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布石編
就位式
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《それでは江田照臣第41代金剛石王の入場です!》
何度やっても慣れない。これで何回目の就位式か忘れてしまったけれど、この眩しすぎるスポットライトも、ミニオーケストラの演奏も、ファンからの拍手も、どれも派手で僕には似合わない。
唯一似合うのはこの紋付袴ぐらいだ。
兄弟子の武士沢さんから「堂々としていてよかった」と言ってもらったことがあるけど、本当は履き慣れない草履でコケないように慎重に歩いているだけだ。
代わってもらえるなら誰かに代わって欲しい。でもこの就位式は僕本人でなければならない。僕が戦って勝ち取ったタイトルだから。
だから僕は精一杯の虚勢を張って、堂々としているフリをする。
(大丈夫。すぐ終わる)
いつも壇上に上がった自分にこう言い聞かせる。
允許状を受け取って、写真撮影して……。
でも、この最後のスピーチだけはいつもボロが出る。今日も噛みまくった。頭の中が真っ白になって、何も言葉が出てこなくなる。
何度も練習してるけど、今回も練習が無駄になった。どんなに苦手なものを克服しようと頑張っても、無理なものは無理なんだ。
《江田照臣金剛石王へ、花束の贈呈です。プレゼンターはこの方です!》
この花束贈呈。時々サプライズで芸能人や有名人が来たりする。
以前、女優が来た時があった。囲碁を題材にした映画のプロモーションを兼ねていたらしい。
映画好きの僕は、あの有名女優だと気づくと、お礼の言葉は出ず、腕すら動かせなくなり、花束を受け取ることすら出来なかった。
同期の棋士からは「あがり症もここまでくると芸だな」と呆れられた。
なぜ僕がこんな事を思い出したのかというと、花束を持って舞台袖から出てきた人物が、赤い振袖を着た女性だと気づいたからだ。
でもその女性は、週1回は会っている妹弟子によく似ている。
どんどん近づいてくる。
見覚えのある緋色の芍薬の描かれた赤い振袖。今年の正月の岡本門下の新年会で、妹弟子が「純子さんから譲って頂いた振袖なんです」と嬉しそうに語っていた着物と柄がよく似ている。
それに笑顔の作り方も似ている。
……そっくりさんじゃない!本人だ!
京子の髪型はいつもと違って、着物に合わせて結っているから、わからなかった。
「……えっ⁉︎京子⁉︎どうして⁉︎学校は?休んだの⁉︎」
就位式は大体平日に行われる。今日も平日だ。
「もうすぐ定期テストで学校は今日から部活無しなんです。びっくりしましたか?」
「そりゃもう……」
「やった!ドッキリ大成功ー!」
京子はニッコリと笑って花束を抱えたままピースサインした。
「江田さん、金剛石王、おめでとうございます」
そう言って京子は笑顔で江田に花束を渡した。
「あ……う、うん。ありがとう……」
あれ?あんなに驚いたのに、すんなりとお礼の言葉が出てきた。
今まで僕は、緊張したり驚いたりすると言葉が出てこなくなると思ってたのに。
どうして京子相手には、吃らずに言葉が出てきたんだろう?
京子は江田に花束を渡すと正面を向き、マイクの前に立った。
《皆様、こんにちは。岡本幸浩門下の末弟子、畠山京子です》
花束のプレゼンターはスピーチする予定は無い。なのに京子は勝手に喋り始めた。
《今日は就位式の勉強にきました。私もそう遠くない将来、允許状を頂く予定なので》
観客からクスクスという笑いが起こった。
《笑い事じゃないですよぉ!私、今ほとんどの棋戦を勝ち上がってるんですから!もちろん、この金剛石戦も。ですから江田さん、首洗って待ってて下さいね。来年、私が金剛石王の称号を頂きに参りますから》
一転、今度は水を打ったように静かになった。京子の実力は、囲碁ファンも知っている。
《と言っても、江田さんに研究会でまだ一勝もできないんですけどね~……。まず研究会で江田さんに勝たないと~》
また観客から笑い声が漏れる。
《でもいつか絶対この場に立つので、どうか皆さん畠山京子がタイトルを取った暁には、ぜひ就位式にお越し下さい!退屈させませんので!》
会場は笑いと拍手に包まれた。
江田は完全に主役を奪われた。でも、不愉快ではない。京子だからだろう。
(すごいなぁ、京子は。まだ中学生なのに、こんなに堂々と人前で話せて。コツとかあるのかな?今度聞いてみよう)
江田は京子のスピーチですっかり緊張が解けたのか、会場内を見渡す余裕が出てきた。
武士沢さんがいる。大成もいる。二人とも、京子のスピーチを聞いて頭を抱えている。予定外だったのだろう。
先日結婚式を挙げたばかりの新婚さん、川上光太郎くんも奥さんを連れてきている。
(よく見たら、父さんと母さんもいる!気づかなかった……)
江田の両親は現在、家督を長男、つまり江田の実兄である正臣に譲り、海外を転々としている。
(日本に帰ってくるなら連絡寄越してって言ってるのに……。妹弟子といい、両親といい。サプライズ好きの人間ばかりだなぁ。僕の周りの人って)
両親がいるのなら、兄も一緒かもしれないと、江田は兄の姿を探す。しかし見当たらない。忙しい合間を縫って、時々就位式に顔を出してくれるのに、今日は来れなかったらしい。
「お二人並んでこちらに目線下さーい」
カメラマンからリクエストが来る。
「はーい!」
と京子は元気よく返事して、僕の右隣に並んでポーズをとる。
京子が東京に来て2年弱。僕より低かった京子の身長は、今は僕より高くなっている。子供の成長は早いと聞くけど、本当に早い。たった2年で追い越されるなんて。
僕は163㎝くらい。京子は167~8㎝くらいだろうか。まだまだ伸びそうだ。
と、そんな事を考えながら、写真撮影に応じていると、カメラのフラッシュが焚かれるたびに京子の身長が少しずつ縮んでいる。
京子の足元を見る。膝を曲げている。
「京子?どうしたの?」
笑顔でポーズをとっていた京子は勢いよく振り向き、泣きそうな表情に変わる。
「江田さぁ~ん!これ以上、私の身長が伸びても私のこと嫌いにならないで下さぁ~い!」
なんだ。そんなこと気にしてるのか。
「嫌いになんかならないよ。京子は京子じゃないか。バスケやってるんだろ?背が高いのはいい事じゃないか」
そう言って、僕は妹弟子の頭を撫でた。
「ふぇ~ん!江田さん、優しい~!」
僕達二人のやりとりを見ていた観客からクスクスという笑い声が聞こえる。明らかに笑われているけど、嫌じゃない。
「ありがとうね。京子」
なんとなくお礼を言いたい気分になった。
「それは私の台詞ですぅ~!江田さん、ありがとうございますぅ~!」
普段は、しっかり者で大人っぽく理知的な表情の妹弟子。でも、時々こんな風に年相応に子供らしい一面を見せる。
岡本先生が京子を甘やかす理由がわかる。先生は京子を孫のように可愛がっている。僕にとっては可愛い妹分だ。
たとえかつて『最強アマチュア』と謳われ、僕の今いる地位を脅かそうとした畠山亮司の娘であったとしても。
●○●○●○
就位式の後、息子の照臣と軽く言葉を交わして、江田晴臣・由貴絵夫妻は、タクシーに乗り込み羽田空港を目指していた。長男の正臣に知られたら「また護衛をつけないで!」と怒られそうだ。
「ご機嫌ですね。あなた」
車内に始終差し込む電光掲示板の派手な灯りが、江田夫妻の表情を照らし出す。
「ああ。照臣が珍しく他人の話を楽しそうにするから、どんな子かと思っていたんだが」
「畠山京子ちゃんね。可愛らしい子ね」
「孫の嫁にでもと思って眺めていたんだが、気が変わった」
照臣の兄、長男の正臣には息子が二人いる。上の子は高校生、下の子は中学生で、年齢的には釣り合いがとれる。
「なにか問題でも?」
「あれは孫達の手には負えないな。正臣の言ってた通りだ」
そう言うと晴臣はニヤリと笑った。
正臣は毎年、照臣と共に岡本一門の新年会に出席する。今年の新年会で、畠山京子に初めて会った正臣からも、彼女の印象について聞いていた。
「あら。手に負えないなんて、まるで京子ちゃんは猛獣のようね」
「猛獣なんて、可愛いもんさ。ライオンでも手懐ければ芸をするからね」
「あなたが女性をそんなふうに言うなんて、初めて聞きましたわ」
そう妻に言われて、また晴臣はニヤリと笑った。
連れ添って44年。この表情をする時の夫が何を考えているのか、由貴絵はよく知っている。面白い玩具を手に入れた時の顔だ。
(あの子も大変ね。この人に目を付けられるなんて)
しかし由貴絵も夫と同じ感想を抱いている。そしてこうも考えている。
(あの子に仕事してもらうとしたら何がいいかしら?トップよりも参謀向きよね。秘書よりもCEO補佐?それとも諜報?)
まだ中学生の女の子。こんな事を思わせる畠山京子という子に、由貴絵は非常に興味を惹かれている。
由貴絵は車窓を眺めるふりをして北叟笑む。
(でも『どこでもドアを作りたい』と言ってたそうだし。この人に捕まったらきっと、どこでもドアどころじゃなくなるでしょうね。あの子がこの人から逃げおおせる所を見てみたいわ)
捕まるにしても簡単に捕まって欲しくない。
由貴絵も京子の動向から目の離せない日が続きそうだ。
何度やっても慣れない。これで何回目の就位式か忘れてしまったけれど、この眩しすぎるスポットライトも、ミニオーケストラの演奏も、ファンからの拍手も、どれも派手で僕には似合わない。
唯一似合うのはこの紋付袴ぐらいだ。
兄弟子の武士沢さんから「堂々としていてよかった」と言ってもらったことがあるけど、本当は履き慣れない草履でコケないように慎重に歩いているだけだ。
代わってもらえるなら誰かに代わって欲しい。でもこの就位式は僕本人でなければならない。僕が戦って勝ち取ったタイトルだから。
だから僕は精一杯の虚勢を張って、堂々としているフリをする。
(大丈夫。すぐ終わる)
いつも壇上に上がった自分にこう言い聞かせる。
允許状を受け取って、写真撮影して……。
でも、この最後のスピーチだけはいつもボロが出る。今日も噛みまくった。頭の中が真っ白になって、何も言葉が出てこなくなる。
何度も練習してるけど、今回も練習が無駄になった。どんなに苦手なものを克服しようと頑張っても、無理なものは無理なんだ。
《江田照臣金剛石王へ、花束の贈呈です。プレゼンターはこの方です!》
この花束贈呈。時々サプライズで芸能人や有名人が来たりする。
以前、女優が来た時があった。囲碁を題材にした映画のプロモーションを兼ねていたらしい。
映画好きの僕は、あの有名女優だと気づくと、お礼の言葉は出ず、腕すら動かせなくなり、花束を受け取ることすら出来なかった。
同期の棋士からは「あがり症もここまでくると芸だな」と呆れられた。
なぜ僕がこんな事を思い出したのかというと、花束を持って舞台袖から出てきた人物が、赤い振袖を着た女性だと気づいたからだ。
でもその女性は、週1回は会っている妹弟子によく似ている。
どんどん近づいてくる。
見覚えのある緋色の芍薬の描かれた赤い振袖。今年の正月の岡本門下の新年会で、妹弟子が「純子さんから譲って頂いた振袖なんです」と嬉しそうに語っていた着物と柄がよく似ている。
それに笑顔の作り方も似ている。
……そっくりさんじゃない!本人だ!
京子の髪型はいつもと違って、着物に合わせて結っているから、わからなかった。
「……えっ⁉︎京子⁉︎どうして⁉︎学校は?休んだの⁉︎」
就位式は大体平日に行われる。今日も平日だ。
「もうすぐ定期テストで学校は今日から部活無しなんです。びっくりしましたか?」
「そりゃもう……」
「やった!ドッキリ大成功ー!」
京子はニッコリと笑って花束を抱えたままピースサインした。
「江田さん、金剛石王、おめでとうございます」
そう言って京子は笑顔で江田に花束を渡した。
「あ……う、うん。ありがとう……」
あれ?あんなに驚いたのに、すんなりとお礼の言葉が出てきた。
今まで僕は、緊張したり驚いたりすると言葉が出てこなくなると思ってたのに。
どうして京子相手には、吃らずに言葉が出てきたんだろう?
京子は江田に花束を渡すと正面を向き、マイクの前に立った。
《皆様、こんにちは。岡本幸浩門下の末弟子、畠山京子です》
花束のプレゼンターはスピーチする予定は無い。なのに京子は勝手に喋り始めた。
《今日は就位式の勉強にきました。私もそう遠くない将来、允許状を頂く予定なので》
観客からクスクスという笑いが起こった。
《笑い事じゃないですよぉ!私、今ほとんどの棋戦を勝ち上がってるんですから!もちろん、この金剛石戦も。ですから江田さん、首洗って待ってて下さいね。来年、私が金剛石王の称号を頂きに参りますから》
一転、今度は水を打ったように静かになった。京子の実力は、囲碁ファンも知っている。
《と言っても、江田さんに研究会でまだ一勝もできないんですけどね~……。まず研究会で江田さんに勝たないと~》
また観客から笑い声が漏れる。
《でもいつか絶対この場に立つので、どうか皆さん畠山京子がタイトルを取った暁には、ぜひ就位式にお越し下さい!退屈させませんので!》
会場は笑いと拍手に包まれた。
江田は完全に主役を奪われた。でも、不愉快ではない。京子だからだろう。
(すごいなぁ、京子は。まだ中学生なのに、こんなに堂々と人前で話せて。コツとかあるのかな?今度聞いてみよう)
江田は京子のスピーチですっかり緊張が解けたのか、会場内を見渡す余裕が出てきた。
武士沢さんがいる。大成もいる。二人とも、京子のスピーチを聞いて頭を抱えている。予定外だったのだろう。
先日結婚式を挙げたばかりの新婚さん、川上光太郎くんも奥さんを連れてきている。
(よく見たら、父さんと母さんもいる!気づかなかった……)
江田の両親は現在、家督を長男、つまり江田の実兄である正臣に譲り、海外を転々としている。
(日本に帰ってくるなら連絡寄越してって言ってるのに……。妹弟子といい、両親といい。サプライズ好きの人間ばかりだなぁ。僕の周りの人って)
両親がいるのなら、兄も一緒かもしれないと、江田は兄の姿を探す。しかし見当たらない。忙しい合間を縫って、時々就位式に顔を出してくれるのに、今日は来れなかったらしい。
「お二人並んでこちらに目線下さーい」
カメラマンからリクエストが来る。
「はーい!」
と京子は元気よく返事して、僕の右隣に並んでポーズをとる。
京子が東京に来て2年弱。僕より低かった京子の身長は、今は僕より高くなっている。子供の成長は早いと聞くけど、本当に早い。たった2年で追い越されるなんて。
僕は163㎝くらい。京子は167~8㎝くらいだろうか。まだまだ伸びそうだ。
と、そんな事を考えながら、写真撮影に応じていると、カメラのフラッシュが焚かれるたびに京子の身長が少しずつ縮んでいる。
京子の足元を見る。膝を曲げている。
「京子?どうしたの?」
笑顔でポーズをとっていた京子は勢いよく振り向き、泣きそうな表情に変わる。
「江田さぁ~ん!これ以上、私の身長が伸びても私のこと嫌いにならないで下さぁ~い!」
なんだ。そんなこと気にしてるのか。
「嫌いになんかならないよ。京子は京子じゃないか。バスケやってるんだろ?背が高いのはいい事じゃないか」
そう言って、僕は妹弟子の頭を撫でた。
「ふぇ~ん!江田さん、優しい~!」
僕達二人のやりとりを見ていた観客からクスクスという笑い声が聞こえる。明らかに笑われているけど、嫌じゃない。
「ありがとうね。京子」
なんとなくお礼を言いたい気分になった。
「それは私の台詞ですぅ~!江田さん、ありがとうございますぅ~!」
普段は、しっかり者で大人っぽく理知的な表情の妹弟子。でも、時々こんな風に年相応に子供らしい一面を見せる。
岡本先生が京子を甘やかす理由がわかる。先生は京子を孫のように可愛がっている。僕にとっては可愛い妹分だ。
たとえかつて『最強アマチュア』と謳われ、僕の今いる地位を脅かそうとした畠山亮司の娘であったとしても。
●○●○●○
就位式の後、息子の照臣と軽く言葉を交わして、江田晴臣・由貴絵夫妻は、タクシーに乗り込み羽田空港を目指していた。長男の正臣に知られたら「また護衛をつけないで!」と怒られそうだ。
「ご機嫌ですね。あなた」
車内に始終差し込む電光掲示板の派手な灯りが、江田夫妻の表情を照らし出す。
「ああ。照臣が珍しく他人の話を楽しそうにするから、どんな子かと思っていたんだが」
「畠山京子ちゃんね。可愛らしい子ね」
「孫の嫁にでもと思って眺めていたんだが、気が変わった」
照臣の兄、長男の正臣には息子が二人いる。上の子は高校生、下の子は中学生で、年齢的には釣り合いがとれる。
「なにか問題でも?」
「あれは孫達の手には負えないな。正臣の言ってた通りだ」
そう言うと晴臣はニヤリと笑った。
正臣は毎年、照臣と共に岡本一門の新年会に出席する。今年の新年会で、畠山京子に初めて会った正臣からも、彼女の印象について聞いていた。
「あら。手に負えないなんて、まるで京子ちゃんは猛獣のようね」
「猛獣なんて、可愛いもんさ。ライオンでも手懐ければ芸をするからね」
「あなたが女性をそんなふうに言うなんて、初めて聞きましたわ」
そう妻に言われて、また晴臣はニヤリと笑った。
連れ添って44年。この表情をする時の夫が何を考えているのか、由貴絵はよく知っている。面白い玩具を手に入れた時の顔だ。
(あの子も大変ね。この人に目を付けられるなんて)
しかし由貴絵も夫と同じ感想を抱いている。そしてこうも考えている。
(あの子に仕事してもらうとしたら何がいいかしら?トップよりも参謀向きよね。秘書よりもCEO補佐?それとも諜報?)
まだ中学生の女の子。こんな事を思わせる畠山京子という子に、由貴絵は非常に興味を惹かれている。
由貴絵は車窓を眺めるふりをして北叟笑む。
(でも『どこでもドアを作りたい』と言ってたそうだし。この人に捕まったらきっと、どこでもドアどころじゃなくなるでしょうね。あの子がこの人から逃げおおせる所を見てみたいわ)
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