。「トモ君はぁ、姫のことが好きなんだから、しつこくつきまとうの、やめな?」って。そしたらぁ、キィーッ!とか言いながら、姫の胸倉掴んで殴ろうとしてきたんだよ!猿かよっていう!もー、ひどいと思わない?」
「…それで、ご友人様はどう対応されたのですか?」
こういう、どうでもいい内容に対処するのは、ミカエルかジーンの役割になっていたが、ミカエルは本日給仕当番であるので、忙しかった。
なのでジーンが相槌を打っているのだが、他のメンバーは全く聞いておらず、ミカエルの手伝いをしてくれていた。
「殴られるより先に、ビンタしてやった!」
「…へ、へぇ…そうなんですか…」
「そこにちょうどトモ君が来てね。姫、その子の前で抱きついてやったの。そしたらトモ君たら真っ赤になってぇ、「姫ちゃん、大丈夫!?」って、姫の心配してくれてぇ、「おまえ何してんだよ!」って、その子を叱ってくれたの~」
「…その女性は、トモ君のカノジョだったのですよね?」
「でも姫のことを好きになっちゃったんだから、しょうがなくない?さっさと別れたらいいのにぃ。しかも、女の方、姫に絡んで来るんだよぉ?言いたいことあるならぁ、トモ君に言えばいいのにぃ。いっつもそう。姫、皆からいじめられてぇ、辛い思いしてたんだぁ」
「…ソウナンデスカー」
「なんで女ってぇ、姫に突っかかってくるんだろー。もー、姫の周りはイケメンだけでいいよぉ」
「…ソウナンデスカー」
ソウナンデスカを繰り返すマシーンと化したジーンは、どうでも良さそうな表情を、上手くご友人に見られない角度で誤魔化していた。
助けを求める視線を投げられ、ミカエル達は急いで食事の支度をし、席に着く。
ご友人は確かに、よくつるんでいる四人以外だと、仲のいい女子はいなかった。
日替わり週替わりの「男トモダチ」はたくさんおり、パパ活もやっていたようだった。
なぜそんなことをミカエルが知っているかと言えば、調べたからだ。
生活ぶりだけを見れば金に困っていることもなく、「男トモダチ」や「パパ」にたくさん金をもらい物を買ってもらっており、充実した毎日を過ごしているように見えた。
前世のミカエルを陥れるようなことがなければ、そのまま充実した毎日を過ごせていただろうに。
「ミカエルもぉ、姫のこと可哀想って、思うでしょ?」
食事の途中で話しかけられ、ミカエルは首を傾げて見せた。
「元の世界で、ご友人殿の周りはイケメンだらけだった、という所までは聞きました」
「えぇー!違うよぉ!!んもうミカエルってばぁ!」
身体をくねらせながら拗ねられても可愛いとは思わないのだが、本人的には可愛いと思っている仕草のようだ。
「…違いました?」
「元の世界の男なんて、この世界の男に比べたら生ゴミレベルだよぉ!」
「生ゴミ…」
「やっぱミカエルがいっちばん、カッコイイよぉ!」
「…そうでしょうか」
「自信持って!」
どこから目線の励ましなのか疑問だったが、元の世界の男性に失礼である。
元・元の世界の一男性であるミカエルは当然、不快だった。
ご友人殿は、余程自分に自信があるのだろう。
その神経の図太さは、見習いたい所だった。
「だからねっ姫はぁ、この世界がだーい好き!」
「…ソウナンデスカー」
ジーンを見習って、ソウナンデスカマシーンと化しながら、ミカエルは食事を進めた。
ご友人は、自分を見る他のメンバーの視線が冷たいことに、気づいてもいない。
人から奪うことが平気で。
人を傷つけることも平気で。
でも自分がほんの少しでも傷つけられたら、世界の終わりかのように騒ぎ立てて、怒る。
自分のことしか考えていない、人だった。
最後まで冷静でいられそうで、ミカエルは安堵する。
彼女達を元の世界に帰した後は、綺麗さっぱり忘れることが出来そうだった。
魔王城はもう目の前であり、明日には攻略を開始出来そうである。
ご友人の与太話は程々にして、魔王城の攻略についての話をすることになった。
「歴代勇者のメモによると、魔王城の中は迷路のようになっているらしくて、一応地図もあるんだけど」
食後、食器を片づけた後にバージルがテーブルに地図を広げると、全員が覗き込んだ。
「ご友人殿、地図はこれで正確ですか?」
「えっとぉ…細かいとこまでは覚えてないけどぉ、確か城に入ってすぐ、ガーゴイルの像があってぇ、クイズ出して来る」
「…クイズ…あ、これか」
バージルがメモを見ながら呟き、首を捻った。
「『フジサンの高さは?』…フジサンて何?」
「ンゴフッ」
ミカエルは、食後のコーヒーを喉に詰まらせた。
「えっミカエル様、大丈夫ですか!?」
たまたま近くで立っていたアベルが、咳き込むミカエルの背中をさすってくれた。
アベル、優しい。
「ご、ごめん、喉に詰まっちゃった…」
「珍しいですね。お疲れですか?」
「いや、クイズの答えを考えようとしたら、うっかり…」
「あぁ、意味わかんないですもんね…」
「ね…」
え、クイズって、そのレベル?
ミカエルは愕然としたが、悟られるわけにはいかない。
必死に誤魔化し、心配そうな視線を向けて来るメンバーに手を振った。
「どうぞ、進めて」
「大丈夫?…えっと、聖女殿なら答えられるクイズみたい。お二人は、答えわかります?」
バージルはミカエルを気遣った後、聖女達へと視線を向けた。
聖女とご友人はちらりと互いに視線を合わせた後、そっぽを向いた。
「…え、わからないとか、言わないですよね?」
「えっとぉ、そのクイズは、知らないかも。…ヤバ!もしかしてクイズ、ランダム…!?いやでも、そんなはずは…!?」
二人から答えが聞けず、一気にその場の雰囲気は暗くなった。
「…大丈夫なのか…」
ロベルトの呟きは尤もで、バージルもメモの答えを見ながらため息を付いた。
「メモの通りのクイズが出てくれたらいいんだけどね。…答えは、三千七百七十六メートル。…フジサンって、山かこれ」
「富士山は日本一の山だよぉ!」
「…国で一番の山なのに、知らない…?」
「そ、それはぁ、うっかり、ちょーっと、忘れてただけ!!」
「……」
ミカエルは察した。
本来であれば、魔王討伐は、聖女接待パーティーなのだろう。
古代語で書かれたトラップ、日本人なら知っているような雑学クイズ。
聖女は十代の、日本人。
つまり、学生だ。
学校で習う内容ならば、聖女も答えられるだろう、という、配慮が見える。
そこで自信をつけて、元の世界に帰ってね、というのが、本来の聖女召喚の目的ではないのだろうか。
ルシュディー王子がくれた「第一王子受ルート」の攻略チャートでは、魔王討伐編はエンディングに至る為の過程でしかなく、しかも攻略相手である「第一王子」は勇者パーティーには参加していない為、ご友人が望んでいたような「イチャラブ」展開などは、書かれていなかった。
歴代勇者のメモのような、詳細な地図や攻略方法も記載されていなかったので、困難な道程ではないのかも、と、淡い期待をしていた。
実際に踏破してみると、なかなかに厳しい道のりだったわけだが。
トラップやクイズにしても、特に攻略サイトを見なくとも、出来そうだ。
だから彼は、わざわざ書かなかったのだろう、と、今気づいた。
ルシュディーは、勉強が出来る男子高生だったのだろう。
だがこれはこれで、問題だった。
聖女達、真面目に勉強をしていない。
彼らの成績は、いつも留年ぎりぎりだった。
彼らが答えを知らないクイズがもし出たら、どうなるのだろう。
自分が答えるわけにも、いかないし。
ミカエルが内心で葛藤していると、ご友人が明るく笑った。
「でもダイジョーブ!姫、ちゃーんと予言、聞いてるから!知ってるから、安心して!」
「…そうですか。まぁ確かに、クイズ毎回違うみたいだし。予言通りのものが出てくるように、祈ります」
「任せてよ!」
バージルも「大丈夫かコイツ」と胡乱な瞳を向けてはいるものの、それ以上は言わなかった。
いよいよ明日、魔王城に入る。
「体調を万全にして、明日に備えよう。寝ずの番担当は仕方がないが、今日は早く寝よう」
「了解」
おやすみの挨拶をして、皆は早めにテントに入った。
細く高低差のある段差を何度も上り下りし、馬体が行き来するには厳しい岩道を進まねばならない場面が多くあり、その都度ご友人と蜥蜴亜人の冒険者は下馬して歩き、馬を誘導する必要があった。
「も~めんどくさいよぉ!」
ご友人は嘆いていたが、今まで馬上で楽をしていた分、これくらいは頑張ってくれと皆は内心で思いつつ、魔王城までもう少しなので気分を損ねる気にはならず、宥めすかして前へと進んだ。
褒めてやるべきは、馬の方だった。
ここまで本当に良く、頑張ってくれた。
帰りは楽になるので、もう少し頑張って欲しい。
足場の悪い岩場での戦闘は、魔術師シャリエルの独壇場だった。
空から攻撃をしかけてくる鳥を撃ち落とし、崖を駆け上ってくる狼タイプの魔獣は足止めをする。
ミカエル達も魔道具や魔術を駆使して弱らせてから、近づいてとどめを刺す。
しかしながら、死骸となった魔獣が崖を転がり落ち、回収できないことも何度もあって、もったいない…と皆で呟いては先を急いだ。
もったいない、と言える余裕が、出来たことは素晴らしい。
聖女とご友人の間には距離が出来たままだったが、罵り合いをするわけでも喧嘩をするわけでもなく、戦闘に関係するわけでもないので特にとりなすこともなく、遠巻きに見守っていた。
二人とも、魔王討伐後にはこの世界に残ってハーレムを築くという目標は変わらないらしく、帰るつもりは微塵もなさそうである。
気づかれないようにしなければならず、そういう会話は仲間内で一切禁止していたのだが、ここ最近になって休憩中、やたらとご友人が、「日本でいかに自分が虐げられてきたか」を語るようになっていた。
「でね、姫はぁ、その子に言ったわけ。「トモ君はぁ、姫のことが好きなんだから、しつこくつきまとうの、やめな?」って。そしたらぁ、キィーッ!とか言いながら、姫の胸倉掴んで殴ろうとしてきたんだよ!猿かよっていう!もー、ひどいと思わない?」
「…それで、ご友人様はどう対応されたのですか?」
こういう、どうでもいい内容に対処するのは、ミカエルかジーンの役割になっていたが、ミカエルは本日給仕当番であるので、忙しかった。
なのでジーンが相槌を打っているのだが、他のメンバーは全く聞いておらず、ミカエルの手伝いをしてくれていた。
「殴られるより先に、ビンタしてやった!」
「…へ、へぇ…そうなんですか…」
「そこにちょうどトモ君が来てね。姫、その子の前で抱きついてやったの。そしたらトモ君たら真っ赤になってぇ、「姫ちゃん、大丈夫!?」って、姫の心配してくれてぇ、「おまえ何してんだよ!」って、その子を叱ってくれたの~」
「…その女性は、トモ君のカノジョだったのですよね?」
「でも姫のことを好きになっちゃったんだから、しょうがなくない?さっさと別れたらいいのにぃ。しかも、女の方、姫に絡んで来るんだよぉ?言いたいことあるならぁ、トモ君に言えばいいのにぃ。いっつもそう。姫、皆からいじめられてぇ、辛い思いしてたんだぁ」
「…ソウナンデスカー」
「なんで女ってぇ、姫に突っかかってくるんだろー。もー、姫の周りはイケメンだけでいいよぉ」
「…ソウナンデスカー」
ソウナンデスカを繰り返すマシーンと化したジーンは、どうでも良さそうな表情を、上手くご友人に見られない角度で誤魔化していた。
助けを求める視線を投げられ、ミカエル達は急いで食事の支度をし、席に着く。
ご友人は確かに、よくつるんでいる四人以外だと、仲のいい女子はいなかった。
日替わり週替わりの「男トモダチ」はたくさんおり、パパ活もやっていたようだった。
なぜそんなことをミカエルが知っているかと言えば、調べたからだ。
生活ぶりだけを見れば金に困っていることもなく、「男トモダチ」や「パパ」にたくさん金をもらい物を買ってもらっており、充実した毎日を過ごしているように見えた。
前世のミカエルを陥れるようなことがなければ、そのまま充実した毎日を過ごせていただろうに。
「ミカエルもぉ、姫のこと可哀想って、思うでしょ?」
食事の途中で話しかけられ、ミカエルは首を傾げて見せた。
「元の世界で、ご友人殿の周りはイケメンだらけだった、という所までは聞きました」
「えぇー!違うよぉ!!んもうミカエルってばぁ!」
身体をくねらせながら拗ねられても可愛いとは思わないのだが、本人的には可愛いと思っている仕草のようだ。
「…違いました?」
「元の世界の男なんて、この世界の男に比べたら生ゴミレベルだよぉ!」
「生ゴミ…」
「やっぱミカエルがいっちばん、カッコイイよぉ!」
「…そうでしょうか」
「自信持って!」
どこから目線の励ましなのか疑問だったが、元の世界の男性に失礼である。
元・元の世界の一男性であるミカエルは当然、不快だった。
ご友人殿は、余程自分に自信があるのだろう。
その神経の図太さは、見習いたい所だった。
「だからねっ姫はぁ、この世界がだーい好き!」
「…ソウナンデスカー」
ジーンを見習って、ソウナンデスカマシーンと化しながら、ミカエルは食事を進めた。
ご友人は、自分を見る他のメンバーの視線が冷たいことに、気づいてもいない。
人から奪うことが平気で。
人を傷つけることも平気で。
でも自分がほんの少しでも傷つけられたら、世界の終わりかのように騒ぎ立てて、怒る。
自分のことしか考えていない、人だった。
最後まで冷静でいられそうで、ミカエルは安堵する。
彼女達を元の世界に帰した後は、綺麗さっぱり忘れることが出来そうだった。
魔王城はもう目の前であり、明日には攻略を開始出来そうである。
ご友人の与太話は程々にして、魔王城の攻略についての話をすることになった。
「歴代勇者のメモによると、魔王城の中は迷路のようになっているらしくて、一応地図もあるんだけど」
食後、食器を片づけた後にバージルがテーブルに地図を広げると、全員が覗き込んだ。
「ご友人殿、地図はこれで正確ですか?」
「えっとぉ…細かいとこまでは覚えてないけどぉ、確か城に入ってすぐ、ガーゴイルの像があってぇ、クイズ出して来る」
「…クイズ…あ、これか」
バージルがメモを見ながら呟き、首を捻った。
「『フジサンの高さは?』…フジサンて何?」
「ンゴフッ」
ミカエルは、食後のコーヒーを喉に詰まらせた。
「えっミカエル様、大丈夫ですか!?」
たまたま近くで立っていたアベルが、咳き込むミカエルの背中をさすってくれた。
アベル、優しい。
「ご、ごめん、喉に詰まっちゃった…」
「珍しいですね。お疲れですか?」
「いや、クイズの答えを考えようとしたら、うっかり…」
「あぁ、意味わかんないですもんね…」
「ね…」
え、クイズって、そのレベル?
ミカエルは愕然としたが、悟られるわけにはいかない。
必死に誤魔化し、心配そうな視線を向けて来るメンバーに手を振った。
「どうぞ、進めて」
「大丈夫?…えっと、聖女殿なら答えられるクイズみたい。お二人は、答えわかります?」
バージルはミカエルを気遣った後、聖女達へと視線を向けた。
聖女とご友人はちらりと互いに視線を合わせた後、そっぽを向いた。
「…え、わからないとか、言わないですよね?」
「えっとぉ、そのクイズは、知らないかも。…ヤバ!もしかしてクイズ、ランダム…!?いやでも、そんなはずは…!?」
二人から答えが聞けず、一気にその場の雰囲気は暗くなった。
「…大丈夫なのか…」
ロベルトの呟きは尤もで、バージルもメモの答えを見ながらため息を付いた。
「メモの通りのクイズが出てくれたらいいんだけどね。…答えは、三千七百七十六メートル。…フジサンって、山かこれ」
「富士山は日本一の山だよぉ!」
「…国で一番の山なのに、知らない…?」
「そ、それはぁ、うっかり、ちょーっと、忘れてただけ!!」
「……」
ミカエルは察した。
本来であれば、魔王討伐は、聖女接待パーティーなのだろう。
古代語で書かれたトラップ、日本人なら知っているような雑学クイズ。
聖女は十代の、日本人。
つまり、学生だ。
学校で習う内容ならば、聖女も答えられるだろう、という、配慮が見える。
そこで自信をつけて、元の世界に帰ってね、というのが、本来の聖女召喚の目的ではないのだろうか。
ルシュディー王子がくれた「第一王子受ルート」の攻略チャートでは、魔王討伐編はエンディングに至る為の過程でしかなく、しかも攻略相手である「第一王子」は勇者パーティーには参加していない為、ご友人が望んでいたような「イチャラブ」展開などは、書かれていなかった。
歴代勇者のメモのような、詳細な地図や攻略方法も記載されていなかったので、困難な道程ではないのかも、と、淡い期待をしていた。
実際に踏破してみると、なかなかに厳しい道のりだったわけだが。
トラップやクイズにしても、特に攻略サイトを見なくとも、出来そうだ。
だから彼は、わざわざ書かなかったのだろう、と、今気づいた。
ルシュディーは、勉強が出来る男子高生だったのだろう。
だがこれはこれで、問題だった。
聖女達、真面目に勉強をしていない。
彼らの成績は、いつも留年ぎりぎりだった。
彼らが答えを知らないクイズがもし出たら、どうなるのだろう。
自分が答えるわけにも、いかないし。
ミカエルが内心で葛藤していると、ご友人が明るく笑った。
「でもダイジョーブ!姫、ちゃーんと予言、聞いてるから!知ってるから、安心して!」
「…そうですか。まぁ確かに、クイズ毎回違うみたいだし。予言通りのものが出てくるように、祈ります」
「任せてよ!」
バージルも「大丈夫かコイツ」と胡乱な瞳を向けてはいるものの、それ以上は言わなかった。
いよいよ明日、魔王城に入る。
「体調を万全にして、明日に備えよう。寝ずの番担当は仕方がないが、今日は早く寝よう」
「了解」
おやすみの挨拶をして、皆は早めにテントに入った。
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―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)