ゆるやかな坂道を下って……

チタン

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ゆるやかな坂道を下って……

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 今日は君と久しぶりに遠出をした。
 けど、あまり会話は弾まなかった。最近ずっとそうだ。

 僕が無理におどけてみても、君は冷たくあしらうだけ。前までは一緒になって軽口を叩いていたのに。

 このゆるやかな坂道を越えれば、もうすぐ君の家だ。
 僕は今日こそ君が僕に別れを告げるんじゃないかと思っていた。この頃は"今日も別れ話はされなかった"と胸を撫で下ろしながらベッドに入る。

 何も今より優しくして欲しいわけじゃないんだ。そりゃして欲しくないと言えば嘘だけど。
 僕は君が好きでいてくれるだけで、ただそれだけで十分なんだ。
 けど、君の温度は冷めていくばかりだ。

 僕らを乗せた車は下り道の終わりに差し掛かる。ここを越えれば、きっと君はその重い口を開くんだろう。
 僕はそんな君を抱きしめることも、問い詰めることもできずに、ずっと押し黙ったまま。
 静かな車内にエンジン音だけが響く。

 僕らはどこであの頃の気持ちを忘れてきたんだろう?
 君はなぜ今も隣に座っていてくれるんだろう?

 下り道が終わる。
 別れを告げられるなら、いっそ……。

 そう思った矢先、君が口を開いた。

「この先も道は続くんだよ」

 助手席の君が、こちらを見ながら呟いた。
 僕はハッと君の方を見た。
 君はそんな僕を見つめて、「今日はそんな思いつめた顔してどうしたの? 運転大丈夫?」と言葉を続けた。

 僕は何だか泣き出しそうだった。

「ありがとう。愛してるよ……」

 僕が泣きそうな声でそう言うと、君は「なにそれ」と言って笑った。
 
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