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第53話 オルヴァリオの件
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「オルヴァ!!」
「わっ」
客室のドアを殴るように開けた。リディが驚いてカップを落としそうになる。
「な、なによ。話は終わったの?」
「オルヴァは来てないか? サスリカはどうした」
「なに慌ててんの。オルヴァリオならさっき来て、なんか聞きたいことがあるってサスリカと出てったけど」
「なんだと!!」
リディの説明を聞いて、『確信』してしまったクリューはそのまま屋敷を飛び出した。
「ちょっと、なんなのよ!」
「リディも付いてこい!」
「はぁ?」
窓から声を掛けるとクリューはこちらを一切振り向かずに呼んだ。リディはやれやれと窓から飛んで、屋敷を出た。
クリューは走る。オルヴァリオの家のあった場所へ。更地になど、ありえない。聞いていない。確かにここ数年は家に呼ばれてはいないが。だからと言って——
「……はぁっ! はぁ!」
「ちょ……はぁ。はぁ、もう。なんなのよぉ~」
石垣に囲まれた、『土地』。真ん中に看板が立っていた。
『売土地』と。
「…………なんだと……!」
「ねえ、説明しなさいよ。ここは何?」
全く意味の分かっていないリディ。とうとうクリューの肩を掴んだ。
「……オルヴァの実家」
「えっ!?」
「と、俺が思っていた場所だ」
「!」
掴んだクリューの肩は震えていた。走って息を切らしたから、だけではない。
「…………あいつは『ネヴァン商会』だ」
「はぁ!?」
「………………戻ろう。話を整理する」
「ちょっ……」
まず。
冷静にならなければ。クリューはそう強く念じた。鼓動は収まってくれないが、律さなければならない。不審な点はある。まず、落ち着いて考察しなければ。
「『特級トレジャーを集めている』んだ。サスリカがすぐ殺されることは無い」
「はぁ!? だから、説明を……って、戻ってからしてくれるのね」
「ああ」
どの道、もう日が暮れる。今晩は屋敷で一泊しなければならない。昼間であれば、一日中オルヴァリオを探し回ったかもしれないが。
屋敷へ戻る道中、クリューは必死に考えていた。頭の中で、纏めていた。あらゆる感情と、思考を。論理と因果を。そしてオルヴァリオの姿を。
「……クリューよ。取引の件だが」
「父上」
「む」
久々の実家の食事も喉を通らない。生命維持に必要な分を機械的に摂取するクリュー。詳しい事情は、父には話さなかった。
「『全てが終わった後』で。履行することを許してください。私は今、私の人生に於いて最大の『試練』の最中でした」
「……良いだろう。好きなだけやれ」
サスリカが居ない。リディの顔色も悪い。レアダスは察したのだ。息子にとって『今』は、非常に大事な時期なのだと。
「じゃあ、オルヴァリオはサスリカを盗んで? 拐って? ネヴァン商会に戻ったのね」
「……行動としては、そうなるだろう」
「なによ、その言い方」
食後。クリューの自室にて。リディへとことの顛末を話す。自分の考えを纏めて。
「……リディは、オルヴァが俺達を騙していたと思うか」
「…………」
訊かれて思い返す。トレジャーハンターへの憧れ。剣へのひたむきさ。自分へのあの言葉。
「思わないわ。あいつ、やっぱりあたし達との旅を楽しんでた」
「そうだ。今回の帰郷だって別にあいつが提案した訳じゃない。俺だ。つまり奴は、この街に帰ってくるまでは、まだ俺達の仲間だったんだ」
「……ここで『誰か』に会って、『変わった』ってこと?」
リディも首を傾げて考える。
「そう言えば、なんか『最悪だ』とか言って溜め息吐いてたわ。様子がおかしかったのよ」
「それだな。俺達は『ギドー家』がネヴァン商会に絡んでいることを知らなかった。恐らくオルヴァもだ。……あいつは俺を騙す奴じゃない。裏切るような性格じゃない」
「…………」
クリューを見る。彼は震えていた。怒りだろうか。それとも別の感情だろうか。
「……『全て』知らなければ。奴の事情。理由。居場所。ネヴァン商会の全て。ギドーの全て。古代文明の全て。……追うぞリディ」
「ええ勿論」
グレイシアだけではない。オルヴァリオとサスリカも、『ネヴァン商会』に奪われた。
「このままじゃ終われないわよ」
「ああ」
ふたりで拳を握った。
「わっ」
客室のドアを殴るように開けた。リディが驚いてカップを落としそうになる。
「な、なによ。話は終わったの?」
「オルヴァは来てないか? サスリカはどうした」
「なに慌ててんの。オルヴァリオならさっき来て、なんか聞きたいことがあるってサスリカと出てったけど」
「なんだと!!」
リディの説明を聞いて、『確信』してしまったクリューはそのまま屋敷を飛び出した。
「ちょっと、なんなのよ!」
「リディも付いてこい!」
「はぁ?」
窓から声を掛けるとクリューはこちらを一切振り向かずに呼んだ。リディはやれやれと窓から飛んで、屋敷を出た。
クリューは走る。オルヴァリオの家のあった場所へ。更地になど、ありえない。聞いていない。確かにここ数年は家に呼ばれてはいないが。だからと言って——
「……はぁっ! はぁ!」
「ちょ……はぁ。はぁ、もう。なんなのよぉ~」
石垣に囲まれた、『土地』。真ん中に看板が立っていた。
『売土地』と。
「…………なんだと……!」
「ねえ、説明しなさいよ。ここは何?」
全く意味の分かっていないリディ。とうとうクリューの肩を掴んだ。
「……オルヴァの実家」
「えっ!?」
「と、俺が思っていた場所だ」
「!」
掴んだクリューの肩は震えていた。走って息を切らしたから、だけではない。
「…………あいつは『ネヴァン商会』だ」
「はぁ!?」
「………………戻ろう。話を整理する」
「ちょっ……」
まず。
冷静にならなければ。クリューはそう強く念じた。鼓動は収まってくれないが、律さなければならない。不審な点はある。まず、落ち着いて考察しなければ。
「『特級トレジャーを集めている』んだ。サスリカがすぐ殺されることは無い」
「はぁ!? だから、説明を……って、戻ってからしてくれるのね」
「ああ」
どの道、もう日が暮れる。今晩は屋敷で一泊しなければならない。昼間であれば、一日中オルヴァリオを探し回ったかもしれないが。
屋敷へ戻る道中、クリューは必死に考えていた。頭の中で、纏めていた。あらゆる感情と、思考を。論理と因果を。そしてオルヴァリオの姿を。
「……クリューよ。取引の件だが」
「父上」
「む」
久々の実家の食事も喉を通らない。生命維持に必要な分を機械的に摂取するクリュー。詳しい事情は、父には話さなかった。
「『全てが終わった後』で。履行することを許してください。私は今、私の人生に於いて最大の『試練』の最中でした」
「……良いだろう。好きなだけやれ」
サスリカが居ない。リディの顔色も悪い。レアダスは察したのだ。息子にとって『今』は、非常に大事な時期なのだと。
「じゃあ、オルヴァリオはサスリカを盗んで? 拐って? ネヴァン商会に戻ったのね」
「……行動としては、そうなるだろう」
「なによ、その言い方」
食後。クリューの自室にて。リディへとことの顛末を話す。自分の考えを纏めて。
「……リディは、オルヴァが俺達を騙していたと思うか」
「…………」
訊かれて思い返す。トレジャーハンターへの憧れ。剣へのひたむきさ。自分へのあの言葉。
「思わないわ。あいつ、やっぱりあたし達との旅を楽しんでた」
「そうだ。今回の帰郷だって別にあいつが提案した訳じゃない。俺だ。つまり奴は、この街に帰ってくるまでは、まだ俺達の仲間だったんだ」
「……ここで『誰か』に会って、『変わった』ってこと?」
リディも首を傾げて考える。
「そう言えば、なんか『最悪だ』とか言って溜め息吐いてたわ。様子がおかしかったのよ」
「それだな。俺達は『ギドー家』がネヴァン商会に絡んでいることを知らなかった。恐らくオルヴァもだ。……あいつは俺を騙す奴じゃない。裏切るような性格じゃない」
「…………」
クリューを見る。彼は震えていた。怒りだろうか。それとも別の感情だろうか。
「……『全て』知らなければ。奴の事情。理由。居場所。ネヴァン商会の全て。ギドーの全て。古代文明の全て。……追うぞリディ」
「ええ勿論」
グレイシアだけではない。オルヴァリオとサスリカも、『ネヴァン商会』に奪われた。
「このままじゃ終われないわよ」
「ああ」
ふたりで拳を握った。
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