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2:女のバトルと男のバトル

代官邸です。11

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「...やっぱり、穢気えきね。」

「えき?とは、なんぞ?」

「穢れた魔素のことよ。
それを身体に取り入れてしまうと、様々に影響があるわ。
例えば...少しだけ息が苦しくなったり、チクチクと刺すような痛みが続いたりするの。
最初は微々たる影響でも、穢気が身体の中にずっと残り続けると...どんどん増殖していって最後には、意識が無く暴れるだけの穢物えものとなるの。

生きている限り、皆魔素を自然から取り入れているの。
普段は木々が穢れた魔素を浄化しているのだけど、過度な伐採や手入れを怠るなどの要因で木々の浄化が間に合わなくなってきている国もあるの。」

穢れてる魔素とか...身体に取り入れるって考えただけでも聞いただけでも、なんだか嫌だね。
イモムシはそんなものを取り入れちゃってたのかー、気持ち悪いモヤモヤが漂ってた訳だよ。
ん?そうなると、

「イモムシは、えものなのか?」

「いいえ、その子はまだ穢物にはなっていないわ。
もしもなっていたのなら、浄化することは出来ないもの...。」

あ、穢物にはなってないの?良かった。
じゃあ、ワタシ、さっきイモムシを少しだけ浄化してたってこと?
エンガチョって凄いんだね...ビックリだよ。

「イモムシ、どうする?」

「あら、そうねぇ?どうしましょうか?」

「一応心当たりがあるのだが...ふむ、聞いてみるかな。
イモムシ君、君は"イトハキカイーコ"かな?」

[ソーデス!イトハクデスヨ!]

イモムシの処遇を悩む母は、イモムシのお腹の辺りをフニフニと擽って遊んでるみたい。
イモムシも満更ではないらしく、逃げずにクネクネしてる。
アゴに手を置いた父に尋ねられると、父に向けてお尻をフリフリしながら、激しく頷くイモムシ...へぇ、そんな名前の種族なんだ。

「イトハキカイーコ?」

「うわぁ、珍しい...幼体を見るのは初めてだよ。
本当に小さいんだね。」

ん?これ、幼体なの?
そっか、幼体ならば幼女に片手で持たれる程に小さくて当たり前なのか。
あー、カイーコってことは蚕だよね?
成体あまり好みじゃないんだけど...どうしよう。

「クリス、イトハキカイーコはね?雌雄の区別がない...えっと、オスもメスもなくって、この子もオスでもメスでも無いんだよ。
幼体はそこの子みたいに手の平くらいの大きさなんだけど、成体になったら人が乗れるくらいの大きさになるんだ。

そして、とっても丈夫で、織るとしっとりと柔らかい糸を吐くんだ。
あ、寝床にするための糸らしいよ。」

「へぇ、ねどこ...。」

[マダ、ハケマセン。]

う、成体ってかなりデカすぎじゃないですか?
人が乗れるくらいの大きさの蚕ですよ?
ワタシには無理かも...。
でも、糸には興味があります。
サナギになるための繭じゃなくって、寝床にするの?
それって、成体になってからも糸を吐くってこと?
うーん、生体が不思議すぎる。





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