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序章
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人生に必要なコトは、すべてマンガとアニメから学んだ――。
弱きは救うもの。
強きはくじくもの。
正しきは貫くもの。
悪しきは破るもの。
過ちは正すもの。
信念は曲げぬもの。
自らは儀となるもの。
人は護るもの。
メガネは外さぬもの。
嘘はつかぬもの。
真実は目を逸らさぬもの。
人々は永き歴史の果てに、ついに真理を掴んだのだ。
幾億もの試行錯誤を繰り返して、少しずつ手にしていった人間としての真理。
マンガには、アニメには、それらが記されている。ただ人々が気づいていないだけだ。あまりにも恵まれている状況ゆえに、かえってその価値がわからなくなっているのだ。
マンガには、アニメには、人が人として生きる道がある。
他にこれほど人の魂をうつものは、某居酒屋チェーンの便所に架かっている『オヤジの説教』と、武田鉄矢の言葉ぐらいであろう。
人はいつか、自分の生きる術に気づかなければならない。
己が己として生きるために、なにが赦されるのか。なにが赦されないのか。
その審判は全部、自分で行わなければならない。
日々を重ね、膨大なジャッジを繰り返すうちに、その境界線が見えてくる。
どこまでが護れるのか。そして、どこからは護れないか。
微妙に行ったり来たりしていた境界線が、ある日どっかりと腰を据える。そこからはもう、決して動こうとしない。
それが、人の誇りというものだ。
マンガは。アニメは。幼い時からそれを定めるに役立つ指南の書だ。
そこに描かれていることは、すべて正しい。ある種の教育が他人を蹴落とすことを奨励し、若き才能をノイローゼに追い込むことから考えれば、必要なのはどちらか? 火を見るよりあきらかだ。
『女は子供を産む機械』どこの悪党の言葉か。
人間には今一度、感動が必要だ。
初めてマンガに触れた時の。
初めてアニメに観た時の。
あの感動をきちんと心に刻まねばならない。
秋葉原。
全世界から隔離され、魔都、かつ趣都と化したこの地は、そんな教育が生きている最後の場所である。
ケモエルは圭太を背負い、秋葉原の駅ビルを出た。駅といっても外部から来る列車は無い。ただの廃墟だ。
21世紀初頭の全盛期、メイドとコスプレとオタクと買い物客でごった返した駅前は、今は人気の無いゴーストタウンになっている。
「どこに行くんだよ、ケモエル」
か細い背の上から、圭太が問うた。齢1歳なれど、圭太は英才教育を受けて育った天才児である。日常会話も音声入力のチャットで慣れているのだ。
「言ったろう、とびっきりのオタクに会いに行くのさ!」
ケモエルが、年端もいかない少年(いかなすぎるが)を背負って歩いている。マスコミた弁護士が見たら、飛びつくような光景であった。しかし今、この土地に彼を追いかける者はいない。
「オタクなんて、見飽きたよ」
意気のあがらない圭太に、ケモエルは笑った。
「ただのオタクじゃないよ、ヒキコモリさ!」
それのドコに笑う要素があるのか、圭太の表情はさらに浮かないものになる。
「圭太。さっきも言ったけど、僕は君に、偏った価値観を持ってほしくないんだ。ヒキコモリというだけで、ニートだの精神病んでるだの無生産者だのゴクツブシだのと連想してほしくないんだよ」
圭太は黙った。まさに、そう思っていたからだ。
弱きは救うもの。
強きはくじくもの。
正しきは貫くもの。
悪しきは破るもの。
過ちは正すもの。
信念は曲げぬもの。
自らは儀となるもの。
人は護るもの。
メガネは外さぬもの。
嘘はつかぬもの。
真実は目を逸らさぬもの。
人々は永き歴史の果てに、ついに真理を掴んだのだ。
幾億もの試行錯誤を繰り返して、少しずつ手にしていった人間としての真理。
マンガには、アニメには、それらが記されている。ただ人々が気づいていないだけだ。あまりにも恵まれている状況ゆえに、かえってその価値がわからなくなっているのだ。
マンガには、アニメには、人が人として生きる道がある。
他にこれほど人の魂をうつものは、某居酒屋チェーンの便所に架かっている『オヤジの説教』と、武田鉄矢の言葉ぐらいであろう。
人はいつか、自分の生きる術に気づかなければならない。
己が己として生きるために、なにが赦されるのか。なにが赦されないのか。
その審判は全部、自分で行わなければならない。
日々を重ね、膨大なジャッジを繰り返すうちに、その境界線が見えてくる。
どこまでが護れるのか。そして、どこからは護れないか。
微妙に行ったり来たりしていた境界線が、ある日どっかりと腰を据える。そこからはもう、決して動こうとしない。
それが、人の誇りというものだ。
マンガは。アニメは。幼い時からそれを定めるに役立つ指南の書だ。
そこに描かれていることは、すべて正しい。ある種の教育が他人を蹴落とすことを奨励し、若き才能をノイローゼに追い込むことから考えれば、必要なのはどちらか? 火を見るよりあきらかだ。
『女は子供を産む機械』どこの悪党の言葉か。
人間には今一度、感動が必要だ。
初めてマンガに触れた時の。
初めてアニメに観た時の。
あの感動をきちんと心に刻まねばならない。
秋葉原。
全世界から隔離され、魔都、かつ趣都と化したこの地は、そんな教育が生きている最後の場所である。
ケモエルは圭太を背負い、秋葉原の駅ビルを出た。駅といっても外部から来る列車は無い。ただの廃墟だ。
21世紀初頭の全盛期、メイドとコスプレとオタクと買い物客でごった返した駅前は、今は人気の無いゴーストタウンになっている。
「どこに行くんだよ、ケモエル」
か細い背の上から、圭太が問うた。齢1歳なれど、圭太は英才教育を受けて育った天才児である。日常会話も音声入力のチャットで慣れているのだ。
「言ったろう、とびっきりのオタクに会いに行くのさ!」
ケモエルが、年端もいかない少年(いかなすぎるが)を背負って歩いている。マスコミた弁護士が見たら、飛びつくような光景であった。しかし今、この土地に彼を追いかける者はいない。
「オタクなんて、見飽きたよ」
意気のあがらない圭太に、ケモエルは笑った。
「ただのオタクじゃないよ、ヒキコモリさ!」
それのドコに笑う要素があるのか、圭太の表情はさらに浮かないものになる。
「圭太。さっきも言ったけど、僕は君に、偏った価値観を持ってほしくないんだ。ヒキコモリというだけで、ニートだの精神病んでるだの無生産者だのゴクツブシだのと連想してほしくないんだよ」
圭太は黙った。まさに、そう思っていたからだ。
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