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4.俺は捜索されます
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「捜しましたよ」
そう声を掛けながら太陽の光を遮って影を作るようにトリシアは俺の事を見下ろしていた。
「シア遅かったね」
トリシアに向かって何気なくそう言うと、トリシアの頬がピクピクと痙攣する。
怒っているのか、無表情でそんな事されると怖いんだけど。
「ここが何処だかわかりますか?」
「ん、確か7-25だったと思うけど」
「はぁ、2-23ですよ」
トリシアは呆れて怒る気にもなれないのか、溜息をつきながら俺に今の現在地を伝える。
「2-23?」
言われて下を見ると、デスアイの死体が無い、オーガエンペラーのミンチも見当たらなかった。
「あ~もしかして流された?」
「はい、だから最初に行ったんですよ、捜しましたよって」
「いや~ごめんごめん、【反重力】で重力をゼロにしただけだから、風の影響を受けるんだったね。忘れていたよ」
「あと少しでベル様の領域を出る所でしたよ」
「そうだね。別に俺一人なら領域外に出ても大丈夫だけど、まあ、捜してくれてありがとう、シア」
「いえ、それでは戻りますか?」
「魔物の死体は? オーガエンペラーは兎も角、デスアイはちゃんと綺麗に残したから解体しておいて欲しいけど」
「既に終わっています、どちらかと言えばベル様を捜す方が苦労しました」
「ははは、それじゃあ帰りますか、シア」
トリシアを呼んで手を差し出す。
「一緒に帰ろうか」
そう誘ったのだが、トリシアに断られた。
「すいません。解体は済んでいますが、解体の済んだ素材はそのまま置いてきたので回収してから戻ります」
【転移】で屋敷まで一緒に帰ろうと思ったのに。
「そうなんだ、なら送ってあげよう」
【転送】
トリシアをデスアイを始末した所まで送ってあげた後で、俺も【転移】で怠惰の館の書斎に戻った。
ーーー
「ふぅー」
書斎の椅子に腰掛けて、一息つく。
とまあ、これが俺のやっている無償のボランティアみたいな仕事だ。始末した魔物の素材でも冒険者の様に売れば金になるけど。
まとめると、俺の家族がやっている仕事は、人がまともに暮らしていける様に人のとって強過ぎる魔物を未開領域から人類領地に入れないよう始末する事が仕事な訳。
まあ、人類にも英雄級の力を持つ者は居るので、人が堕落しない様にとカラミタ母さんの気分しだいで未開領域のランク7以上の魔物を素通りさせる事も結構あるけどね。
因みにオーガエンペラーはランク7で、デスアイがランク8の魔物って事になっている。
ランク毎に説明すると。
ランク1:村人 ゴブリン
ランク2:新米冒険者 オーク
ランク3:下位冒険者 オーガ
ランク4:半人前冒険者 レッドオーガ
ランク5:中位冒険者 ブラックオーガ
ランク6:熟練冒険者 オーガキング
ランク7:上位冒険者 オーガエンペラー
ランク8:最上位冒険者 デスアイ
ランク9:英雄級 ドラゴン
ランクEX:厄災、人類では無理かも?
って感じで、カラミタ母さんのボランティアで人類が滅びもせず停滞もしないギリギリを調節する為に、人類領地の周りを7つの領域に分けてそれぞれ俺たち兄弟が魔物を入れない様守護している。
まあ、クリーナとラリアは、まだ幼いのでカラミタ母さんと一緒に守護する事になっている。
俺も上4人よりかなり若いので、あんまりサボっていたりすると、領域を没収されてカラミタ母さんと一緒に領域の守護しなくてはいけなくなる。
別にカラミタ母さんが嫌いな訳では無いが、俺ももうガキじゃないので一人でもちゃんと出来るって事を分かってもらいたい。
そう言えば、これは長女のルシア姉さんが話していた事だけど、人類は何を勘違いしているのか大体30年から100年周期で俺達家族が守っている領域に入りカラミタ母さん達に喧嘩を売りに来るらしい。
ルシア姉さんがその討伐隊に何故討伐しに来たのかと聞くと、決まってその人達は「諸悪の根源はお前達だ!」とか「俺達勇者が魔王を倒すんだ!」とか言うらしい。
どうもその討伐隊連中は魔物を生み出しているのが俺達だと思っているみたいで、未開領域から魔物が来るのも俺達が人類侵略の為にやっている事だと勝手に勘違いしている
とルシア姉さんが言っていた。
まあ、勘違いするのもおかしくはないか、カラミタ母さん達がどんな事をしているのか人類は知らないし、知ったら知ったで気分しだいで魔物を未開領域から素通りさせているので、討伐はしなくなるかもしれないが文句は言いたいだろうな。
その気まぐれで少なくない命が失われている訳だしね。
そして、討伐隊だがルシア姉さん達は特に言われた事を否定せずに戦いを挑ませ、適度にボコボコにしてから人類領地に帰しているらしい。
私達と戦う事も人類の成長になると、カラミタ母さんに言われているから殺さない様に手加減しているが、調節が難しいとルシア姉さんが愚痴っていた。
人類の主力人物を殺しちゃうとカラミタ母さんが怒りそうだしね。
あと、最短の30年周期に討伐隊が来るのは、大体そのぐらいで人族は世代交代が有るからみたいだ。
世代が変わる事で、若さ故にか無謀にも俺達家族に挑んでくるって事か。
無謀だと言う事すら、世代が交代すると分からないのかもしれないね。
それと、1つの世代で一度挑んだだけで諦めてしまうって事は相当圧倒的に負けてしまったんだろうな、再戦を諦めてしまうぐらい完璧に。
そこまで一方的にボコボコにしたら成長も何もないだろうにね。
俺の時はトリシアにギリギリの戦いを演出してもらおうかな?
勿論俺は戦いません。トリシアが魔王代理って事で。
そう声を掛けながら太陽の光を遮って影を作るようにトリシアは俺の事を見下ろしていた。
「シア遅かったね」
トリシアに向かって何気なくそう言うと、トリシアの頬がピクピクと痙攣する。
怒っているのか、無表情でそんな事されると怖いんだけど。
「ここが何処だかわかりますか?」
「ん、確か7-25だったと思うけど」
「はぁ、2-23ですよ」
トリシアは呆れて怒る気にもなれないのか、溜息をつきながら俺に今の現在地を伝える。
「2-23?」
言われて下を見ると、デスアイの死体が無い、オーガエンペラーのミンチも見当たらなかった。
「あ~もしかして流された?」
「はい、だから最初に行ったんですよ、捜しましたよって」
「いや~ごめんごめん、【反重力】で重力をゼロにしただけだから、風の影響を受けるんだったね。忘れていたよ」
「あと少しでベル様の領域を出る所でしたよ」
「そうだね。別に俺一人なら領域外に出ても大丈夫だけど、まあ、捜してくれてありがとう、シア」
「いえ、それでは戻りますか?」
「魔物の死体は? オーガエンペラーは兎も角、デスアイはちゃんと綺麗に残したから解体しておいて欲しいけど」
「既に終わっています、どちらかと言えばベル様を捜す方が苦労しました」
「ははは、それじゃあ帰りますか、シア」
トリシアを呼んで手を差し出す。
「一緒に帰ろうか」
そう誘ったのだが、トリシアに断られた。
「すいません。解体は済んでいますが、解体の済んだ素材はそのまま置いてきたので回収してから戻ります」
【転移】で屋敷まで一緒に帰ろうと思ったのに。
「そうなんだ、なら送ってあげよう」
【転送】
トリシアをデスアイを始末した所まで送ってあげた後で、俺も【転移】で怠惰の館の書斎に戻った。
ーーー
「ふぅー」
書斎の椅子に腰掛けて、一息つく。
とまあ、これが俺のやっている無償のボランティアみたいな仕事だ。始末した魔物の素材でも冒険者の様に売れば金になるけど。
まとめると、俺の家族がやっている仕事は、人がまともに暮らしていける様に人のとって強過ぎる魔物を未開領域から人類領地に入れないよう始末する事が仕事な訳。
まあ、人類にも英雄級の力を持つ者は居るので、人が堕落しない様にとカラミタ母さんの気分しだいで未開領域のランク7以上の魔物を素通りさせる事も結構あるけどね。
因みにオーガエンペラーはランク7で、デスアイがランク8の魔物って事になっている。
ランク毎に説明すると。
ランク1:村人 ゴブリン
ランク2:新米冒険者 オーク
ランク3:下位冒険者 オーガ
ランク4:半人前冒険者 レッドオーガ
ランク5:中位冒険者 ブラックオーガ
ランク6:熟練冒険者 オーガキング
ランク7:上位冒険者 オーガエンペラー
ランク8:最上位冒険者 デスアイ
ランク9:英雄級 ドラゴン
ランクEX:厄災、人類では無理かも?
って感じで、カラミタ母さんのボランティアで人類が滅びもせず停滞もしないギリギリを調節する為に、人類領地の周りを7つの領域に分けてそれぞれ俺たち兄弟が魔物を入れない様守護している。
まあ、クリーナとラリアは、まだ幼いのでカラミタ母さんと一緒に守護する事になっている。
俺も上4人よりかなり若いので、あんまりサボっていたりすると、領域を没収されてカラミタ母さんと一緒に領域の守護しなくてはいけなくなる。
別にカラミタ母さんが嫌いな訳では無いが、俺ももうガキじゃないので一人でもちゃんと出来るって事を分かってもらいたい。
そう言えば、これは長女のルシア姉さんが話していた事だけど、人類は何を勘違いしているのか大体30年から100年周期で俺達家族が守っている領域に入りカラミタ母さん達に喧嘩を売りに来るらしい。
ルシア姉さんがその討伐隊に何故討伐しに来たのかと聞くと、決まってその人達は「諸悪の根源はお前達だ!」とか「俺達勇者が魔王を倒すんだ!」とか言うらしい。
どうもその討伐隊連中は魔物を生み出しているのが俺達だと思っているみたいで、未開領域から魔物が来るのも俺達が人類侵略の為にやっている事だと勝手に勘違いしている
とルシア姉さんが言っていた。
まあ、勘違いするのもおかしくはないか、カラミタ母さん達がどんな事をしているのか人類は知らないし、知ったら知ったで気分しだいで魔物を未開領域から素通りさせているので、討伐はしなくなるかもしれないが文句は言いたいだろうな。
その気まぐれで少なくない命が失われている訳だしね。
そして、討伐隊だがルシア姉さん達は特に言われた事を否定せずに戦いを挑ませ、適度にボコボコにしてから人類領地に帰しているらしい。
私達と戦う事も人類の成長になると、カラミタ母さんに言われているから殺さない様に手加減しているが、調節が難しいとルシア姉さんが愚痴っていた。
人類の主力人物を殺しちゃうとカラミタ母さんが怒りそうだしね。
あと、最短の30年周期に討伐隊が来るのは、大体そのぐらいで人族は世代交代が有るからみたいだ。
世代が変わる事で、若さ故にか無謀にも俺達家族に挑んでくるって事か。
無謀だと言う事すら、世代が交代すると分からないのかもしれないね。
それと、1つの世代で一度挑んだだけで諦めてしまうって事は相当圧倒的に負けてしまったんだろうな、再戦を諦めてしまうぐらい完璧に。
そこまで一方的にボコボコにしたら成長も何もないだろうにね。
俺の時はトリシアにギリギリの戦いを演出してもらおうかな?
勿論俺は戦いません。トリシアが魔王代理って事で。
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