6 / 8
6 ふたりでダメ人間宣言をしてますわ!
しおりを挟む「ボクにふさわしい女性なんていないよ」
「そんなことありません! 利害関係から決められた政略結婚に縛られず周りに目を向けて見てください!
すぐ近くに、今もきっとすぐ近くに、殿下にふさわしいぴったりの運命の女性がいると気づくはずです!」
わたくしがよろけたのを咄嗟に支えてくださった時は、押しつけてしまったささやかな胸にどきまぎしていらしたのに。
この女の乳には無反応ですわ! 流石ですわ! 流石の鈍さですわ!
「確かに、彼女はボクにふさわしくないね」
「そうですよ! ですから――」
「だけど、ボクにふさわしい釣り合いの取れた女性なんて、正直、生きていたら気の毒だね」
「え゛?」
「ボクはダメすぎるからね。ボク並みの女性なんて、なんの魅力もない人間の絞りカスだよ。
存在するだけで気の毒だね。だってボク並なんだよ? 人間として最低ってことだよ」
いつも通り淡々と言い切りましたわ!
でも殿下。確かに殿下は王太子としていろいろ足りないとは思いますが。
人間としても、その能力的にはそのアレですが、人柄は……ぼんやりしてるだけと言う人もいますけど、そう悪くないと思いますわよ?
我ながら疑問形ですわ!
ごめんなさい、どう贔屓しても疑問形がとれませんわ!
「わ、私もダメな人間ですから! ダメな殿下にはぴったりです! 私なら釣り合いがとれないとか言わせません!」
わぁ! 言うに事欠いてダメ人間宣言しましたわあの子! 必死ですわね。
「うん。君がダメなのは判ってる。だけどそれは君のせいじゃない。彼女が素晴らしすぎるからなんだ」
「は?」
「彼女を見慣れすぎてて、他の女の人は誰も可愛くも優秀にも綺麗にも素敵にも見えないんだよね。
正直、こうして話してるのも、我慢して話してるくらいなんだ。
そういうので人を区別するのは失礼だし、上に立たなきゃいけない者としてどうかとは思うんだけど」
あっ。
余りに殿下がわたくしを褒め称えるので、少しぼぉっとして気づきませんでしたわ!
殿下のお顔、真っ青になってますわ。
まずいですわ。そろそろ限界ですわね。
「あの、それは、どういう。え……」
殿下は溜息をつくと、女を見上げましたわ。
うわ。すごい哀れみの表情。
「一応ね。ボクはこう見えて王太子としての教育も受けているからね。
王族がひとりの時を狙って、ぶしつけに話しかけて来る礼儀知らずの人間にも、邪険にしないように我慢して相手する良識くらいは辛うじて身につけているんだよ。
それにボク自身も生きてるのが申し訳ないようなとるにたらない人間だから、人を非難する資格なんかないからさ。
でも、そろそろ生理的に限界なんで無礼を承知で正直に言わせて貰うよ」
殿下はひとことひとことはっきりと言いました。
「君は臭いし、醜いし、無礼だし、側に存在しているだけで苦痛なんだ」
0
あなたにおすすめの小説
私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました
放浪人
恋愛
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。
だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。
「彼女は可哀想なんだ」
「この子を跡取りにする」
そして人前で、平然と言い放つ。
――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」
その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。
「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」
勝手にサインしろと仰いましたので、廃嫡書類に国璽を押して差し上げました
鷹 綾
恋愛
「確認? 面倒だ。適当にサインして国璽を押しておけ」
そう言ったのは、王太子アレス。
そう言われたのは、公爵令嬢レイナ・アルヴェルト。
外交も財政も軍備も――
すべてを裏で処理してきたのは彼女だった。
けれど功績はすべて王太子のもの。
感謝も敬意も、ただの一度もない。
そして迎えた舞踏会の夜。
「便利だったが、飾りには向かん」
公開婚約破棄。
それならば、とレイナは微笑む。
「では業務も終了でよろしいですね?」
王太子が望んだ通り、
彼女は“確認”をやめた。
保証を外し、責任を返し、
そして最後に――
「ご確認を」と差し出した書類に、
彼は何も読まずに署名した。
国は契約で成り立っている。
確認しない者に、王の資格はない。
働きたくない公爵令嬢と、
責任を理解しなかった王太子。
静かな契約ざまぁ劇、開幕。
---
没落貴族とバカにしますが、実は私、王族の者でして。
亜綺羅もも
恋愛
ティファ・レーベルリンは没落貴族と学園の友人たちから毎日イジメられていた。
しかし皆は知らないのだ
ティファが、ロードサファルの王女だとは。
そんなティファはキラ・ファンタムに惹かれていき、そして自分の正体をキラに明かすのであったが……
余命僅かな大富豪を看取って、円満に未亡人になるはずでした
ぜんだ 夕里
恋愛
傾きかけた家を救うため、私が結んだのはあまりにも不謹慎な契約――余命いくばくもない大富豪の辺境伯様と結婚し、彼の最期を穏やかに看取ることで莫大な遺産を相続する、というものだった。
しかし、人の死を利用して富を得るなど不正義!
そう考えた私が立てたのは、前代未聞の計画。
「そうだ、遺産が残らないくらい贅沢の限りを尽くしてもらえば、すべて丸く収まるじゃない!」
婚約破棄?いいですけど私巨乳ですよ?
無色
恋愛
子爵令嬢のディーカは、衆目の中で婚約破棄を告げられる。
身分差を理由に見下されながらも、彼女は淡々と受け入れようとするが、その時ドレスが破れ、隠していた自慢のそれが解き放たれてしまう。
王女殿下のモラトリアム
あとさん♪
恋愛
「君は彼の気持ちを弄んで、どういうつもりなんだ?!この悪女が!」
突然、怒鳴られたの。
見知らぬ男子生徒から。
それが余りにも突然で反応できなかったの。
この方、まさかと思うけど、わたくしに言ってるの?
わたくし、アンネローゼ・フォン・ローリンゲン。花も恥じらう16歳。この国の王女よ。
先日、学園内で突然無礼者に絡まれたの。
お義姉様が仰るに、学園には色んな人が来るから、何が起こるか分からないんですって!
婚約者も居ない、この先どうなるのか未定の王女などつまらないと思っていたけれど、それ以来、俄然楽しみが増したわ♪
お義姉様が仰るにはピンクブロンドのライバルが現れるそうなのだけど。
え? 違うの?
ライバルって縦ロールなの?
世間というものは、なかなか複雑で一筋縄ではいかない物なのですね。
わたくしの婚約者も学園で捕まえる事が出来るかしら?
この話は、自分は平凡な人間だと思っている王女が、自分のしたい事や好きな人を見つける迄のお話。
※設定はゆるんゆるん
※ざまぁは無いけど、水戸○門的なモノはある。
※明るいラブコメが書きたくて。
※シャティエル王国シリーズ3作目!
※過去拙作『相互理解は難しい(略)』の12年後、
『王宮勤めにも色々ありまして』の10年後の話になります。
上記未読でも話は分かるとは思いますが、お読みいただくともっと面白いかも。
※ちょいちょい修正が入ると思います。誤字撲滅!
※小説家になろうにも投稿しました。
【短編完結】地味眼鏡令嬢はとっても普通にざまぁする。
鏑木 うりこ
恋愛
クリスティア・ノッカー!お前のようなブスは侯爵家に相応しくない!お前との婚約は破棄させてもらう!
茶色の長い髪をお下げに編んだ私、クリスティアは瓶底メガネをクイっと上げて了承致しました。
ええ、良いですよ。ただ、私の物は私の物。そこら辺はきちんとさせていただきますね?
(´・ω・`)普通……。
でも書いたから見てくれたらとても嬉しいです。次はもっと特徴だしたの書きたいです。
【完結】悪役令嬢は番様?
水江 蓮
恋愛
ある日ぼんやり鏡を見ていたら、前世の記憶を思い出したツェツリア8歳。
この世界は人気乙女ゲームの世界であり自分の役どころは悪役令嬢だと…。
まだ悪役令嬢として活動していないから、まだ挽回できるはず!
え?
誰が誰の番?
まず番って何?
誰か何がどうなっているのか教えて!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる