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本編
07 僕の婚約者(カイン視点)
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僕には二歳年下の婚約者がいる。
ルイシャとの婚約は自分達が生まれる前から決まっていたことだったけど、彼女のことは妹のように大切に思っていた。
そんな彼女は、とても病弱で、いつ死んでしまってもおかしくないくらい芳しくない状態だった。コルトン家へルイシャに会いに行っても、まともに会話することさえできないことが多く、いつも血の気の引いた顔色で、まるで死んでいるように眠る彼女を見て、一方的に話しかけることが大半だった。
ある時、コルトン夫妻が僕と両親に「このまま婚約を継続しても良いのか」と尋ねたことがあった。
病弱で明日の命も分からない娘と婚約を継続するよりも、もっと健康できちんと妻の勤めを果たすことができる令嬢と婚約をした方が良いのではないかということだろう。
両親は婚約についての決定を僕に委ねてくれた。
そして僕が出した答えは、ルイシャとの婚約を継続することだった。
罪悪感とかそういう事ではなく、純粋にルイシャの事が大事だったからだ。妹のような感情だとしても、長年婚約者として過ごしてきた彼女に対する親愛の情は深い。
たとえベッドから起き上がることができず、妻の役割を果たせなくても僕は良いと思っていた。
幸い僕は三男で、エイデル家の家督は八歳年上長兄が継ぐことになっていたから、家庭の事情的にも問題はなかったというのも大きい。三男で良かったと本当に思った。
ある日、ルイシャが変わった事をジェイスが教えてくれた。今までほとんど食べられたかった食事を食べたというのだ。それに、あのすごい色の薬湯も全部飲んだらしい。以前、ルイシャに会いに行った時に薬湯を見たことがあるんだけど、あれは僕でも飲むのを拒否したいと思うような物だった。
僕も婚約者として、頑張るルイシャの手助けが出来たらと、学園での授業が終わった後、ジェイスと買い物に出掛けた。
いつもだったらお花やぬいぐるみといった当たり障りのない物を選んでいたけど、今日は違う物を選ぼうと思った。
あの薬湯を飲んだ後は、きっと口に味が残って気持ちが悪いはずだから、口直しにキャンディを贈る事にしたんだ。
後日会いに行ったときに、キャンディの中身が減っていた事と、ルイシャが嬉しそうにお礼を言ってくれた事が嬉しかった。
そして、何よりも嬉しかったのは、ルイシャの変化だった。
今まで会いに行っても、ベッドの上で顔を俯け暗い表情だったルイシャが、笑顔で僕の目を見て話してくれているのだ。それに、「もう少し元気になったら……一緒にお庭を散歩したいです」とお願い事までしてくれた。
その変化に驚いた。
それに、可憐な花のように微笑むルイシャに僕の心臓が跳ねた。
もっとその笑顔を見せて欲しい、僕が笑顔にしてあげたいと思った。
それは、妹のような存在だった少女を、女の子と意識した瞬間だった。
そして、ルイシャを可愛い、愛しいと思う気持ちは会う度に膨らんでいった。
ルイシャとの婚約は自分達が生まれる前から決まっていたことだったけど、彼女のことは妹のように大切に思っていた。
そんな彼女は、とても病弱で、いつ死んでしまってもおかしくないくらい芳しくない状態だった。コルトン家へルイシャに会いに行っても、まともに会話することさえできないことが多く、いつも血の気の引いた顔色で、まるで死んでいるように眠る彼女を見て、一方的に話しかけることが大半だった。
ある時、コルトン夫妻が僕と両親に「このまま婚約を継続しても良いのか」と尋ねたことがあった。
病弱で明日の命も分からない娘と婚約を継続するよりも、もっと健康できちんと妻の勤めを果たすことができる令嬢と婚約をした方が良いのではないかということだろう。
両親は婚約についての決定を僕に委ねてくれた。
そして僕が出した答えは、ルイシャとの婚約を継続することだった。
罪悪感とかそういう事ではなく、純粋にルイシャの事が大事だったからだ。妹のような感情だとしても、長年婚約者として過ごしてきた彼女に対する親愛の情は深い。
たとえベッドから起き上がることができず、妻の役割を果たせなくても僕は良いと思っていた。
幸い僕は三男で、エイデル家の家督は八歳年上長兄が継ぐことになっていたから、家庭の事情的にも問題はなかったというのも大きい。三男で良かったと本当に思った。
ある日、ルイシャが変わった事をジェイスが教えてくれた。今までほとんど食べられたかった食事を食べたというのだ。それに、あのすごい色の薬湯も全部飲んだらしい。以前、ルイシャに会いに行った時に薬湯を見たことがあるんだけど、あれは僕でも飲むのを拒否したいと思うような物だった。
僕も婚約者として、頑張るルイシャの手助けが出来たらと、学園での授業が終わった後、ジェイスと買い物に出掛けた。
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あの薬湯を飲んだ後は、きっと口に味が残って気持ちが悪いはずだから、口直しにキャンディを贈る事にしたんだ。
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その変化に驚いた。
それに、可憐な花のように微笑むルイシャに僕の心臓が跳ねた。
もっとその笑顔を見せて欲しい、僕が笑顔にしてあげたいと思った。
それは、妹のような存在だった少女を、女の子と意識した瞬間だった。
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