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20 全米が泣いた?

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―――その日、世界が震撼した。





学園から提供された携帯食を食べ終わり、再出発しようと、荷物を片付け始めた時だった。

遠くからドンと鈍い音が響き、そのあと魔力の衝撃波がきた。

小鳥たちが何かに脅えるように一斉に飛び立ち、森の動物たちが、逃げ出していく。



「なに? 」「なんの音だ? 」「何事ですの? 」1年生がざわめく。



「1年、荷物をしまえ、周囲を警戒しつつ、退避できるよう準備! 

エンバー、チェックポイントの先生に連絡。情報と、指示をもらってくれ。」

アルベルト様が、テキパキと指示を出す。



エンバー先輩が、遠話を飛ばし先生に連絡を取る。

「アルベルト様、やはり周囲に注意しながら、近くのチェックポイントまで、退避とのことです!」



「サーチの魔法が使える者もしくは、召喚獣がいるか? 周りの気配を探ってくれ。

こちらから、一番近いチェックポイントまで退避する。」



「琥珀、気配を探れるよね? 周囲に危険がないか探ってくれる?」

ケット・シーは、気配を消すことが得意で、姿を消して闇から闇へと移動可能、魔法も使える。



( 了解。 少し待ってね。 )

( 西の方から、モンスターの大群がくるよ。 )

えっ? ゲームだと演習で襲ってきたモンスター、小型と中型が数匹だったはず……



「アルベルト様、西から、西の方から、モンスターの大群が来るそうです!」



「「「「「 !!!! 」」」」」



「了解した! 東側のチェックポイントまで戻る。

A班、B班の順で進む。先頭は、A班騎士、A班魔法科、B班魔法科、B班班騎士の順で進む。しんがりを2年が務める。

召喚獣を持つ者は、召喚獣を出せ。飛行タイプを持つ者は、上空から偵察させよ。

全員、駆け足!」

「エンバー、モンスターの件と、東へ向かう旨、先生に報告。」

「了解。 君たち1年生は、2年が責任を持って守るからね。落ち着いて行動してね。」と、エンバー先輩が、いたづらっぽくウィンクした。

おびえる1年生を落ち着かせようとしてくれてるみたい。



東のチェックポイントを目指して、もくもくと走る。

どうしても、女の子は遅れがちになる。

「女子にスピードを合わせろ! モンスターの群れとの距離はどうだ? 召喚獣からの報告を頼む。」



飛行タイプの召喚獣をもつ1年生が、

「空からは、今のところ、モンスターの群れは見えないようです。」と報告する。



( まだ、モンスターの大群と距離はあるよ。今、他の班と交戦してる。 )



「アルベルト様、召喚獣の報告では、まだ、モンスターの大群と距離はあるようです。

今、他の班が交戦中とのことです。」



「アルベルト様、交戦中の班に加勢にいきますか? 」

1年の生徒が問う。

「いや、まずは、1年生をぶじチェックポイントへ待避させる。その後は、先生の指示に従う。」



遠くの森から、煙が上がる。

あそこが、交戦中の地らしい。

「始めに言ったように、戦闘となっても、火の魔術はなるべく使うな。森に燃え移れば、自分たちが火に巻かれる。どうしても使うときは、モンスターに必ず当てよ。木に燃え移った場合は、水の魔術で速やかに消火せよ。」







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