私は生きている?

yoto@sanpo

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私は生きている

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2024年夏。山下裕一は家族3人で遊園地へ来ていた。平日なのでそれ程混まないのではと考えていたが甘かった。それでも、50分待ちなら良いほうだろう。
 列に並んで待つことにした。娘のさくらは笑顔で父親に抱きついて甘えている。妻の美咲は裕一と同じ大学で出会った同年代の34歳で、じゃれあう裕一とさくらを笑いながら見ている。
 
 灼熱の太陽は容赦なく地上の人々を灼き尽くす
「もう駄目暑くて歩けないわ……」
「パパ、ママお腹すいた~」
「そうだな、じゃあ休憩して何か食べようか」
 
「うわぁ…満席で座れそうもないな…」

「あの~、私たち食事すみましたのでどうぞお座りください」遊園地ではあまり見かけない老夫婦が声をかけてくる。

「あっいいんですか?」
「ふふ、遠慮なさらずにどうぞお座りになって」
そういうと老夫婦は立ち上がり、娘に「可愛いわね、いくつ?」と目もとを細めて聞いた
「8歳です!」元気な声が辺りに響く
「そう、うふふ」と笑顔をいっぱいになった

「ありがとうございます」俺は軽くお辞儀をかえすと老夫婦は手を振りながら去っていった

食事を済ませ、いろんなアトラクションを楽しんで帰路につく。
 自宅のある川崎に着いたのは9時を過ぎていた。妻と娘の顔は流石に疲労がにじんでいる。きっと俺も同じような顔なんだと思う。家に帰って妻に食事を作ってもらうのは酷いので、近くのリンガーハットで食事をして帰る事にした。
 食事を終えた帰りのバスでは俺は咳が止まらずに、周りの人達や怪訝そうに睨見つける嫌味なおばさんやらにひたすら「すみません」「ゲホゲホ……」と何度も頭を下げてあやまっていた。

 翌朝、頭に岩でも乗っているんじゃないか?そう思えるほどな苦痛だ。早速「今日、休みます」と会社に連絡を入れ、しばらく布団の中で耐えていた……
 頭の上の岩が今度は振動を始める……なんだこれは?風邪?嫌、たぶん違う…うぅっ…
 昼頃、妻と娘が心配して「大丈夫?」と尋ねてきたが「ああ、少し寝ていれば治る……」と二人が安心するように視線をおくり苦笑いを浮かべた。
「学校は?休んだの」
娘コクリと頷づいて今にも泣き出しそうな瞳でみつめていた

 「あなた!あなた!しっかりして」
虚ろな意識の中で妻の声が聞こえた気がする……
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