13 / 68
第13話 幹部撃破!ブラックライダーの切り札!
しおりを挟む
『エクリプス』とは、勿論地球の言葉である。宇宙の存在だが、地球での呼称である。英語では『日本』を『ジャパン』と呼ぶように、『その能力』のことを、地球ではエクリプスと呼ぶ。精神での意思疏通を行うアビス達に元々言語が無いため、彼らが元人間のハーフアビス達に合わせているのだ。
彼は異種族を同族に変える能力を持つ。エドではない、クリアアビスのエクリプスが居る。地球へは、そのアビスが粒子を飛ばしていた。スタアライトを始め、地球生まれのハーフアビスは大体がそのエクリプスの能力によりアビスと成った。
アビスの種族特性として、『より下位のアビスを支配できる』というものがある。スタアライトはこれにより下位アビスを支配でき、またクリアアビスからの命令には逆らえなかった。
しかし、例外は存在する。
人間が100人居ればひとりふたりは例外が居るように、一定の確率で発生する。予想もできない完全なイレギュラー。主に、『感染しても覚醒しない体質』や『支配できない体質』などだ。アビスにとっても地球の生命体は未解明生物であり、何が起こるか分からない。文明を支配すると言いつつ、動物ばかりで人間にはほぼ感染しなかったように。……それでも侵略しなければならないのだが。
その男は例外であった。まず『人間が感染する』こと自体、地球上での例外である。スタアライトこと星野影士も、人間で感染した例外であったが、感染後はアビスの使命に忠実な戦士だった。
その男は、感染し、ハーフアビスと成った。しかし、クリアアビスからの呼び掛けには応えず、単独行動を始めた。実際には呼び掛けに応えなかったのではない。クリアアビスからの呼び掛けが届かなかったのだ。精神を媒介するアビス同士の連絡だが、その男はそれを受信することができなかった。つまり、クリアアビスはその男の感染も覚醒も把握できなかった。浮いた駒ができてしまったのだ。
その男は、ハーフアビスと成ってから、苦しんだ。既に人間ではない。身体能力や、精神をエネルギーとする未知のパワーの使用。人間を見ると自分より下の存在だと確信してしまう違和感。加えて『精神を食べる』という食性の変化。
そして、自分について調べ始めた。何ができて、どうなっているのか。精神エネルギーを使用して何かできないか。……自分をこんな風にしたのは一体何なのか。
その男は発見した。自分の体内にある粒子に刻まれた名前を。
『エクリプス』
それが、自分を変えた。こんな風にした。この苦痛を与えた。人間の摂る食物は受け付けず、ふとしたことで家屋や町を破壊してしまい、親でさえ感情抜きに見下してしまう。
『エクリプス……!』
男は精神エネルギーを研究し、とある者達と共同でワープ装置を発明した。想像すれば、世界中どこへでも行ける夢の装置。不安定な人間の精神ではできず、エネルギー自体を外部へ留めておく貯蔵庫を作り、そのエネルギーを使ってワープする。
武器も作った。太陽光を集め、精神エネルギーに乗せて打ち出す兵器。光線銃である。
そしてもうひとつ。溜め込んだ精神エネルギーを、自身に還元し、パワーアップを図る秘密兵器。
男は時を待った。エクリプスに復讐する時を。このまま何も無ければ、宇宙へ飛び出していただろう。しかし、アビスは地球を侵略し始めた。
出番である。アークシャインと行動を共にしていれば、いつかエクリプスへと辿り着く。
前へ前へ、進み続けてきた。
彼はこれからもそうするだろう。
ーー
「エクリプスっ!!」
その扉は勢いよく蹴り飛ばされた。作戦指令室である。基地の構造はよく知っている。
「…………」
エドは振り返り、彼が来た道を細目で見る。道中のアビスは全て蹴り殺され、あるいは撃ち殺されていた。10や20ではない数なのだが、その全てが。
「……ブラックライダーか。今日はヘルメットしてないね」
「ああ。見ろよこの醜悪な面を。変わり果てた形相を。俺は人間じゃない」
燃え尽きたような灰色の髪。泣いているような赤い瞳。目元の傷は、流れる涙のように線が走っている。
「人間じゃない?面白いことを言うね」
「てめえを殺す。そのために生きてきた」
エドは、彼らが基地へ乗り込んでくることは当然予想していた。いくつかのゲートはアビスに見張らせていたが、ブラックライダーだけは、バイクにより自力でワープすることができる。
「だけど『君だけ』だね。他の誰かをそのワープに巻き込めない。だからロンドンのあの時、必死にシャインヴィーナスを連れて逃げたんだ」
「どうでも良いから、辞世の句でも考えてろ」
「お客さんだよブラックライダー」
「!」
怒りを露にエドへ向かう。しかし、その背後で気配がした。他のアビスとは比べ物にならない威圧感があった。
「やっと来たわねぇ」
「……あ?」
つかつかと、通路を打ち付けるヒールの音が鳴る。まるでモデルのような歩き方で現れたのは、女性型のアビス…マインであった。
「うふん。やっぱり良い男」
「ふざけてんなよ。今お遊びに付き合ってる暇はねえ」
「大真面目よ。相手してもらうわぁ」
「……」
指令室の入り口はひとつしかない。挟み撃ちの形であると共に、逃げ場も無い。
彼は仕方なく、標的をエクリプスからマインへ変えた。
「君は女性と戦えないんだろ?ブラックライダー。この状況ではどうだ?」
エドが訊ねる。ブラックライダーの弱点が女性であることは、既に分かりきっている。
「……変身っ!」
「!」
ここは敵の本拠地。海水浴場でのような出し惜しみはあり得ない。ブラックライダーは腰のベルト……『貯蔵庫』に手を当て、そのエネルギーを解放した。
ーー
アビスですら迂闊に近寄れない、膨大な精神エネルギーに包まれる。それは形を成し、彼の身体へ『蒸着』される。
アンテナの役割を持つ2本の触角、複眼のような大きな眼のある『仮面』。
体軸のバランサーになり、無駄なエネルギーを逃がすアースにもなる『マフラー』。
全身を覆う黒い特殊ライダースーツは、シャインジャーのものと比べても遜色無い性能を発揮する。
「……へぇ」
その完成度はエドも感心するほどであった。
「覚悟しろエクリプス。追い詰められたのはてめえだよ」
ブラックライダーはエドの命を一直線に貫くように、指を差してロックオンした。
ーー
「アタシを無視しないでよぉっ!」
マインは駆け出した。鞭のようにしなる爪を展開し、ジャンプしてブラックライダーへ襲い掛かる。彼はエドの方を向いたままだ。背後からの奇襲になる。
「!」
のだが。
「邪魔だ」
マインは見た。ブラックライダーの右足が、白熱しているのを。黒いブーツが、何故か青白く熱を発している。
「!?」
右足から火花が散った。奇襲ではない。始めから、彼に対してそんなことは出来ない。あの触角は、複眼は、マフラーは。『ひとりで多人数の敵と戦うことを想定した装備である』と。
彼の身体が回転を始めた。その顔はまだエドを見据えている。だが複眼には、マインの顔も確かに映し出している。
もうマインの爪は、彼へ辿り着く。瞬間、切り裂かれ、彼は死ぬ。だというのに、寧ろマインの方が、自身の死を悟り、世界のスピードが遅くなっていた。
「(……なに……これ)」
振り向いた彼の表情は、仮面のせいで窺い知れない。それは無慈悲な感情にも、同族を殺すことへ涙しているようにも見えた。
マインの思考は、死を前に冷静であった。だから、彼の右足が瞬時に音速を越え、自身の左肩に食い込む様子がはっきりと分かった。
「(……こんな……ライダー……キッ……)」
ナイフでバターを切るように、その白熱した右足は深々と突き刺さる。そこでマインの命は潰え、世界は再びスピードを取り戻した。
ーー
爆発。激震。振り抜かれた右足はバチンと音を立て、熱を放出した。打ち砕かれたマインはプラズマを帯びて爆発四散し、跡形もなく消えた。
「……」
ブラックライダーは再び指令室内を見渡す。エドは既に消えていた。
この状況で、『女性だから』と手加減すれば、あっという間に敗北、そして死だ。ロンドンでひかりを追い詰めた彩と同様、個人的感情でそこをあやふやにしては負ける。
ブラックライダーは、初めて女性に手を挙げた事を悲しむように、仮面から一筋の線が浮き出ている。
「ちっ」
舌打ちをひとつ打ち、その部屋を後にした。
ーー
「はああああ!」
「たあああ!」
激戦の海水浴場。らいちのキック、かりんのパンチを正面から食らい、アイスバーグの右腕と腰辺りの一部が抉られ、吹き飛んだ。
「ぐぉおおぉ……!」
残った左腕で傷口を抑え、悶えるアイスバーグ。鉄壁の防御は、彼女らの前では最早機能していなかった。
「……ふざけろよ……!なんなんだよこの威力…!俺は計算上、戦車砲も耐えるんだぞ!?」
膝を突く。だが憎しみを瞳に宿したアイスバーグは、まだ闘志を燃やしていた。
「ちゃちゃっと終わらせるよかりん!」
「うん」
パニピュアは手を突き出し、必殺技の構えを取った。
「「弧を描く、純粋なる光の神罰!」」
精神エネルギー。一言で片付けられるそれは、実はとても奥が深い。本人の精神の昂りに合わせて増減し、戦闘ではそれを冷静に扱える精密コントロールを要する。
今のパニピュアは中学生と言えど、そこだけに関しては特に秀でていた。
「畜生が……この、家畜どもがああああ!!」
所詮。
「「アーク・シャイニング・パニッシュメント!」」
ハーフアビスでもない、下位アビス。多少強化されようと、ふたりに取ってはアビ太郎と変わり無い。
『防御力』だけに特化したアイスバーグでは、音速で戦闘機動をこなすパニピュアの動きは追えはしない。さらにふたりだ。近接戦闘に於いて、『数』という有利はとても強力である。特撮アニメなどのように、『順番にかかって来てくれる』ような戦闘には決してならない。ブラックライダーのように銃でも持っていなければ、多人数相手など無謀の極みである。
さらに……そのふたりのコンビネーションは、アーシャにより極限まで高められている。精神を相互干渉可能にする『信頼という正義』が、彼女らの勝利を確定させた。
「さあ、行くよ、本拠地!」
「うん。絶対、アーシャを助けるんだから」
小さな英雄、パニピュアの進撃は止まらない。彼女らは滅したアイスバーグの破片などに眼もくれず、ワープ装置へ急いだ。
ーー舞台説明⑬ーー
マインの戦闘力(とスリーサイズ)は一応シャインヴィーナスより上です。
しかし、ハーフアビスの繁殖方法が『他種族の雌を使う』こと(もしくはエクリプスの能力による感染後に他種族の精神を喰らって成長すること)である以上、マインは厳密には女性(雌)では無いのです。
彼は異種族を同族に変える能力を持つ。エドではない、クリアアビスのエクリプスが居る。地球へは、そのアビスが粒子を飛ばしていた。スタアライトを始め、地球生まれのハーフアビスは大体がそのエクリプスの能力によりアビスと成った。
アビスの種族特性として、『より下位のアビスを支配できる』というものがある。スタアライトはこれにより下位アビスを支配でき、またクリアアビスからの命令には逆らえなかった。
しかし、例外は存在する。
人間が100人居ればひとりふたりは例外が居るように、一定の確率で発生する。予想もできない完全なイレギュラー。主に、『感染しても覚醒しない体質』や『支配できない体質』などだ。アビスにとっても地球の生命体は未解明生物であり、何が起こるか分からない。文明を支配すると言いつつ、動物ばかりで人間にはほぼ感染しなかったように。……それでも侵略しなければならないのだが。
その男は例外であった。まず『人間が感染する』こと自体、地球上での例外である。スタアライトこと星野影士も、人間で感染した例外であったが、感染後はアビスの使命に忠実な戦士だった。
その男は、感染し、ハーフアビスと成った。しかし、クリアアビスからの呼び掛けには応えず、単独行動を始めた。実際には呼び掛けに応えなかったのではない。クリアアビスからの呼び掛けが届かなかったのだ。精神を媒介するアビス同士の連絡だが、その男はそれを受信することができなかった。つまり、クリアアビスはその男の感染も覚醒も把握できなかった。浮いた駒ができてしまったのだ。
その男は、ハーフアビスと成ってから、苦しんだ。既に人間ではない。身体能力や、精神をエネルギーとする未知のパワーの使用。人間を見ると自分より下の存在だと確信してしまう違和感。加えて『精神を食べる』という食性の変化。
そして、自分について調べ始めた。何ができて、どうなっているのか。精神エネルギーを使用して何かできないか。……自分をこんな風にしたのは一体何なのか。
その男は発見した。自分の体内にある粒子に刻まれた名前を。
『エクリプス』
それが、自分を変えた。こんな風にした。この苦痛を与えた。人間の摂る食物は受け付けず、ふとしたことで家屋や町を破壊してしまい、親でさえ感情抜きに見下してしまう。
『エクリプス……!』
男は精神エネルギーを研究し、とある者達と共同でワープ装置を発明した。想像すれば、世界中どこへでも行ける夢の装置。不安定な人間の精神ではできず、エネルギー自体を外部へ留めておく貯蔵庫を作り、そのエネルギーを使ってワープする。
武器も作った。太陽光を集め、精神エネルギーに乗せて打ち出す兵器。光線銃である。
そしてもうひとつ。溜め込んだ精神エネルギーを、自身に還元し、パワーアップを図る秘密兵器。
男は時を待った。エクリプスに復讐する時を。このまま何も無ければ、宇宙へ飛び出していただろう。しかし、アビスは地球を侵略し始めた。
出番である。アークシャインと行動を共にしていれば、いつかエクリプスへと辿り着く。
前へ前へ、進み続けてきた。
彼はこれからもそうするだろう。
ーー
「エクリプスっ!!」
その扉は勢いよく蹴り飛ばされた。作戦指令室である。基地の構造はよく知っている。
「…………」
エドは振り返り、彼が来た道を細目で見る。道中のアビスは全て蹴り殺され、あるいは撃ち殺されていた。10や20ではない数なのだが、その全てが。
「……ブラックライダーか。今日はヘルメットしてないね」
「ああ。見ろよこの醜悪な面を。変わり果てた形相を。俺は人間じゃない」
燃え尽きたような灰色の髪。泣いているような赤い瞳。目元の傷は、流れる涙のように線が走っている。
「人間じゃない?面白いことを言うね」
「てめえを殺す。そのために生きてきた」
エドは、彼らが基地へ乗り込んでくることは当然予想していた。いくつかのゲートはアビスに見張らせていたが、ブラックライダーだけは、バイクにより自力でワープすることができる。
「だけど『君だけ』だね。他の誰かをそのワープに巻き込めない。だからロンドンのあの時、必死にシャインヴィーナスを連れて逃げたんだ」
「どうでも良いから、辞世の句でも考えてろ」
「お客さんだよブラックライダー」
「!」
怒りを露にエドへ向かう。しかし、その背後で気配がした。他のアビスとは比べ物にならない威圧感があった。
「やっと来たわねぇ」
「……あ?」
つかつかと、通路を打ち付けるヒールの音が鳴る。まるでモデルのような歩き方で現れたのは、女性型のアビス…マインであった。
「うふん。やっぱり良い男」
「ふざけてんなよ。今お遊びに付き合ってる暇はねえ」
「大真面目よ。相手してもらうわぁ」
「……」
指令室の入り口はひとつしかない。挟み撃ちの形であると共に、逃げ場も無い。
彼は仕方なく、標的をエクリプスからマインへ変えた。
「君は女性と戦えないんだろ?ブラックライダー。この状況ではどうだ?」
エドが訊ねる。ブラックライダーの弱点が女性であることは、既に分かりきっている。
「……変身っ!」
「!」
ここは敵の本拠地。海水浴場でのような出し惜しみはあり得ない。ブラックライダーは腰のベルト……『貯蔵庫』に手を当て、そのエネルギーを解放した。
ーー
アビスですら迂闊に近寄れない、膨大な精神エネルギーに包まれる。それは形を成し、彼の身体へ『蒸着』される。
アンテナの役割を持つ2本の触角、複眼のような大きな眼のある『仮面』。
体軸のバランサーになり、無駄なエネルギーを逃がすアースにもなる『マフラー』。
全身を覆う黒い特殊ライダースーツは、シャインジャーのものと比べても遜色無い性能を発揮する。
「……へぇ」
その完成度はエドも感心するほどであった。
「覚悟しろエクリプス。追い詰められたのはてめえだよ」
ブラックライダーはエドの命を一直線に貫くように、指を差してロックオンした。
ーー
「アタシを無視しないでよぉっ!」
マインは駆け出した。鞭のようにしなる爪を展開し、ジャンプしてブラックライダーへ襲い掛かる。彼はエドの方を向いたままだ。背後からの奇襲になる。
「!」
のだが。
「邪魔だ」
マインは見た。ブラックライダーの右足が、白熱しているのを。黒いブーツが、何故か青白く熱を発している。
「!?」
右足から火花が散った。奇襲ではない。始めから、彼に対してそんなことは出来ない。あの触角は、複眼は、マフラーは。『ひとりで多人数の敵と戦うことを想定した装備である』と。
彼の身体が回転を始めた。その顔はまだエドを見据えている。だが複眼には、マインの顔も確かに映し出している。
もうマインの爪は、彼へ辿り着く。瞬間、切り裂かれ、彼は死ぬ。だというのに、寧ろマインの方が、自身の死を悟り、世界のスピードが遅くなっていた。
「(……なに……これ)」
振り向いた彼の表情は、仮面のせいで窺い知れない。それは無慈悲な感情にも、同族を殺すことへ涙しているようにも見えた。
マインの思考は、死を前に冷静であった。だから、彼の右足が瞬時に音速を越え、自身の左肩に食い込む様子がはっきりと分かった。
「(……こんな……ライダー……キッ……)」
ナイフでバターを切るように、その白熱した右足は深々と突き刺さる。そこでマインの命は潰え、世界は再びスピードを取り戻した。
ーー
爆発。激震。振り抜かれた右足はバチンと音を立て、熱を放出した。打ち砕かれたマインはプラズマを帯びて爆発四散し、跡形もなく消えた。
「……」
ブラックライダーは再び指令室内を見渡す。エドは既に消えていた。
この状況で、『女性だから』と手加減すれば、あっという間に敗北、そして死だ。ロンドンでひかりを追い詰めた彩と同様、個人的感情でそこをあやふやにしては負ける。
ブラックライダーは、初めて女性に手を挙げた事を悲しむように、仮面から一筋の線が浮き出ている。
「ちっ」
舌打ちをひとつ打ち、その部屋を後にした。
ーー
「はああああ!」
「たあああ!」
激戦の海水浴場。らいちのキック、かりんのパンチを正面から食らい、アイスバーグの右腕と腰辺りの一部が抉られ、吹き飛んだ。
「ぐぉおおぉ……!」
残った左腕で傷口を抑え、悶えるアイスバーグ。鉄壁の防御は、彼女らの前では最早機能していなかった。
「……ふざけろよ……!なんなんだよこの威力…!俺は計算上、戦車砲も耐えるんだぞ!?」
膝を突く。だが憎しみを瞳に宿したアイスバーグは、まだ闘志を燃やしていた。
「ちゃちゃっと終わらせるよかりん!」
「うん」
パニピュアは手を突き出し、必殺技の構えを取った。
「「弧を描く、純粋なる光の神罰!」」
精神エネルギー。一言で片付けられるそれは、実はとても奥が深い。本人の精神の昂りに合わせて増減し、戦闘ではそれを冷静に扱える精密コントロールを要する。
今のパニピュアは中学生と言えど、そこだけに関しては特に秀でていた。
「畜生が……この、家畜どもがああああ!!」
所詮。
「「アーク・シャイニング・パニッシュメント!」」
ハーフアビスでもない、下位アビス。多少強化されようと、ふたりに取ってはアビ太郎と変わり無い。
『防御力』だけに特化したアイスバーグでは、音速で戦闘機動をこなすパニピュアの動きは追えはしない。さらにふたりだ。近接戦闘に於いて、『数』という有利はとても強力である。特撮アニメなどのように、『順番にかかって来てくれる』ような戦闘には決してならない。ブラックライダーのように銃でも持っていなければ、多人数相手など無謀の極みである。
さらに……そのふたりのコンビネーションは、アーシャにより極限まで高められている。精神を相互干渉可能にする『信頼という正義』が、彼女らの勝利を確定させた。
「さあ、行くよ、本拠地!」
「うん。絶対、アーシャを助けるんだから」
小さな英雄、パニピュアの進撃は止まらない。彼女らは滅したアイスバーグの破片などに眼もくれず、ワープ装置へ急いだ。
ーー舞台説明⑬ーー
マインの戦闘力(とスリーサイズ)は一応シャインヴィーナスより上です。
しかし、ハーフアビスの繁殖方法が『他種族の雌を使う』こと(もしくはエクリプスの能力による感染後に他種族の精神を喰らって成長すること)である以上、マインは厳密には女性(雌)では無いのです。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
サイレント・サブマリン ―虚構の海―
来栖とむ
SF
彼女が追った真実は、国家が仕組んだ最大の嘘だった。
科学技術雑誌の記者・前田香里奈は、謎の科学者失踪事件を追っていた。
電磁推進システムの研究者・水嶋総。彼の技術は、完全無音で航行できる革命的な潜水艦を可能にする。
小与島の秘密施設、広島の地下工事、呉の巨大な格納庫—— 断片的な情報を繋ぎ合わせ、前田は確信する。
「日本政府は、秘密裏に新型潜水艦を開発している」
しかし、その真実を暴こうとする前田に、次々と圧力がかかる。
謎の男・安藤。突然現れた協力者・森川。 彼らは敵か、味方か——
そして8月の夜、前田は目撃する。 海に下ろされる巨大な「何か」を。
記者が追った真実は、国家が仕組んだ壮大な虚構だった。 疑念こそが武器となり、嘘が現実を変える——
これは、情報戦の時代に問う、現代SF政治サスペンス。
【全17話完結】
セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち
ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。
クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。
それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。
そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決!
その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。
異世界で農業を -異世界編-
半道海豚
SF
地球温暖化が進んだ近未来のお話しです。世界は食糧難に陥っていますが、日本はどうにか食糧の確保に成功しています。しかし、その裏で、食糧マフィアが暗躍。誰もが食費の高騰に悩み、危機に陥っています。
そんな世界で自給自足で乗り越えようとした男性がいました。彼は農地を作るため、祖先が残した管理されていない荒れた山に戻ります。そして、異世界への通路を発見するのです。異常気象の元世界ではなく、気候が安定した異世界での農業に活路を見出そうとしますが、異世界は理不尽な封建制社会でした。
忘却の艦隊
KeyBow
SF
新設された超弩級砲艦を旗艦とし新造艦と老朽艦の入れ替え任務に就いていたが、駐留基地に入るには数が多く、月の1つにて物資と人員の入れ替えを行っていた。
大型輸送艦は工作艦を兼ねた。
総勢250艦の航宙艦は退役艦が110艦、入れ替え用が同数。
残り30艦は増強に伴い新規配備される艦だった。
輸送任務の最先任士官は大佐。
新造砲艦の設計にも関わり、旗艦の引き渡しのついでに他の艦の指揮も執り行っていた。
本来艦隊の指揮は少将以上だが、輸送任務の為、設計に関わった大佐が任命された。
他に星系防衛の指揮官として少将と、退役間近の大将とその副官や副長が視察の為便乗していた。
公安に近い監査だった。
しかし、この2名とその側近はこの艦隊及び駐留艦隊の指揮系統から外れている。
そんな人員の載せ替えが半分ほど行われた時に中緊急警報が鳴り、ライナン星系第3惑星より緊急の救援要請が入る。
機転を利かせ砲艦で敵の大半を仕留めるも、苦し紛れに敵は主系列星を人口ブラックホールにしてしまった。
完全にブラックホールに成長し、その重力から逃れられないようになるまで数分しか猶予が無かった。
意図しない戦闘の影響から士気はだだ下がり。そのブラックホールから逃れる為、禁止されている重力ジャンプを敢行する。
恒星から近い距離では禁止されているし、システム的にも不可だった。
なんとか制限内に解除し、重力ジャンプを敢行した。
しかし、禁止されているその理由通りの状況に陥った。
艦隊ごとセットした座標からズレ、恒星から数光年離れた所にジャンプし【ワープのような架空の移動方法】、再び重力ジャンプ可能な所まで移動するのに33年程掛かる。
そんな中忘れ去られた艦隊が33年の月日の後、本星へと帰還を目指す。
果たして彼らは帰還できるのか?
帰還出来たとして彼らに待ち受ける運命は?
滝川家の人びと
卯花月影
歴史・時代
勝利のために走るのではない。
生きるために走る者は、
傷を負いながらも、歩みを止めない。
戦国という時代の只中で、
彼らは何を失い、
走り続けたのか。
滝川一益と、その郎党。
これは、勝者の物語ではない。
生き延びた者たちの記録である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる