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可及的速やかに、離婚したい。
5 (従兄弟side)
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あぁ、我らが可愛い従妹のお転婆遍歴を語る上で一番忘れてはいけない事件があった。
それは、姉であるリリーを聖女候補として神殿に寄越せと言われたときに、
『あの手の方々は、神々のご意思なのだとか宣われていたことからも分かるでしょうけれど、お姉様本人の意思なんて無視して、自分達の方が正しいと勘違いしておられるわ。
きっと、お姉様ご自身が聖女にもならないし神殿にも行きたくないと断ったとしても、無理矢理にでも連れて行こうとすると思うのよね。』
と言い、屋敷やリリーの乗る馬車に様々な仕掛けを施して守り抜き、拉致という強行手段に出られた際には神殿を半壊させたんだよなぁ。
あの頃は、20人を超える聖女がいるから大丈夫だろうと勝手に判断した神殿の上層部が、聖女育成の為の予算を減らし、私腹を肥やしていたらしい。
20人を超えていた聖女達も年齢を理由に続々と還俗していき、ついには聖女が1人になってしまった。
そうなってから慌てて光魔法を使える女児を集めていた神殿が、光魔法を使うリリーに目をつけたのだと聞いてるけど...相手が悪かったよね。
王女が降嫁出来るくらいには伯爵の中では裕福な家で、しかも家族にも使用人達にも領民にも愛されてる女児を、はいそうですかと差し出す訳がない。
伯爵令嬢ならば家庭教師をつけるのが普通で、神殿でしか光魔法を学べないという訳でもないしな。
聖女候補となれば、その時点で俗世から切り離されることになる。
家族だからといっても簡単には会えなくなってしまうし、25歳まで聖女として勤めてからしか婚姻が許されないなんて、貴族としての適齢期過ぎすぎて確実にまともな縁談なんて来ないじゃん?
それなのに、
『聖女候補となることは大変誉れあることだ。』
とか、
『才能を無駄にするおつもりか!』
とか、
『聖女がいなくなってしまえば、我々神殿はとても困るのですよ。』
とか、そちらの都合だけを押し付けてこないでって感じだろ?
自分達が、勝手に聖女候補を育てるのを辞めたんだからさ?
「何を考えておられますの?」
「お転婆な従妹のこと。」
「まぁ!恥ずかしいですわ!」
こうして赤くなった頬を押さえて恥じらう姿からは、あんな大惨事を起こした人間と同じとは思えないよね。
『どうしてもお姉様を手に入れたいと仰られるのであれば、誇らしい皆様のお力で、ただの小娘である私を止めてみなさいませ。』
と言って、時には魔法を駆使して、時には自分の手で直接破壊行動を行ない、たった1人であっという間に半壊させてしまったのには驚いたよ。
神殿以外に害を及ぼさないようにするしかできなくて、手助けをする暇もなかった。
『どうか、もうやめてください。
貴女の姉君には今後一切関わりませんので!!』
と、大神官も神官も、ファザーもマザーも、ブラザーもシスターも、膝をついて頭を地面に擦り付けるようにして嘆願してたっけ...あれはかなり清々したよね。
「ウフフ、物思いに耽るお兄様も素敵ですわ。」
うん、可愛い従妹に、大分好かれてるなぁとは思ってた。
でも、あんな...強引で危険な手を使うとは思わなかったよ。
「どこに逃げようとも、逃がしませんわ!」
アハハ、もう、逃げる気力も沸かないよ。
妻の喪中だからと断ると、妻の喪が開けるまで婚約者すら作らずに...いや、貴族院による政略での婚約者を充てがわれそうになったが、貴族院の議員連中を脅して宥めて言い包めてたな。
元々、生まれつき身体の弱い妻を貴族院による政略で娶っただけだったし、初夜すら行えてなかったからなぁ...病気による白い婚姻は、バツイチという判定にはならないらしい。
年の差を理由に断ると、年の差婚の実態を調べて資料を作り送り付けてきた。
調査結果などの情報も多く、文字だけでなく図や表なども駆使して丁寧に纏められていて、驚いたのを覚えている。
膝に座り満足そうに笑う可愛い従妹に、離婚したいと言われないようにしなければ。
*~(完)~
それは、姉であるリリーを聖女候補として神殿に寄越せと言われたときに、
『あの手の方々は、神々のご意思なのだとか宣われていたことからも分かるでしょうけれど、お姉様本人の意思なんて無視して、自分達の方が正しいと勘違いしておられるわ。
きっと、お姉様ご自身が聖女にもならないし神殿にも行きたくないと断ったとしても、無理矢理にでも連れて行こうとすると思うのよね。』
と言い、屋敷やリリーの乗る馬車に様々な仕掛けを施して守り抜き、拉致という強行手段に出られた際には神殿を半壊させたんだよなぁ。
あの頃は、20人を超える聖女がいるから大丈夫だろうと勝手に判断した神殿の上層部が、聖女育成の為の予算を減らし、私腹を肥やしていたらしい。
20人を超えていた聖女達も年齢を理由に続々と還俗していき、ついには聖女が1人になってしまった。
そうなってから慌てて光魔法を使える女児を集めていた神殿が、光魔法を使うリリーに目をつけたのだと聞いてるけど...相手が悪かったよね。
王女が降嫁出来るくらいには伯爵の中では裕福な家で、しかも家族にも使用人達にも領民にも愛されてる女児を、はいそうですかと差し出す訳がない。
伯爵令嬢ならば家庭教師をつけるのが普通で、神殿でしか光魔法を学べないという訳でもないしな。
聖女候補となれば、その時点で俗世から切り離されることになる。
家族だからといっても簡単には会えなくなってしまうし、25歳まで聖女として勤めてからしか婚姻が許されないなんて、貴族としての適齢期過ぎすぎて確実にまともな縁談なんて来ないじゃん?
それなのに、
『聖女候補となることは大変誉れあることだ。』
とか、
『才能を無駄にするおつもりか!』
とか、
『聖女がいなくなってしまえば、我々神殿はとても困るのですよ。』
とか、そちらの都合だけを押し付けてこないでって感じだろ?
自分達が、勝手に聖女候補を育てるのを辞めたんだからさ?
「何を考えておられますの?」
「お転婆な従妹のこと。」
「まぁ!恥ずかしいですわ!」
こうして赤くなった頬を押さえて恥じらう姿からは、あんな大惨事を起こした人間と同じとは思えないよね。
『どうしてもお姉様を手に入れたいと仰られるのであれば、誇らしい皆様のお力で、ただの小娘である私を止めてみなさいませ。』
と言って、時には魔法を駆使して、時には自分の手で直接破壊行動を行ない、たった1人であっという間に半壊させてしまったのには驚いたよ。
神殿以外に害を及ぼさないようにするしかできなくて、手助けをする暇もなかった。
『どうか、もうやめてください。
貴女の姉君には今後一切関わりませんので!!』
と、大神官も神官も、ファザーもマザーも、ブラザーもシスターも、膝をついて頭を地面に擦り付けるようにして嘆願してたっけ...あれはかなり清々したよね。
「ウフフ、物思いに耽るお兄様も素敵ですわ。」
うん、可愛い従妹に、大分好かれてるなぁとは思ってた。
でも、あんな...強引で危険な手を使うとは思わなかったよ。
「どこに逃げようとも、逃がしませんわ!」
アハハ、もう、逃げる気力も沸かないよ。
妻の喪中だからと断ると、妻の喪が開けるまで婚約者すら作らずに...いや、貴族院による政略での婚約者を充てがわれそうになったが、貴族院の議員連中を脅して宥めて言い包めてたな。
元々、生まれつき身体の弱い妻を貴族院による政略で娶っただけだったし、初夜すら行えてなかったからなぁ...病気による白い婚姻は、バツイチという判定にはならないらしい。
年の差を理由に断ると、年の差婚の実態を調べて資料を作り送り付けてきた。
調査結果などの情報も多く、文字だけでなく図や表なども駆使して丁寧に纏められていて、驚いたのを覚えている。
膝に座り満足そうに笑う可愛い従妹に、離婚したいと言われないようにしなければ。
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