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猫を拾う
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*瑞樹圭視点です。
僕はコンビニの夜勤バイトをしている。
この日もいつもと変わらず仕事をしていた。
「瑞樹君、ゴミ出しよろしく~」
午前4時、店長にゴミ出しを頼まれコンビニの裏に向かった。
街灯もないコンビニ裏は、この時間だとほぼ周りが見えないので、懐中電灯で照らしながら進み、ゴミを捨てに行く。
ん? 地面に何かついてる?
何かが垂れた跡で濡れているようで、この先の道に点々と続いていっているみたいだ。
この辺りはあまり治安が良いとは言えない。
放火犯が垂らしたガソリンの跡とかだったら大変だし、辿ってみるか……何か落ちてる?
僕が照らした先には黒い塊が落ちていて、その周りにさっきの液体のような物が多く垂れているのが見えた。
放火犯と鉢合わせという、最悪の状態ではないようで良かったと思う。
懐中電灯を黒い塊に照らして見ると、それが黒猫だった事が分かった。
ぐったりと倒れていて、よく見ると足を怪我している。
さっきから垂れていたのは、この猫の血だったんだ……
「良かった、まだ息してる」
慌てて駆け寄って確認すると、黒猫はまだ生きていた。
結構な出血量だけど、怪我をしているのは足だけみたいだし、すぐに手当てをしてあげれば助けられるはずだ。
「あれ? 瑞樹君それは?」
「店長すみません、この猫怪我してて」
「猫? ダメだよ、いくら怪我してるからって拾ってきたら。それに野良猫なんてどんな病気を持ってるかも分からないんだよ? お店に入られたら困るよ……」
「あ、すみません……」
僕が遅いからか、店長が様子を見に来てくれて、店内には入らないようにと少し怒られた。
でも店長の言ってる事が正しいのも分かってる。
突然の事で今の僕は冷静じゃなかったし、店内に入る前に止めてもらえて良かった。
「ちょっとここで待ってて」
そう言って急いで店内に戻っていった店長は、息を切らしながら出てきて、
「……はぁ、とりあえずコレ! キャットフードとか、消毒薬とか入れといたから!」
と、僕の目の前に袋を突き出してくれた。
「人間用の消毒って、猫に使っても大丈夫なのか分からないけど……あと、瑞樹君の鞄ね。これは鞄の中に入れとくよ」
「ありがとうございます」
「今日はもう上がっていいから、早く手当てしてあげてね。こんな時間だから今は無理だろうけど、朝にでもちゃんと病院に連れて行ってあげるといいよ」
「はい、失礼します」
黒猫を抱えている僕を気遣いながら、鞄を持つのも手伝ってくれて、先に上がらせてもらえる事になった。
夜中のコンビニの客は少ないと言っても、店長は裏仕事もあるので結構忙しいはずだ。
それなのにこうして帰らせてくれるし、やっぱり本当に優しい人だと思う。
僕の家は、コンビニからそう遠くない小さなアパートだ。
幸いな事にペット禁止じゃないからありがたい。
少し苦戦しながらも鍵を開け、奥の部屋のベッドの上で、ふわふわのブランケットがクッションになるように猫を寝かせた。
改めてちゃんと確認すると、足の大きい怪我だけでなく、体全体にかすり傷が多いようにみえる。
すぐに手当てをしてあげたいんだけど、店長も気にしていた消毒薬って、人間用を猫に使っても大丈夫なのか?
成分が強くて毒になってしまったりしないかな?
「……わっ!」
消毒薬についてを調べようと携帯を取り出したとき、目の前が急に光った。
停電や雷で光るのとは全然違う、白くキラキラとした光だったのは見えたけど、眩しくて目を閉じてしまった。
でも光ったのは一瞬だったようで、すぐに目を開ける事が出来た。
何が起きたのかと辺りを見回してみると、僕のベッドの上にはさっきまでいた猫が消えていて、知らない女の人が倒れていた。
桜みたいな、淡いピンク色の髪の綺麗な女性……と、この人の事も気になるけど、それより猫だ。
あの猫、どこに行っちゃったんだろう?
まさかこの人の下敷きになってしまって……この人、足を怪我してる?
どう見ても猫を下敷きにはしていないし、あの光の後に猫が消えて、この人が現れた……
……この人、猫?
とりあえず怪我の手当てをしないと!
猫には使っていいか分からなかったけど、人になら問題なく使えるはずなので、店長がくれた消毒や包帯で足の手当てをする。
あの猫は結構全身にかすり傷が多かったけど、この人は今、服を着ているから分からない。
流石に服を脱がせる訳にもいかないし、それは起きたら聞いてみるとしよう。
猫の時の大きい怪我は足だけだったし、きっと大丈夫だ。
あ、怪我は手当てできるにしても、大事な事を忘れていた。
この人……キャットフード食べるかな?
僕はコンビニの夜勤バイトをしている。
この日もいつもと変わらず仕事をしていた。
「瑞樹君、ゴミ出しよろしく~」
午前4時、店長にゴミ出しを頼まれコンビニの裏に向かった。
街灯もないコンビニ裏は、この時間だとほぼ周りが見えないので、懐中電灯で照らしながら進み、ゴミを捨てに行く。
ん? 地面に何かついてる?
何かが垂れた跡で濡れているようで、この先の道に点々と続いていっているみたいだ。
この辺りはあまり治安が良いとは言えない。
放火犯が垂らしたガソリンの跡とかだったら大変だし、辿ってみるか……何か落ちてる?
僕が照らした先には黒い塊が落ちていて、その周りにさっきの液体のような物が多く垂れているのが見えた。
放火犯と鉢合わせという、最悪の状態ではないようで良かったと思う。
懐中電灯を黒い塊に照らして見ると、それが黒猫だった事が分かった。
ぐったりと倒れていて、よく見ると足を怪我している。
さっきから垂れていたのは、この猫の血だったんだ……
「良かった、まだ息してる」
慌てて駆け寄って確認すると、黒猫はまだ生きていた。
結構な出血量だけど、怪我をしているのは足だけみたいだし、すぐに手当てをしてあげれば助けられるはずだ。
「あれ? 瑞樹君それは?」
「店長すみません、この猫怪我してて」
「猫? ダメだよ、いくら怪我してるからって拾ってきたら。それに野良猫なんてどんな病気を持ってるかも分からないんだよ? お店に入られたら困るよ……」
「あ、すみません……」
僕が遅いからか、店長が様子を見に来てくれて、店内には入らないようにと少し怒られた。
でも店長の言ってる事が正しいのも分かってる。
突然の事で今の僕は冷静じゃなかったし、店内に入る前に止めてもらえて良かった。
「ちょっとここで待ってて」
そう言って急いで店内に戻っていった店長は、息を切らしながら出てきて、
「……はぁ、とりあえずコレ! キャットフードとか、消毒薬とか入れといたから!」
と、僕の目の前に袋を突き出してくれた。
「人間用の消毒って、猫に使っても大丈夫なのか分からないけど……あと、瑞樹君の鞄ね。これは鞄の中に入れとくよ」
「ありがとうございます」
「今日はもう上がっていいから、早く手当てしてあげてね。こんな時間だから今は無理だろうけど、朝にでもちゃんと病院に連れて行ってあげるといいよ」
「はい、失礼します」
黒猫を抱えている僕を気遣いながら、鞄を持つのも手伝ってくれて、先に上がらせてもらえる事になった。
夜中のコンビニの客は少ないと言っても、店長は裏仕事もあるので結構忙しいはずだ。
それなのにこうして帰らせてくれるし、やっぱり本当に優しい人だと思う。
僕の家は、コンビニからそう遠くない小さなアパートだ。
幸いな事にペット禁止じゃないからありがたい。
少し苦戦しながらも鍵を開け、奥の部屋のベッドの上で、ふわふわのブランケットがクッションになるように猫を寝かせた。
改めてちゃんと確認すると、足の大きい怪我だけでなく、体全体にかすり傷が多いようにみえる。
すぐに手当てをしてあげたいんだけど、店長も気にしていた消毒薬って、人間用を猫に使っても大丈夫なのか?
成分が強くて毒になってしまったりしないかな?
「……わっ!」
消毒薬についてを調べようと携帯を取り出したとき、目の前が急に光った。
停電や雷で光るのとは全然違う、白くキラキラとした光だったのは見えたけど、眩しくて目を閉じてしまった。
でも光ったのは一瞬だったようで、すぐに目を開ける事が出来た。
何が起きたのかと辺りを見回してみると、僕のベッドの上にはさっきまでいた猫が消えていて、知らない女の人が倒れていた。
桜みたいな、淡いピンク色の髪の綺麗な女性……と、この人の事も気になるけど、それより猫だ。
あの猫、どこに行っちゃったんだろう?
まさかこの人の下敷きになってしまって……この人、足を怪我してる?
どう見ても猫を下敷きにはしていないし、あの光の後に猫が消えて、この人が現れた……
……この人、猫?
とりあえず怪我の手当てをしないと!
猫には使っていいか分からなかったけど、人になら問題なく使えるはずなので、店長がくれた消毒や包帯で足の手当てをする。
あの猫は結構全身にかすり傷が多かったけど、この人は今、服を着ているから分からない。
流石に服を脱がせる訳にもいかないし、それは起きたら聞いてみるとしよう。
猫の時の大きい怪我は足だけだったし、きっと大丈夫だ。
あ、怪我は手当てできるにしても、大事な事を忘れていた。
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