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男性事務員がこぼします。
「あの常務のパワハラのせいでいったい何人の設計士が辞めてったことか・・・」
それに女性事務員が応えます。
「なんであんな人がうちの常務になったの?・・・」
「次はオレたちかも・・・」
執務机の前、明石父は毅然とした態度を変えません。
「わかりました。書き直してきます」
「当たり前だ! 大人なら万人が読める報告書を書いてこい!」
明石父はくるっと振り返り、歩き始めようとしました。が、ここで太った常務がニヤッと笑い、
「そういや、お前んとこの息子、引き籠ってるんだってなあ!」
その発言に明石父はビクッとしました。常務は発言を続けます。
「ごく潰しかぁ~? 親がバカだと子にも遺伝するんだなあ。がはは!」
明石父は振り返らず、横目で常務を見ました。ここまでは平然を装ってきましたが、今はかなり険しい眼つきになってます。
当たり前です。明石父にとって準一は最大の弱点。絶対触れて欲しくありません。それをこのバカ常務は土足で上がり込んできたのです。
常務の上から目線の発言が続きます。
「オレんとこの息子は大学に行ってるぞ、お前んとことは出来が違うんだよ。がーはははーっ!」
常務は高笑い。ちなみに、その息子が通ってる大学は、入試試験で解答用紙に自分の名前を漢字で書ければ入れる程度の大学です。
けど、そのセリフに明石父の血は一気に沸騰しました。
明石父は振り向きざま封筒を1つ、手裏剣のように投げました。それが常務の右眼の下に命中。常務は悲鳴をあげました。
「うぎゃーっ!」
常務は机に落ちたその封筒を左手で持ちました。
「なんじゃこりゃーっ!」
なお、常務の右手は封筒が当たった右の眼の下を押さえています。手の隙間から1筋の血が流れて来ました。
明石父はきっぱりと回答します。
「退職願です!」
その発言にこの事務室にいる人全員がビクッと反応しました。が、常務の反応は逆でした。
「ぐぐぐーっ! ふざけんなーっ!」
常務はその封筒を掴むと、ビリッと手で真っ二つに。
「退職なんか認めるかーっ! お前なんか懲戒免職だっ! 退職金なんか一切出さんからなーっ!」
歩きだす明石父。
「お好きに」
常務の怒りは収まりません。
「ちょ、ちょっと待てーっ!」
常務は手元の固定電話の受話器を持ち、ダイヤルボタンを押しました。
「くっそーっ、警察に通報してやる!」
けど、明石父はドアを開けてます。常務はそれを見るとさらなる罵声を浴びせます。
「ごらぁ、逃げんなーっ! お前みたいなヤカラは暴行罪、いや、傷害罪で逮捕だーっ!」
ドアがバタンと閉まりました。
廊下。明石父の眼が殺気に満ちてます。そのまま歩き去って行きました。
「ついにこの日が来た・・・」
再び事務室。今この部屋にいる事務員と設計士の何人かは懐に手を入れ、残りの者はディスクの引き出しを開け、1枚の封筒を手にしました。
先ほどの男性事務員と女性事務員も顔を見合わせ互いにうなずくと、立ち上がりました。
そのまま全員立ち上がり、常務が座る執務机に向かいました。驚く常務。
「な、なんだ、お前ら!?」
最初に執務机に到達した設計士がバーンと掌で机を叩きました。びっくりする常務。
「うう?・・・」
執務机の上には退職願と書かれた封筒がありました。設計士がその封筒を叩きつけたのです。
「明石さんは何度も何度も設計コンペで入賞しています。あの人がいなくなったらこの設計事務所は終わりです。あの人が辞めるんなら、私も辞めます!」
「あの常務のパワハラのせいでいったい何人の設計士が辞めてったことか・・・」
それに女性事務員が応えます。
「なんであんな人がうちの常務になったの?・・・」
「次はオレたちかも・・・」
執務机の前、明石父は毅然とした態度を変えません。
「わかりました。書き直してきます」
「当たり前だ! 大人なら万人が読める報告書を書いてこい!」
明石父はくるっと振り返り、歩き始めようとしました。が、ここで太った常務がニヤッと笑い、
「そういや、お前んとこの息子、引き籠ってるんだってなあ!」
その発言に明石父はビクッとしました。常務は発言を続けます。
「ごく潰しかぁ~? 親がバカだと子にも遺伝するんだなあ。がはは!」
明石父は振り返らず、横目で常務を見ました。ここまでは平然を装ってきましたが、今はかなり険しい眼つきになってます。
当たり前です。明石父にとって準一は最大の弱点。絶対触れて欲しくありません。それをこのバカ常務は土足で上がり込んできたのです。
常務の上から目線の発言が続きます。
「オレんとこの息子は大学に行ってるぞ、お前んとことは出来が違うんだよ。がーはははーっ!」
常務は高笑い。ちなみに、その息子が通ってる大学は、入試試験で解答用紙に自分の名前を漢字で書ければ入れる程度の大学です。
けど、そのセリフに明石父の血は一気に沸騰しました。
明石父は振り向きざま封筒を1つ、手裏剣のように投げました。それが常務の右眼の下に命中。常務は悲鳴をあげました。
「うぎゃーっ!」
常務は机に落ちたその封筒を左手で持ちました。
「なんじゃこりゃーっ!」
なお、常務の右手は封筒が当たった右の眼の下を押さえています。手の隙間から1筋の血が流れて来ました。
明石父はきっぱりと回答します。
「退職願です!」
その発言にこの事務室にいる人全員がビクッと反応しました。が、常務の反応は逆でした。
「ぐぐぐーっ! ふざけんなーっ!」
常務はその封筒を掴むと、ビリッと手で真っ二つに。
「退職なんか認めるかーっ! お前なんか懲戒免職だっ! 退職金なんか一切出さんからなーっ!」
歩きだす明石父。
「お好きに」
常務の怒りは収まりません。
「ちょ、ちょっと待てーっ!」
常務は手元の固定電話の受話器を持ち、ダイヤルボタンを押しました。
「くっそーっ、警察に通報してやる!」
けど、明石父はドアを開けてます。常務はそれを見るとさらなる罵声を浴びせます。
「ごらぁ、逃げんなーっ! お前みたいなヤカラは暴行罪、いや、傷害罪で逮捕だーっ!」
ドアがバタンと閉まりました。
廊下。明石父の眼が殺気に満ちてます。そのまま歩き去って行きました。
「ついにこの日が来た・・・」
再び事務室。今この部屋にいる事務員と設計士の何人かは懐に手を入れ、残りの者はディスクの引き出しを開け、1枚の封筒を手にしました。
先ほどの男性事務員と女性事務員も顔を見合わせ互いにうなずくと、立ち上がりました。
そのまま全員立ち上がり、常務が座る執務机に向かいました。驚く常務。
「な、なんだ、お前ら!?」
最初に執務机に到達した設計士がバーンと掌で机を叩きました。びっくりする常務。
「うう?・・・」
執務机の上には退職願と書かれた封筒がありました。設計士がその封筒を叩きつけたのです。
「明石さんは何度も何度も設計コンペで入賞しています。あの人がいなくなったらこの設計事務所は終わりです。あの人が辞めるんなら、私も辞めます!」
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