1 / 2
私は生きている
しおりを挟む
2024年夏。山下裕一は家族3人で遊園地へ来ていた。平日なのでそれ程混まないのではと考えていたが甘かった。それでも、50分待ちなら良いほうだろう。
列に並んで待つことにした。娘のさくらは笑顔で父親に抱きついて甘えている。妻の美咲は裕一と同じ大学で出会った同年代の34歳で、じゃれあう裕一とさくらを笑いながら見ている。
灼熱の太陽は容赦なく地上の人々を灼き尽くす
「もう駄目暑くて歩けないわ……」
「パパ、ママお腹すいた~」
「そうだな、じゃあ休憩して何か食べようか」
「うわぁ…満席で座れそうもないな…」
「あの~、私たち食事すみましたのでどうぞお座りください」遊園地ではあまり見かけない老夫婦が声をかけてくる。
「あっいいんですか?」
「ふふ、遠慮なさらずにどうぞお座りになって」
そういうと老夫婦は立ち上がり、娘に「可愛いわね、いくつ?」と目もとを細めて聞いた
「8歳です!」元気な声が辺りに響く
「そう、うふふ」と笑顔をいっぱいになった
「ありがとうございます」俺は軽くお辞儀をかえすと老夫婦は手を振りながら去っていった
食事を済ませ、いろんなアトラクションを楽しんで帰路につく。
自宅のある川崎に着いたのは9時を過ぎていた。妻と娘の顔は流石に疲労がにじんでいる。きっと俺も同じような顔なんだと思う。家に帰って妻に食事を作ってもらうのは酷いので、近くのリンガーハットで食事をして帰る事にした。
食事を終えた帰りのバスでは俺は咳が止まらずに、周りの人達や怪訝そうに睨見つける嫌味なおばさんやらにひたすら「すみません」「ゲホゲホ……」と何度も頭を下げてあやまっていた。
翌朝、頭に岩でも乗っているんじゃないか?そう思えるほどな苦痛だ。早速「今日、休みます」と会社に連絡を入れ、しばらく布団の中で耐えていた……
頭の上の岩が今度は振動を始める……なんだこれは?風邪?嫌、たぶん違う…うぅっ…
昼頃、妻と娘が心配して「大丈夫?」と尋ねてきたが「ああ、少し寝ていれば治る……」と二人が安心するように視線をおくり苦笑いを浮かべた。
「学校は?休んだの」
娘コクリと頷づいて今にも泣き出しそうな瞳でみつめていた
「あなた!あなた!しっかりして」
虚ろな意識の中で妻の声が聞こえた気がする……
列に並んで待つことにした。娘のさくらは笑顔で父親に抱きついて甘えている。妻の美咲は裕一と同じ大学で出会った同年代の34歳で、じゃれあう裕一とさくらを笑いながら見ている。
灼熱の太陽は容赦なく地上の人々を灼き尽くす
「もう駄目暑くて歩けないわ……」
「パパ、ママお腹すいた~」
「そうだな、じゃあ休憩して何か食べようか」
「うわぁ…満席で座れそうもないな…」
「あの~、私たち食事すみましたのでどうぞお座りください」遊園地ではあまり見かけない老夫婦が声をかけてくる。
「あっいいんですか?」
「ふふ、遠慮なさらずにどうぞお座りになって」
そういうと老夫婦は立ち上がり、娘に「可愛いわね、いくつ?」と目もとを細めて聞いた
「8歳です!」元気な声が辺りに響く
「そう、うふふ」と笑顔をいっぱいになった
「ありがとうございます」俺は軽くお辞儀をかえすと老夫婦は手を振りながら去っていった
食事を済ませ、いろんなアトラクションを楽しんで帰路につく。
自宅のある川崎に着いたのは9時を過ぎていた。妻と娘の顔は流石に疲労がにじんでいる。きっと俺も同じような顔なんだと思う。家に帰って妻に食事を作ってもらうのは酷いので、近くのリンガーハットで食事をして帰る事にした。
食事を終えた帰りのバスでは俺は咳が止まらずに、周りの人達や怪訝そうに睨見つける嫌味なおばさんやらにひたすら「すみません」「ゲホゲホ……」と何度も頭を下げてあやまっていた。
翌朝、頭に岩でも乗っているんじゃないか?そう思えるほどな苦痛だ。早速「今日、休みます」と会社に連絡を入れ、しばらく布団の中で耐えていた……
頭の上の岩が今度は振動を始める……なんだこれは?風邪?嫌、たぶん違う…うぅっ…
昼頃、妻と娘が心配して「大丈夫?」と尋ねてきたが「ああ、少し寝ていれば治る……」と二人が安心するように視線をおくり苦笑いを浮かべた。
「学校は?休んだの」
娘コクリと頷づいて今にも泣き出しそうな瞳でみつめていた
「あなた!あなた!しっかりして」
虚ろな意識の中で妻の声が聞こえた気がする……
0
あなたにおすすめの小説
壊れていく音を聞きながら
夢窓(ゆめまど)
恋愛
結婚してまだ一か月。
妻の留守中、夫婦の家に突然やってきた母と姉と姪
何気ない日常のひと幕が、
思いもよらない“ひび”を生んでいく。
母と嫁、そしてその狭間で揺れる息子。
誰も気づきがないまま、
家族のかたちが静かに崩れていく――。
壊れていく音を聞きながら、
それでも誰かを思うことはできるのか。
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
私のドレスを奪った異母妹に、もう大事なものは奪わせない
文野多咲
恋愛
優月(ゆづき)が自宅屋敷に帰ると、異母妹が優月のウェディングドレスを試着していた。その日縫い上がったばかりで、優月もまだ袖を通していなかった。
使用人たちが「まるで、異母妹のためにあつらえたドレスのよう」と褒め称えており、優月の婚約者まで「異母妹の方が似合う」と褒めている。
優月が異母妹に「どうして勝手に着たの?」と訊けば「ちょっと着てみただけよ」と言う。
婚約者は「異母妹なんだから、ちょっとくらいいじゃないか」と言う。
「ちょっとじゃないわ。私はドレスを盗られたも同じよ!」と言えば、父の後妻は「悪気があったわけじゃないのに、心が狭い」と優月の頬をぶった。
優月は父親に婚約解消を願い出た。婚約者は父親が決めた相手で、優月にはもう彼を信頼できない。
父親に事情を説明すると、「大げさだなあ」と取り合わず、「優月は異母妹に嫉妬しているだけだ、婚約者には異母妹を褒めないように言っておく」と言われる。
嫉妬じゃないのに、どうしてわかってくれないの?
優月は父親をも信頼できなくなる。
婚約者は優月を手に入れるために、優月を襲おうとした。絶体絶命の優月の前に現れたのは、叔父だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる