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二章 エルフの森
11話
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広場全体がざわざわと騒ぎ出し、俺とアリアの会話に視線が集まる。
「年増好きかい?」
アリアは淡々とした口調で話す。
「わからない。ただ、今まで会ってきた女の中でお前ほど綺麗な女性に会ったことがない。俺はお前が欲しい」
「私はもう400を過ぎてるよ」
「ならあと、100年は生きられるだろ。それにエルフはゆっくりと老いると聞いた」
「エルフでも300歳過ぎたら立派な『行き遅れ』だよ。ヒューマンも20~30くらいで結婚するんだろう?」
俺がいた世界ではもっと早い。女性となればなおさらだ。10歳頃に成人とみなされ15歳に満たずに嫁ぐ娘も珍しくはなかった。
でも、俺を育ててくれた武昌様の正室である松姫様は教えてくれた。
女子は30を過ぎて初めて女になるのだと。
そしてそこから個人としての美しさを身に付けていくのだと。
それは松姫様を見れば誰もが納得する事実だった。最後の戦に旅だったときの松姫様は50を過ぎていた。しかし、女としての魅力は失われることなく、むしろ、出会ったときよりも増していたように思う。
「関係ない」
俺はそう言い切って強く尋ねた。
「俺じゃ駄目か?」
おぉーっ
周囲が静かに盛り上がる。
すっかり注目の的だ。
「埒が明かないね。すまないが今日中に片付けたいことがあるんで、ここで失礼するよ。……クルク!後は頼んだ」
アリアは近くにいた男に声をかけて、呼び寄せる。
「甥のクルクだ。何でも聞くといい。この集落の中なら異世界のことを話して問題ないだろう」
そう言って、アリアは小屋の方へ言ってしまった。
ルシアはペコリとお辞儀をして元々いた集団の元へと戻っていく。
ここぞとばかりにルシアを慰める男の声が聞こえる。
俺に対する男たちの目線は暖かいそれに変わっていた。
「セツは勇者だな」
そう言いながらクルクは、アリアがいた俺の隣の席に座る。
「褒め言葉として受け取っておこう。俺は振られたみたいだな」
俺はそう答えながら、クルクのコップにエールを注ぐ。
「そうでもないさ」
クルクの声は真剣だ。からかっているようにはみえない。
「アリアが会話の途中で席を外すことはほとんどない。動揺している証拠だ」
俺はほんの少しの光を見い出した。
「アリアに相手はいないよな?」
「いないよ。早くに族長を継いだからね」
「族長に恋愛はご法度か?」
「いいや、そんなことはない。ただ、族長は集落で一番強いものが継承する決まりなんだ」
つまり、アリアより強くて魅力的な男はいないということか。
「やはり弓矢がうまいのか?」
周りには護衛用なのか、弓矢を近くに置いたエルフたちが多い。アルクの矢もかなりのものだった。
「矢もそうだが、何よりも魔法だな」
「魔法?」
「精霊……」
クルクは言いかけて言葉を止める。
俺が異世界から来たことをクルクも知っているのだろう。
他のエルフに悟られるのを気にしたのかもしれない。
「かまわない。この世界のことをもっと知りたいんだ」
アリアのことももっと知りたいかった。
「年増好きかい?」
アリアは淡々とした口調で話す。
「わからない。ただ、今まで会ってきた女の中でお前ほど綺麗な女性に会ったことがない。俺はお前が欲しい」
「私はもう400を過ぎてるよ」
「ならあと、100年は生きられるだろ。それにエルフはゆっくりと老いると聞いた」
「エルフでも300歳過ぎたら立派な『行き遅れ』だよ。ヒューマンも20~30くらいで結婚するんだろう?」
俺がいた世界ではもっと早い。女性となればなおさらだ。10歳頃に成人とみなされ15歳に満たずに嫁ぐ娘も珍しくはなかった。
でも、俺を育ててくれた武昌様の正室である松姫様は教えてくれた。
女子は30を過ぎて初めて女になるのだと。
そしてそこから個人としての美しさを身に付けていくのだと。
それは松姫様を見れば誰もが納得する事実だった。最後の戦に旅だったときの松姫様は50を過ぎていた。しかし、女としての魅力は失われることなく、むしろ、出会ったときよりも増していたように思う。
「関係ない」
俺はそう言い切って強く尋ねた。
「俺じゃ駄目か?」
おぉーっ
周囲が静かに盛り上がる。
すっかり注目の的だ。
「埒が明かないね。すまないが今日中に片付けたいことがあるんで、ここで失礼するよ。……クルク!後は頼んだ」
アリアは近くにいた男に声をかけて、呼び寄せる。
「甥のクルクだ。何でも聞くといい。この集落の中なら異世界のことを話して問題ないだろう」
そう言って、アリアは小屋の方へ言ってしまった。
ルシアはペコリとお辞儀をして元々いた集団の元へと戻っていく。
ここぞとばかりにルシアを慰める男の声が聞こえる。
俺に対する男たちの目線は暖かいそれに変わっていた。
「セツは勇者だな」
そう言いながらクルクは、アリアがいた俺の隣の席に座る。
「褒め言葉として受け取っておこう。俺は振られたみたいだな」
俺はそう答えながら、クルクのコップにエールを注ぐ。
「そうでもないさ」
クルクの声は真剣だ。からかっているようにはみえない。
「アリアが会話の途中で席を外すことはほとんどない。動揺している証拠だ」
俺はほんの少しの光を見い出した。
「アリアに相手はいないよな?」
「いないよ。早くに族長を継いだからね」
「族長に恋愛はご法度か?」
「いいや、そんなことはない。ただ、族長は集落で一番強いものが継承する決まりなんだ」
つまり、アリアより強くて魅力的な男はいないということか。
「やはり弓矢がうまいのか?」
周りには護衛用なのか、弓矢を近くに置いたエルフたちが多い。アルクの矢もかなりのものだった。
「矢もそうだが、何よりも魔法だな」
「魔法?」
「精霊……」
クルクは言いかけて言葉を止める。
俺が異世界から来たことをクルクも知っているのだろう。
他のエルフに悟られるのを気にしたのかもしれない。
「かまわない。この世界のことをもっと知りたいんだ」
アリアのことももっと知りたいかった。
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