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9*~完~
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ウフフ、因みにだけども、スティ兄様に嫁いでくださる奥さんがその晒し者にされた婚約者の方なのです。
あんなにも聡明でお美しく、慈悲深くてお優しい婚約者がいたのにも関わらず、どうしてあんな子供過ぎる残念な方を選んだのか...理解に苦しむ所業です。
まぁ、そんな感じで考えの浅い方だからこそ、あの時に鶴の一声使って一番上の兄を釈放させたりしたのでしょうね。
あ、まさかだけど、王太子妃殿下が裏で糸を引いてるってことはあるのかしら?
ほら、事実は知らずに、一番上の兄の言い分を聞いただけで、
『彼は被害者なのに捕らえられてるなんて可哀相だわ』
とか言いだしたのかもしれないでしょ?
″純粋で可愛い″らしい妃のお願いに負けて、事件のことをろくに調べもせずに、妃のことを信じて王太子の権限とやらで釈放させたのかもしれないわよね。
アハハ、本来なら、王子とは言え1人の人間にそんなにも大きな権限を持たせちゃ駄目なのだけど、この国は王族が一番だから...こういう理不尽も罷り通るのよ。
「ファビエル?大好きよ!」
「ぅん!う!」
「あらあら、私も2人が大好きよ?」
この状況をお父様が見たら、きっと除け者にされたと拗ねて嫉妬するわよね...我が父ながら、面倒臭いわー。
まぁ、それだけお母様のことやファビエルのこと、そして私のことを大切にしてくれてるってことなんだろうけれどね。
「ハァー、これだけ幸せだと、結婚なんて必要ない気がしてくるわ。」
「そうよね。
貴女はずーっと、私の娘でいればいいわ。
ファビエルもそう思うでしょ?
お姉ちゃんにはずっと側にいて欲しいわよね?
ま、もしも貴女の気が変わったとしたら、その時に考えましょ!」
「ぅんっ!」
「はい、お母様。」
お父様の不貞により産まれた庶子なのに、これだけ優しく慈愛をもって接してくださるお母様には感謝しなければ!
あの事件の後、本来ならば自分の息子を擁護して庶子は捨て置かれる場合が多いのに、なんなら庶子が悪いのだとこじつけて修道院などに送る家もあるのに、これだけ大切にしてくれるんだもの。
気が変わる時なんて、来るのかしら?
「あの人、今日は早く帰って来られるのかしら?
折角のファビエルのお祝いなのですもの、皆でしたいわよねぇ。」
「旦那様にも報告をと思いまして、先程バットを走らせました。
旦那様のことですので、とっととお仕事を終えられていそいそとお帰りになられるかと...。」
「あら、ありがとう。
ファビエル、良かったわね!」
「ぅー!」
ファビエルを溺愛しているあのお父様なら、そうするでしょうね...ハァー、ファビエルったら、どれだけの人に愛されるの?
この、屈託のない無邪気な笑顔が愛されるところなんだろうけれど、叔母さんは少し心配になってきたわ。
愛され過ぎて、面倒なことに巻き込まれないでよね?
可愛いファビエルが刀傷沙汰なんて、嫌よ?
そんな思いを込めて頬をつんつんすると、嬉しそうにキャッキャと笑う。
まだ笑う声は聞こえないけれど、いつかは一緒に笑いあえるといいわよね。
スティ兄様の奥様が嫁いでこられて、ファビエルが3歳になったら領地の邸に移ることになっていて、今までならば不安ばかりが占めてしまうのですけれども、今はワクワクしているわ!
領地には嫌な思い出が強すぎて良い思い出が殆どかき消されてしまっているけど、お母様もお父様もファビエルもいるんだからきっと幸せな思い出が出来る筈よね!
私、庶子だけれども、愛されてます!
*完
あんなにも聡明でお美しく、慈悲深くてお優しい婚約者がいたのにも関わらず、どうしてあんな子供過ぎる残念な方を選んだのか...理解に苦しむ所業です。
まぁ、そんな感じで考えの浅い方だからこそ、あの時に鶴の一声使って一番上の兄を釈放させたりしたのでしょうね。
あ、まさかだけど、王太子妃殿下が裏で糸を引いてるってことはあるのかしら?
ほら、事実は知らずに、一番上の兄の言い分を聞いただけで、
『彼は被害者なのに捕らえられてるなんて可哀相だわ』
とか言いだしたのかもしれないでしょ?
″純粋で可愛い″らしい妃のお願いに負けて、事件のことをろくに調べもせずに、妃のことを信じて王太子の権限とやらで釈放させたのかもしれないわよね。
アハハ、本来なら、王子とは言え1人の人間にそんなにも大きな権限を持たせちゃ駄目なのだけど、この国は王族が一番だから...こういう理不尽も罷り通るのよ。
「ファビエル?大好きよ!」
「ぅん!う!」
「あらあら、私も2人が大好きよ?」
この状況をお父様が見たら、きっと除け者にされたと拗ねて嫉妬するわよね...我が父ながら、面倒臭いわー。
まぁ、それだけお母様のことやファビエルのこと、そして私のことを大切にしてくれてるってことなんだろうけれどね。
「ハァー、これだけ幸せだと、結婚なんて必要ない気がしてくるわ。」
「そうよね。
貴女はずーっと、私の娘でいればいいわ。
ファビエルもそう思うでしょ?
お姉ちゃんにはずっと側にいて欲しいわよね?
ま、もしも貴女の気が変わったとしたら、その時に考えましょ!」
「ぅんっ!」
「はい、お母様。」
お父様の不貞により産まれた庶子なのに、これだけ優しく慈愛をもって接してくださるお母様には感謝しなければ!
あの事件の後、本来ならば自分の息子を擁護して庶子は捨て置かれる場合が多いのに、なんなら庶子が悪いのだとこじつけて修道院などに送る家もあるのに、これだけ大切にしてくれるんだもの。
気が変わる時なんて、来るのかしら?
「あの人、今日は早く帰って来られるのかしら?
折角のファビエルのお祝いなのですもの、皆でしたいわよねぇ。」
「旦那様にも報告をと思いまして、先程バットを走らせました。
旦那様のことですので、とっととお仕事を終えられていそいそとお帰りになられるかと...。」
「あら、ありがとう。
ファビエル、良かったわね!」
「ぅー!」
ファビエルを溺愛しているあのお父様なら、そうするでしょうね...ハァー、ファビエルったら、どれだけの人に愛されるの?
この、屈託のない無邪気な笑顔が愛されるところなんだろうけれど、叔母さんは少し心配になってきたわ。
愛され過ぎて、面倒なことに巻き込まれないでよね?
可愛いファビエルが刀傷沙汰なんて、嫌よ?
そんな思いを込めて頬をつんつんすると、嬉しそうにキャッキャと笑う。
まだ笑う声は聞こえないけれど、いつかは一緒に笑いあえるといいわよね。
スティ兄様の奥様が嫁いでこられて、ファビエルが3歳になったら領地の邸に移ることになっていて、今までならば不安ばかりが占めてしまうのですけれども、今はワクワクしているわ!
領地には嫌な思い出が強すぎて良い思い出が殆どかき消されてしまっているけど、お母様もお父様もファビエルもいるんだからきっと幸せな思い出が出来る筈よね!
私、庶子だけれども、愛されてます!
*完
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