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第一章『ミナト転生』
第12話:晩餐会
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『お待たせ致しました。お食事のご用意ができたようです。こちらへどうぞ』
シェリー王女に先導されて、食堂へ向かう。案内された食堂は大きく、とても長くでかいテーブルがあり、上を向けば派手なシャンデリアが吊り下がってあった。
テーブルの奥には国王アルドベルドは既に席についておりその周りに豪華な衣類を着こなしている方々。その少し手前には護衛隊長のディートハルトが。おそらく奥から手前にかけて身分の差が出ているのだと予想できる。日本の上座下座形式なのだろう。
ミナトは少し背筋がこわばる。
一国の王やその他王族と食事となるとさすがに緊張してしまう。食事をするだけなのにやや億劫になる。
アルドベルド国王の隣の席が空いている事に気づくと、シェリー王女が席を薦め出す。ミナトは国王に会釈してから席に座るとシェリー王女も空いているミナトの隣の席に座る。
シェリー王女が座った事をアルドベルド国王が確認すると声を張りあげた。
『皆の者。ここにいる者が海蛇竜を討ち取り、我とシェリーを助けたミナトじゃ。ここに感謝と礼を込め晩餐会を開いた。皆の者、丁重にもてなすように』
すると、背後から声がした。
『食前酒のシャンパンです』
長いテーブルに座る全員が手に取り、腕を少し上げる。乾杯するのだろうと思いミナトも真似する。
『乾杯』
王のあとに全員が唱和し、飲む事にする。
少し甘くフルーティー。華やかな、だが切れることのない泡立ち。少し木の根の香りがする。胃袋が活発し食欲が湧いてきた。
《そういえば、一応未成年だよな?この国では俺は飲酒しても問題ないのだろうか・・・》
そう考えるミナト。
リムリア王国では10歳を過ぎれば誰でも飲むようになる。国でもそれは容認しており国の法律でも問題はないのだ。そんなことはミナトは知らないのだが。
『前菜の綿雲草です。高い標高、雲の上で取れる綿雲のような野菜です。食べれば口に野菜の甘みと旨みが混ざり合い天に昇る美味さと言われております。この度、我が国の宮廷魔法師、ライコウ様がこの晩餐会のため摘んできていただきました。』
天にも昇る美味さの聞いてミナトは唾を飲む。おそるおそる一口サイズに摘み食べてみる。
するとどうだろう。
口の中に野菜の旨みが広がる。野菜特有の苦味が全くなく逆に甘みが滲み出る。しつこくない甘みがほのやかに口に広がる。
これはすごい。地球ではたべた事ない味だ。おそらく野菜なら生きてきた中で一番美味しいかもしれない。
食べ終わると次の一品が出てきた。
『海底深水で作られたコーンスープになります。リムリア王国周辺の海水は塩っ気を除けばとても美味しいお水となります。更に、その深く海底の水、海底深水は雑じり気が無く王族の間でも僅かな方にしか飲む事が出来ない貴重なお水となっております』
スープが出されると周りがざわざわし始めた。
『海底深水だと!?ここ数十年飲んでいなかったが、まさかここで飲む事ができようとは』
周りが驚いている。
よほど凄いスープなのだろう。
飲んでみるとこれは凄い。従来のコーンスープとは違い味が濃い。
『そのまま飲めば、普通の水ですが海底深水は素材の味を極限までに高めます。加えてこのコーンは我が国が品種改良を進め歯ごたえと甘みに力を注いでおります。最高の素材をこれまた最高の素材で組み合わせる。不味いはずはございません』
なるほど。この深い味はそうして出来上がるのか・・・
ちなみにこの解説してくれる人は誰なんだ。
『申し遅れました。私、宮廷料理人料理長リフレと申します』
心を読んだように自己紹介されてしまった。
『お次は、海蛇竜のソテーでございます。我が国では海蛇竜の繁殖に成功しております。テイマーの方のご協力のもと一から育て上げた一品でございます。天然の海蛇竜よりは味が劣りますがそれでも高価な食材でございます』
口に入れるとまろやかな口当たりがする。主張が強く旨みの爆弾が口の中全体で破裂する。いつの間にか口で溶けたのか、もう無くなってしまった。これで天然より劣るのか。さっき屠った海蛇竜はこれより美味いのか。
ミナトに笑顔が溢れる。
『口直しのリンゴのゼリーです』
今まで食べた口内の食材の味がゼリーにより洗い流される。少し勿体無い気がするが、次はメインディッシュ。仕方があるまい。
『メインディッシュの肉料理。こちらは翼飛竜のステーキでございます。我が国の魔法師が三十人ほどかけやっとの思いで討伐したものでございます。その肉は各国で高値で取引されており王族でも滅多に食べる事が出来ません。陛下の名により貯蔵しておいたものを使用致しました。どうぞ、御ゆるりとご堪能下さいませ』
周りで歓声がわく。
『翼飛竜だと!!私は生まれて此の方一度も食べたことが無いぞ!ボソッ(陛下がここまでするミナトと言う若造。いったい・・・』
それほど凄いものなのか・・・。
緊張気味にナイフを入れていくとプリンみたいに何の抵抗もなく切れていく。なんだこれは。本当に肉なのか?
フォークで刺すと先程の柔らかさより弾力が主張する。ゆっくりと口の中に入れる。
え?
一瞬で口の中の肉が消えた。だが、味は覚えている。噛むと肉汁が広がりその柔らかさは今までの肉料理と比較出来ない。
ありえない。
こんなのがあって良いのか。
夢中で箸(ナイフとフォーク)を進める。
いつの間にか皿の上のお肉が無くなってしまった。
ミナトは感動を覚えた。そして希望も持った。アーローの大森林で狩ったあの食材はどれほど美味いのだろうか。たかが翼飛竜されど翼飛竜。アイテムボックスにはその上位種が眠っている。
ぶっちゃけると、金色の兎の味には敵わないのだが、それでも翼飛竜は美味かった。
ここで金色の兎なんさ出したらどうなるのかな?
ミナトはそれも面白そうだなと微笑んだ。
シェリー王女に先導されて、食堂へ向かう。案内された食堂は大きく、とても長くでかいテーブルがあり、上を向けば派手なシャンデリアが吊り下がってあった。
テーブルの奥には国王アルドベルドは既に席についておりその周りに豪華な衣類を着こなしている方々。その少し手前には護衛隊長のディートハルトが。おそらく奥から手前にかけて身分の差が出ているのだと予想できる。日本の上座下座形式なのだろう。
ミナトは少し背筋がこわばる。
一国の王やその他王族と食事となるとさすがに緊張してしまう。食事をするだけなのにやや億劫になる。
アルドベルド国王の隣の席が空いている事に気づくと、シェリー王女が席を薦め出す。ミナトは国王に会釈してから席に座るとシェリー王女も空いているミナトの隣の席に座る。
シェリー王女が座った事をアルドベルド国王が確認すると声を張りあげた。
『皆の者。ここにいる者が海蛇竜を討ち取り、我とシェリーを助けたミナトじゃ。ここに感謝と礼を込め晩餐会を開いた。皆の者、丁重にもてなすように』
すると、背後から声がした。
『食前酒のシャンパンです』
長いテーブルに座る全員が手に取り、腕を少し上げる。乾杯するのだろうと思いミナトも真似する。
『乾杯』
王のあとに全員が唱和し、飲む事にする。
少し甘くフルーティー。華やかな、だが切れることのない泡立ち。少し木の根の香りがする。胃袋が活発し食欲が湧いてきた。
《そういえば、一応未成年だよな?この国では俺は飲酒しても問題ないのだろうか・・・》
そう考えるミナト。
リムリア王国では10歳を過ぎれば誰でも飲むようになる。国でもそれは容認しており国の法律でも問題はないのだ。そんなことはミナトは知らないのだが。
『前菜の綿雲草です。高い標高、雲の上で取れる綿雲のような野菜です。食べれば口に野菜の甘みと旨みが混ざり合い天に昇る美味さと言われております。この度、我が国の宮廷魔法師、ライコウ様がこの晩餐会のため摘んできていただきました。』
天にも昇る美味さの聞いてミナトは唾を飲む。おそるおそる一口サイズに摘み食べてみる。
するとどうだろう。
口の中に野菜の旨みが広がる。野菜特有の苦味が全くなく逆に甘みが滲み出る。しつこくない甘みがほのやかに口に広がる。
これはすごい。地球ではたべた事ない味だ。おそらく野菜なら生きてきた中で一番美味しいかもしれない。
食べ終わると次の一品が出てきた。
『海底深水で作られたコーンスープになります。リムリア王国周辺の海水は塩っ気を除けばとても美味しいお水となります。更に、その深く海底の水、海底深水は雑じり気が無く王族の間でも僅かな方にしか飲む事が出来ない貴重なお水となっております』
スープが出されると周りがざわざわし始めた。
『海底深水だと!?ここ数十年飲んでいなかったが、まさかここで飲む事ができようとは』
周りが驚いている。
よほど凄いスープなのだろう。
飲んでみるとこれは凄い。従来のコーンスープとは違い味が濃い。
『そのまま飲めば、普通の水ですが海底深水は素材の味を極限までに高めます。加えてこのコーンは我が国が品種改良を進め歯ごたえと甘みに力を注いでおります。最高の素材をこれまた最高の素材で組み合わせる。不味いはずはございません』
なるほど。この深い味はそうして出来上がるのか・・・
ちなみにこの解説してくれる人は誰なんだ。
『申し遅れました。私、宮廷料理人料理長リフレと申します』
心を読んだように自己紹介されてしまった。
『お次は、海蛇竜のソテーでございます。我が国では海蛇竜の繁殖に成功しております。テイマーの方のご協力のもと一から育て上げた一品でございます。天然の海蛇竜よりは味が劣りますがそれでも高価な食材でございます』
口に入れるとまろやかな口当たりがする。主張が強く旨みの爆弾が口の中全体で破裂する。いつの間にか口で溶けたのか、もう無くなってしまった。これで天然より劣るのか。さっき屠った海蛇竜はこれより美味いのか。
ミナトに笑顔が溢れる。
『口直しのリンゴのゼリーです』
今まで食べた口内の食材の味がゼリーにより洗い流される。少し勿体無い気がするが、次はメインディッシュ。仕方があるまい。
『メインディッシュの肉料理。こちらは翼飛竜のステーキでございます。我が国の魔法師が三十人ほどかけやっとの思いで討伐したものでございます。その肉は各国で高値で取引されており王族でも滅多に食べる事が出来ません。陛下の名により貯蔵しておいたものを使用致しました。どうぞ、御ゆるりとご堪能下さいませ』
周りで歓声がわく。
『翼飛竜だと!!私は生まれて此の方一度も食べたことが無いぞ!ボソッ(陛下がここまでするミナトと言う若造。いったい・・・』
それほど凄いものなのか・・・。
緊張気味にナイフを入れていくとプリンみたいに何の抵抗もなく切れていく。なんだこれは。本当に肉なのか?
フォークで刺すと先程の柔らかさより弾力が主張する。ゆっくりと口の中に入れる。
え?
一瞬で口の中の肉が消えた。だが、味は覚えている。噛むと肉汁が広がりその柔らかさは今までの肉料理と比較出来ない。
ありえない。
こんなのがあって良いのか。
夢中で箸(ナイフとフォーク)を進める。
いつの間にか皿の上のお肉が無くなってしまった。
ミナトは感動を覚えた。そして希望も持った。アーローの大森林で狩ったあの食材はどれほど美味いのだろうか。たかが翼飛竜されど翼飛竜。アイテムボックスにはその上位種が眠っている。
ぶっちゃけると、金色の兎の味には敵わないのだが、それでも翼飛竜は美味かった。
ここで金色の兎なんさ出したらどうなるのかな?
ミナトはそれも面白そうだなと微笑んだ。
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