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ずっとボクのターン!

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 まずボクのターン!
 ギルデンスターンのでっちあげをあばくぜ!

「ギルデンスターンよ。余はマリアンヌ伯爵令嬢が学園に通っていない事を知っていたのだ。
 それでいて、あえて知らないふりをしていたのだ! 余のことを見誤ったな!」
「そ、そんな! 嘘だ! お前は救いようのないバカ王子のはずだぁぁぁ!」

 ギルデンスターン撃沈。

「罪に対する罰は追って下す! 連れてけ!」

 さらば偽りの友よ!


 またボクのターン!
 お次は悪に墜ちた我が弟ローゼンクランツの陰謀をあばくぜ!

「弟よ! ギルデンスターンとお前が共謀していたのは明白!」

 ギルデンスターンとローゼンクランツの繋がりをぶちかまし!

「余の側近でありながら裏切っていた者たちと、密談を重ねていた事もな!」

 そしてボクの側近どももグルでつるんでたことも大公開!

「謀議の内容はこれだっ!」

 離宮での密談内容も暴露暴露暴露!

「その上、取り巻きの一人を使って娼館を経営させ、
 裏では経営に関わり、多額の収入を得ていたのみならず、
 女達を過酷に弄び、最低でも十三人を死に至らしめていたことも判っているのだっ!
 なんという非道! なんという悪逆! 許しがたし!」

 いかがわしい娼館での変態加虐趣味までな!

 ボクはぜーんぶお見通しだったのさ!

 そんなことまでやっていたのかよ! びっくりぽんだ!
 さすがはゴクツブシの悪だな!

「しかも! 余の婚約者であるゲルドリング伯爵令嬢マリアンヌに横恋慕し、今回明らかになった謀略の果てに、その身を得ようとしていたこともな! 証拠も多数あるのだっ!」

 ついでに横恋慕していた証拠を多量に叩きつけてやったぜ!
 ビシバシビシッドカンとねっ!

 こんなに証拠がいっぱいあるなんて、告発しているボクもびっくりだ!

「な、なんでだぁぁぁぁ!? 兄上は救いようのない愚か者のはずなのにぃぃぃぃ!」

 ローゼゼンクランツ轟沈。

「罪に対する罰はおって下す! 地下牢へ連行しろ!」

 さらば弟よ!

 なにかわめいていたが、警備兵達に連行されてった。愉快愉快。
 ボクはやさしいから北の鉱山で永久就職かなぁ。


 そしてまたボクのターン!


 ローゼンクランツを王太子にしようとする陰謀に加わっていた貴族どもをつるしあげだぜ!

「余を廃嫡させ、ローゼンクランツを担ぎ上げようと画策していたこと全て判っている!」

 証拠証拠証拠の山!
 ボクは王者のポーズを決めっ。そして重々しい声で。

「国のゴクツブシどもの陰謀は全て余の知るところであったのだ!」

 って宣言してやったぜ! 我ながらイカス!

 みなぎる! みなぎっちゃう!

 これが王者の覇気ってヤツなのかね?

 さっき報告に来た若い人や、その前に出てきた初老の人が、次々と証拠を出してくれるんで楽ちん。

 ボクは、びしっとポーズを決めっ。

「余は全て知っていたのだっ!」って何度も言ってやったのさ!

 王太子を廃嫡する陰謀ってのは、王家への反逆だよねー。
 反逆罪で火あぶりか車裂き。
 それより少し軽ければ平民落としに、財産没収、! 

「罪に対する罰は追ってくだす! 連行しろ!」

 悪いヤツらをドカドカドカンと撃沈!
 悪が栄えたためしなし!


 それでもまだボクのターン! 

 ボクは追放してしまったグスタフを抱きしめて、

「偽りとはいえお前を追放したのは身を切る思いだったのだ!
 お前こそ本当の忠義の士! 信頼出来る人間だ!
 臣下ではなく、ボクの友になってくれ! 友と呼ばせてくれ!」とか言っちゃったよ!

 グスタフ男泣き。

「殿下! 殿下! 殿下に一生ついていきます!」
「グスタフぅぅぅぅぅぅ!」
「殿下ぁぁぁぁ!」

 グスタフのハートもいただきっ!

 こうして善は栄えるのだ!
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