【完結】前世ハイスペックブサメンの俺、今世ではイージーモードを歩みたい

影清

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298. 魔王を倒した俺4※

「…アルがずるい」
「ずるい、とは?」
「…それは反則…」
「どの辺が?」
 アルヴィスは自身の寝室へと移動して、ベッドにミカエルを押し倒す。
 顔を背けて詰ってくるミカエルの顔は赤く、瞳は潤んだままだった。
 この顔をあいつらに見せてしまったことは不本意だが、アルヴィスは結果には概ね満足していた。

 聖女達を帰すこと。
 「強者」としてのアルヴィスの存在を、人間達に知らしめること。
 同時にミカエルがアルヴィスのものであることを、知らしめること。

 ミカエルの唇を軽く食むと、抱きついて来るのがとても可愛い。
 もっとと強請るように口を開かれれば、拒む理由などなかった。
「ん、…んん…っ…ふ、…」
 舌を絡めつつミカエルの装備に手をかけるが、抵抗はなかった。
「おまえに気に入ってもらえるように、頑張ったんだが。…今日の俺は、合格か?」
 顔を見れば答えはわかりきっていたものの、アルヴィスが首筋に舌を這わせながら問えば、ミカエルは身体を震わせ、熱い息を吐いた。
「…反則すぎる。そんな服、持ってたの?髪もちゃんとセットしてるし…」
「おまえに惚れ直してもらう目的で、ラダーニエに用意させた」
「…ラダーニエ、超優秀…くやしい…」
 ぐしゃぐしゃと髪を乱されたが、アルヴィスは笑った。
「気に入ってもらえたようで、良かった」
 胸に吸い着くと、ミカエルの身体が跳ねた。
「…っぁ、ん…っん、でも、結界とか封印とか、最初からあったの…っ?」
「そんなもの、あるわけない。あの女から、ゲームとやらのストーリーを聞いていた」
「…いつの間に…」
「最初は、おまえがニーズヘッグの洞窟に転送された時だな。聖女を洗脳し、スキルを使わせたついでに、なぜあの場所を知っていたのかを調べた」
「…んん、結構前だった…っ」
「あの女が主犯とわかっていたから、監視はしていた」

 聖女は「ゲーム」の内容は知らず、主に動いているのはご友人の方だった。
 アルヴィスだけでなくラダーニエも、「異世界のゲーム」の概念が理解出来ず、聞き出すのは少しずつ、時間をかけて行っていたらしい。
 最終的に、ご友人が「魔神様」に会おうとしていることを知り、それを利用することにしたのだと言う。
 
 ゲームの中の「魔神様」は、おそらくアルヴィスなのだろう、と、ミカエルは思う。
 魔王より強く、実在する魔族なんて、知る限り三人しかいない。
 「聖女に一目惚れ」については、世界一の美女もしくは美形設定の聖女なら、あり得ることだ。

 ミカエルに一目惚れした、と言い、ミカエルもアルヴィスのことを好きになったと言えば、ミカエルとアルヴィスははばかることなく、共にいられるようになる。
 アルヴィスは、ゲームの設定を上手く利用したのだった。

 「魔神様」の恐ろしさは、全員が身に染みた。
 残念ながらアルヴィスは、この世界の者が到達出来る強さにない。
 魔王以上の脅威である存在が、「ミカエルに惚れた」と言うなら、ミカエルを人身御供に差し出して、大人しくしてくれと言うのが、世界の総意となるはずである。
 
 第二王子としての身分を失ったアルヴィスには、新たに他国の辺境の伯爵家の傍流の子、という身分を用意していた。
 そこそこの身分の貴族で、権力は持っておらず、ミカエルの伴侶になってもどこの国も刺激せずに済む立場。

 「魔神様」ならば、逆の意味でどこの国にも干渉されずに済むことだろう。
 
 アルを恐怖の対象にするのは、気に食わないけど。
 でも横槍が入る心配は、なくなった。
 
「ミカエルがこの服を気に入っているようだから、今日は服を着たままやるとしよう」
「…っえ、」
 太腿にきつく吸いつかれ、キスマークを残しながら言われて、ミカエルが頬を染めた。
「…脱がせてくれてもいいが」
「…っ、…後で、脱がします」
「ふ、そうか」
 余裕の笑みに眉間に皺を寄せて返し、ミカエルはアルヴィスの胸元へと手を差し込んだ。
「こんなに胸元開けて、何なの。僕を悩殺したいの」
「はは、されたのか?」
「…さぁ、どうかな」
 指先でくすぐるように胸をひっかくと、アルヴィスが目を細め、自身の唇を舐めた。
「…ではミカエル。朝まで耐久セックス、試してみるか」
「え…っと、今、まだ夕方だけど…」
「何回出来るかな」
「め、めちゃくちゃやる気になってる…!…って、あ、ちょ、待っ……!っぁああ…っ!!」  
 ずぷっと奥まで押し込まれ、ミカエルの身体が仰け反った。
 熱く硬いモノが容赦なく、ナカを抉る。
「あ、ぁぁ、っあ、あ、元気、あり余り過ぎ……ッ!!」
「…っふ、あぁ、食事休憩は取ろう、な…っ」
「ぁ――…っ」





 ミカエルは途中で脱落したが、早朝目を覚ました時、アルヴィスは起きていた。

 ……いやさすがに、寝たよね?

 愛しげに口づけてくるアルヴィスが満足げな顔をしていたので、なんとなく、聞く機会を逸してしまった。
 少し眠ってから起き、一緒に風呂に入り食事をして、またベッドに連れ込まれそうになり、さすがにミカエルは止めた。
「ちょ、待て待て。二週間、ずっとセックスしっぱなしってこと、ないよね…?」
「嫌か?ハネムーンとやらは、そういう期間なのだろう?」
「これハネムーンだったのか」
「封印から復活したばかりの「魔神」と、美しい「人間」が、愛を深める時間だ」
 髪に口づけられ撫でられて、くすぐったさにミカエルは首を竦めた。
「…その設定、気に入ったの?」
「魔神、などと名乗ったことは一度もないんだが、どこからそんな単語が来たのだろうな」
「それは僕もわからないな。彼女が勝手に呼んでただけなのか…。そもそも、魔王城って、アルの城だったの?もしかして」
「ああ」
「そっちの方がびっくりなんだけど」
「…言ってなかった」
「そうだね、聞いてなかった」

 まぁ、話せなかったのだろう。
 魔王討伐に向かおうとしているまさにその場所が、アルの城だなんて。
 
 ソファに並んで腰かけ、アルヴィスが話し出す。
「魔王の舞台は、城の一部だ。聖女を送還した応接室もそう。ここは別棟の、塔の上だ。転移でしか来られない」
「…そういえば、塔がいくつか建っているのは見た」
「そのうちの一つだな」
「…確かに、職人を呼んで直してもらうのは、難しいね…」
「そうだろう」
 場所は?魔王城です!というやりとりは、想像するだけで間抜けだった。
「魔王が使っている区画は、綺麗だったけど」
「ラダーニエの管轄だ」
「…あ、そうなんだ」
「地下はニーデリアの管轄だ」
「あの魔獣…」
「聖女のスキルを使えば弱体化して、楽に倒せるようになるはずだったんだが」
 思わぬネタバレだった。
 ミカエルは脱力した。
 図らずもアルヴィスに凭れかかってしまったが、嬉しそうにミカエルの身体に手を回して抱きしめてくる。
「もう聖女いないじゃん。…ちゃんと戦ってくれる聖女だったら、スキルを使うっていうことも、思いついたかもしれないなぁ」
「もう忘れろ。倒したいなら、手伝う」
「…うん。もうちょっと僕のレベルが上がったらね…」
 現在の強さでは、ダメージを与えられるかどうかも怪しい。
 アルヴィスなら一撃かもしれないが、ミカエルは自分がちゃんと戦いたい。
 抱きしめるアルヴィスの手が、ミカエルのガウンの隙間に入り込み、胸を撫で始めたので、手首を掴んで引き離す。
「…ミカエル?」
 身体を離し、アルヴィスと向かい合った。

 さすがに二週間ヤりっぱなしは、自分がダメになりそうなので遠慮したい。
 人をダメにするアルヴィス。     
 良くない。
 
 ミカエルはアルヴィスの首に手を回し、身体の上に乗り上がる。
 すかさず腰に手を回し、尻を撫でて来る不埒な手は、とりあえず無視をした。
「せっかくだから、アルの城を案内して欲しいな。魔王討伐して、色々聞きたいこともあるし」
「…それは構わないが、前も言ったが、古いだけだ。いいのか?」
「一緒に直していこうって、言ったでしょ。ベッドだとゆっくり話も出来ないし」
「…ボディランゲージは出来ているが」
 そう言いながら太腿を撫でてくるので、手を押さえた。
「それはそれで置いておいて。…アルのこと、もっと知りたいな」
 至近で囁くと、アルヴィスは目を見開き、ぐっと眉根に力を込めた。
 ミカエルがアルヴィスの顔に弱いように、アルヴィスもミカエルの顔に弱い。
 元々はアルヴィスが先に、ミカエルの顔に惚れたのだ。
 にこりと微笑んで見せれば、アルヴィスは陥落した。
「…わかった」
「ありがとう、アル!」
「…だが、」
 ぼそりと呟き、アルヴィスはミカエルの腰と尻に手を回して立ち上がった。
「…っおわ…!」
 ミカエルを抱えたままで、歩き出す。
 下ろされた先はベッドの上で、ミカエルがえ、と思ったときには上にのし掛かられていた。
「ミカエルが可愛いのが悪い」
「…何でこうなる」
「少しゆっくりしてから、出かけようか」
「ゆ、ゆっくりじゃないよねー?」 
 勃起した熱い下半身をグリ、と押しつけられて、ゾクゾクと身体が震えてしまうミカエルは、自身のダメな身体を呪った。
「おまえも、期待しているな」
「…うぐ、も、一回だけだからね…!」
「…善処する」

 結局午前中が、潰れた。
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