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3~完

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つらつらと影に語りかけてみましたらば、やっとお出ましですのね。
お師匠様ったら、奥様に怒られたくないからって弟子の影に隠れるだなんて、そのような行為をすればもっと怒られるのが分かりませんの?
御年18のうら若き乙女の影に隠れるだなんて、王妃殿下にもミュリス様にも怒られますわよ?

「いや...可愛い弟子を護りたくてですね?
つい、手や口を出してしまったというか...ね?」

「うふふ、やはり、私の影に篭もっておられましたのね?
ずっと探しておりましたのよ?
どうぞ、言い訳はミュリス様にしてくださいませね?」

「う...雛菊も、一緒に行こう?」

「私には管理人のお仕事がありますもの、無理ですわ。
お師匠様お1人で願いいたしますわ。」

「う、薄情者!!」

うふふ、知りませんわ。
可愛い弟子と言われても、魔法の鍛錬とは言え鬼畜な訓練を課していたくせにと思ってしまいますし、別な意味で可愛がられた記憶しかありませんわ。
たしかに、実践に勝る鍛錬は無いのかもしれませんが、お師匠様が私にやらせていた訓練は、女学生に課すものではないと聞いておりますのよ?
これに関しては、学園長も私の味方なのですからね?

「頼んでもないことを、勝手になさるからでしょう?」

「アイツ、雛菊のことを娼館に売り払おうとしていたんだぞ?!
俺の可愛い弟子を、あんな下劣な奴に好きにされてたまるか!」

「えぇ、そのことは王妃殿下より教えていただいておりましたわ。」

「え?知ってたのか?」

「はい、ミュリス様とも連携して決定的な証拠を得るべく動いておりましたもの。」

「なんで教えてくれなかったんだ?」

「お師匠様は顔に出やすいのですもの...あちらにバレれば面倒ですわ。」

「んぐ......反論出来ん。」

私の元家族の考えそうなことですわよね。
学園主席の優秀な娘を娼館に売り払おう!なんて普通の感覚の持ち主ならば考えませんけど、姉至上主義のあの人達ならあり得るのよね...。
ま、優秀な成績を残していた甲斐あって王妃殿下やミュリス様に目をかけていただけて、護っていただけましたけど。

「お師匠様、
『貴方が関わると面倒なことになるから、雛菊のことは私達女に任せなさい。』
と、ミュリス様に言われませんでしたか?」

「い、言われました。」

「でしたら、とっととお家にお帰りになられて、じっくりと怒られて来てくださいませね?」

「はい、行ってきます。」

うふふ、哀愁漂う背中ですわね。
私を護ろうとして余計なことをなさったのですから、ミュリス様もそこまで怒ったりはしませんわ。
5時間くらいは正座させられるでしょうけど、お師匠様にとってはそのくらいは日常茶飯事でしょう?
てわすから、お師匠様、どうぞ頑張ってくださいませ。

さて、カイル君はちゃんとベッドで眠っているようですし、男子学生寮に属している他の皆も学園に無事についたみたいね。
女子学生寮の方は...あら、お熱で3人もお休みなの?
風邪薬を差し入れしておきましょうか...味は、
3人ともグレプが好きですからグレプ味にしましょう!
カイル君はオラン味が良いわよね...あ、ライチャ味も作っておきましょう。

管理人って大変で忙しいけど、とっても楽しいですわ!!





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