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月夜。と言っても、この世界の月はジャガイモのようにゴツゴツしてます。あまりかっこいい月夜ではありません。月の下にはノルン王国の宮殿が見えます。
宮殿の大広間。巨大な魔法円の中心に姫と準一が並んで立ってます。姫は右手に箒を持ってます。箒は床に垂直に握られてます。
魔法円は全体的に青く光ってます。魔法円のすぐ外には侍従長とコマンダー、お側ご用人の2人、その他の兵士が立ってます。
侍従長が姫に訴えてます。
「姫、必ず帰って来てください。約束ですぞ! 今回は1時間、1時間で帰ってきてください!」
姫はすっとぼけるように応えます。
「あは、2時間にしてよ」
「ダメです! 1時間ですぞ、1時間!」
巨漢のコマンダーも心配そう。
「姫、自分も連れてってください!」
そして準一を指差して、
「こいつより自分の方がずーっと役に立ちます!」
それを聞いて準一はびっくり。
「ええ~!?」
姫はわざとらしく苦笑して、
「あは、前から言ってんじゃん。あなたにはマナの力はないから、次元の壁を超えることはできないって。それにあなたの体重じゃ、私の箒に乗れないんじゃない?」
コマンダーは悔しそう。
「うむ・・・」
魔法円を覆う青い炎がさらに輝きを増しました。姫。
「じゃ、行ってくんね!」
姫と準一の姿がパッと消えました。と同時に魔法円を覆う青い炎もピタッとやみました。
満月から少し欠けた月。と言ってもノルン王国にあるゴツゴツとした月ではなく、きちんとした球体の月です。その月下に姫と準一を乗せた箒がこつ然と現れました。
眼下には煌々とした夜景がが広がってます。準一には見慣れた街の灯。そう、ここは準一が生まれ育った街です。
準一はぽつり。
「帰って来た・・・
けど、なんだ? 転移する前は箒に跨ってなかったのに、転移したら箒に跨ってる?・・・」
今度は前に乗ってる姫の背中を見て思いました。
「これも姫の魔法なのか?」
姫はMの文字の看板を見ました。
「あーあ、1時間で帰ってこいってひどいなあ。私はこの世界に来たら、必ずあのお店に行くのに・・・」
「え~ マ〇ドナ〇ド? なんであの店に?」
「食べるのよ、ハンバーガーを、当然でしょ!
向こうの世界にいるときは、料理ができてから2時間しないと食べることができなかったのよ、私」
「え、どうして?」
「毒」
「え、毒?・・・ お毒見役がいるんじゃないの?」
「今はねぇ、食べてから1時間以上経ってから効果を発揮する毒があるんだって。私の従弟と伯母は、その遅効性の毒にやられたんだって」
「へー、そんな毒があるんだ・・・」
準一は半日前の自分と侍従長の会話を思い出しました。
「お毒見役はいなかったのですか? 3代前の女王様は毒殺されたんでしょ?」
「恥ずかしながら我々侍従衆も、この頃になるとかなり気が緩んでました」
今の準一。
「王室の知らないところで遅効性の毒が開発されていたのか? 悪いこと言っちゃったな、侍従長に・・・」
姫。
「ともかく1時間しか許されてないから、早く行かないと!」
姫と準一が乗る箒は、自衛隊基地の敷地内に入りました。だだっ広い滑走路の端にコンクリート建ての無骨な平屋の建物があります。姫はそれを見て、
「今夜のターゲットはアレよ!」
自衛隊の施設の中にある部屋。1人の隊員がレーダースコープを見てます。今何かに気づき、はっとしました。
「レーダーに反応が!?」
彼の上司らしき男が反応しました。
「ん?」
上司はレーダースコープをのぞき込みます。隊員はレーダースコープの1ヶ所を専用のペンで差し、
「これ、鳥にしては大きいような気がするのですが?・・・」
「う~ん、高度が低いなあ・・・ この大きさ、もしや、ドローンか?」
上司は振り返り、別のパソコンを見てる隊員に質問。
「電波の送受信は?」
「ありません!」
さらに別のパソコンを見てる隊員に質問。
「金属反応は?」
「ありません!」
上司は納得。
「電波の送受信がない? 金属反応もなし?・・・ これは鳥だな。渡り鳥だろ!」
レーダースコープを見てる隊員は、まだ疑問に思ってるようです。
「鳥ですか?・・・ う~ん、鳥にしちゃ大きいような? なんの鳥だろ?・・・」
宮殿の大広間。巨大な魔法円の中心に姫と準一が並んで立ってます。姫は右手に箒を持ってます。箒は床に垂直に握られてます。
魔法円は全体的に青く光ってます。魔法円のすぐ外には侍従長とコマンダー、お側ご用人の2人、その他の兵士が立ってます。
侍従長が姫に訴えてます。
「姫、必ず帰って来てください。約束ですぞ! 今回は1時間、1時間で帰ってきてください!」
姫はすっとぼけるように応えます。
「あは、2時間にしてよ」
「ダメです! 1時間ですぞ、1時間!」
巨漢のコマンダーも心配そう。
「姫、自分も連れてってください!」
そして準一を指差して、
「こいつより自分の方がずーっと役に立ちます!」
それを聞いて準一はびっくり。
「ええ~!?」
姫はわざとらしく苦笑して、
「あは、前から言ってんじゃん。あなたにはマナの力はないから、次元の壁を超えることはできないって。それにあなたの体重じゃ、私の箒に乗れないんじゃない?」
コマンダーは悔しそう。
「うむ・・・」
魔法円を覆う青い炎がさらに輝きを増しました。姫。
「じゃ、行ってくんね!」
姫と準一の姿がパッと消えました。と同時に魔法円を覆う青い炎もピタッとやみました。
満月から少し欠けた月。と言ってもノルン王国にあるゴツゴツとした月ではなく、きちんとした球体の月です。その月下に姫と準一を乗せた箒がこつ然と現れました。
眼下には煌々とした夜景がが広がってます。準一には見慣れた街の灯。そう、ここは準一が生まれ育った街です。
準一はぽつり。
「帰って来た・・・
けど、なんだ? 転移する前は箒に跨ってなかったのに、転移したら箒に跨ってる?・・・」
今度は前に乗ってる姫の背中を見て思いました。
「これも姫の魔法なのか?」
姫はMの文字の看板を見ました。
「あーあ、1時間で帰ってこいってひどいなあ。私はこの世界に来たら、必ずあのお店に行くのに・・・」
「え~ マ〇ドナ〇ド? なんであの店に?」
「食べるのよ、ハンバーガーを、当然でしょ!
向こうの世界にいるときは、料理ができてから2時間しないと食べることができなかったのよ、私」
「え、どうして?」
「毒」
「え、毒?・・・ お毒見役がいるんじゃないの?」
「今はねぇ、食べてから1時間以上経ってから効果を発揮する毒があるんだって。私の従弟と伯母は、その遅効性の毒にやられたんだって」
「へー、そんな毒があるんだ・・・」
準一は半日前の自分と侍従長の会話を思い出しました。
「お毒見役はいなかったのですか? 3代前の女王様は毒殺されたんでしょ?」
「恥ずかしながら我々侍従衆も、この頃になるとかなり気が緩んでました」
今の準一。
「王室の知らないところで遅効性の毒が開発されていたのか? 悪いこと言っちゃったな、侍従長に・・・」
姫。
「ともかく1時間しか許されてないから、早く行かないと!」
姫と準一が乗る箒は、自衛隊基地の敷地内に入りました。だだっ広い滑走路の端にコンクリート建ての無骨な平屋の建物があります。姫はそれを見て、
「今夜のターゲットはアレよ!」
自衛隊の施設の中にある部屋。1人の隊員がレーダースコープを見てます。今何かに気づき、はっとしました。
「レーダーに反応が!?」
彼の上司らしき男が反応しました。
「ん?」
上司はレーダースコープをのぞき込みます。隊員はレーダースコープの1ヶ所を専用のペンで差し、
「これ、鳥にしては大きいような気がするのですが?・・・」
「う~ん、高度が低いなあ・・・ この大きさ、もしや、ドローンか?」
上司は振り返り、別のパソコンを見てる隊員に質問。
「電波の送受信は?」
「ありません!」
さらに別のパソコンを見てる隊員に質問。
「金属反応は?」
「ありません!」
上司は納得。
「電波の送受信がない? 金属反応もなし?・・・ これは鳥だな。渡り鳥だろ!」
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「鳥ですか?・・・ う~ん、鳥にしちゃ大きいような? なんの鳥だろ?・・・」
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