乙女ゲームの結末にはさせない

小梅カリカリ

文字の大きさ
31 / 39

マリーの養女話とドレーブ家の子供達

しおりを挟む
 模擬戦も終わり、マリーは王太子から逃げ回っていると報告を受けているレティシア。
王太子のマリー大好き以外は、あの映像とは全然違う状況だ。
これも必死で頑張ってきた成果だと、自分で自分を褒め称えている。
 あのマリー嬢も映像とは違って、優秀な令嬢じゃないの。あんなのに追いかけ回されてお気の毒にと思っているレティシア。

 これで、私の婚約者辞退が実現すれば、あの映像通りにはもうならないわ。だって、婚約者じゃなければ人質なんかに送られないもの。
 カトリーナ様とミーナ様は分からないけれど。2人とは仲良くなったし、出来るなら2人の事も人質にならないようにしてあげたい。自分の辞退がすんだら次は彼女達の為に動こうと決意したレティシア。気合を入れて叫ぶ。

「あんな映像、踏み潰して消し去ってやるわ。どんどん変えて行くわよ。」
 一緒に部屋にいたシーナ。よく分からないが、大切な主人と一緒に気合を入れて叫んでおいた。シーナは誘拐事件の後、レティシアに恩義を返す為に必死に努力をして実力を高め、有能で信頼されるな部下として仕えている。

 そんな中、カトリーナから薬草園に招待される。レティシアが訪問するとカトリーナの兄達も一緒にいた。
「初めまして、レティシア様。私が長男のアレクでこちらが次男アークです。いつもカトリーナがお世話になり、ありがとうございます。」
「初めまして、アレク様、アーク様。お世話になっているのは私の方ですわ。カトリーナ様には仲良くして頂いてとても嬉しく思っているんです。」
 にっこりと可憐に微笑むレティシアに、少し赤くなったドレーブ家子息達。

「まあ、お兄様達が照れていらっしゃるわ。レティシア様だもの当然だけれどね。」
 なぜか、自慢そうに言うカトリーナに微妙な顔の兄達。
「まあ、カトリーナ様ったら。ご冗談を。」
 フフフと笑う2人とからかわれて苦笑いをしている兄達。
「カトリーナは、本当に明るくなったね。冗談を俺達に言うようになるなんて。」
「ええ、でも今日皆様に来て頂いたのは冗談では済まない話なのです。」
 そういうと、薬草園の奥の東屋に案内する。

「実は、父であるドレーブ公爵が、マリー・モコノ男爵令嬢を養女に迎えて婚約者候補にすると言ったんです。在学中に養女にするとマリー嬢に危険が及ぶ可能性があるので卒業後に迎えて、その時に私は婚約者候補辞退をするようにというお話でした。
 私はどちらにしても、王太子殿下の婚約者候補は辞退したほうが良いと考えていたんです。
王太子殿下の言動を見ていると、なんというか周囲の方々からの信頼もなくしていますし、多くの人々からの支持が取れるようには思えないんです。
 彼女が養女になって婚約者候補になると、彼女に夢中な王太子殿下は婚約者として選でしょう。必然的に王太子殿下の後ろ盾になってしまいます。それは避けた方が良いと思います。」
 カトリーナの言葉に難しい顔をする3人。

「ドレーブ家の内情に私は口出しできません。ですが、1つ気になる事があります。
 マリー嬢は、王太子殿下から逃げ回っていると聞きます。モコノ男爵家が立場的に公爵家からの養女の話を受けないわけにはいかないでしょう。
 ですがマリー嬢を養女に差し出すならば、マリー嬢が今も王太子から逃げるのはおかしい気がします。彼らはマリー嬢と一緒にこの国から逃げてしまうつもりかもしれせん。
 男爵家が必死に爵位にしがみついて残るのか疑問に思います。彼らが王太子からマリー嬢を逃がしたらどうなるのかしら。

 養女にするという話はすぐに広まります。知られずに済むわけがないのに、知られたらマリー嬢が危険だからという理由で卒業まで期限を延ばす。
 という事は、卒業までに何らかの行動を起こすかもしれない考えておいた方が良いかもしれません。」
「そうですね、貴重な意見ありがとうございました。」
「いえ、皆様ならお考えになる事でしょう。拙い意見で恥ずかしいですわ。
カトリーナ様、お話を聞かせて頂いてありがとうございました。」
「いえ、レティシア様ご意見参考にさせて頂きます。こちらこそありがとうございました。」
 皆に挨拶をすると、レティシアは帰っていった。

 レティシアが帰ると早速長男アレクが話し出す。
「レティシア嬢の意見は鋭くて参考になるな。男爵家が逃げるつもりか探ってみよう。
 男爵家が逃げなかった場合は、王太子の行動や周囲の評価を纏めて王太子が王になれそうにないのに、公爵が王太子を支持している。このことが当家の不利益になっている等の理由で責任を取らせて隠居してもらう。
 公爵の隠居によって第1王女の支持に回れる、状況を十分に理解してもらって穏便に隠居してもらいたいな、無理な場合は強硬手段だ。
 隠居にちょうどいい、気候も穏やかな田舎の領がある。遠い領だからこちらに帰ろうとしたらすぐにわかる便利な領だ。

 その後はカトリーナの婚約者候補辞退申し込みとアークの領主就任だな。
カトリーナを王弟か第一王女の部下に推薦したいと思っているんだが、カトリーナはどうだ。面接があるだろうが挑戦してみるか。」
「ええ、是非やりたいですわ。私頑張ります。」
「多分チャンスがあるのは王弟の方かもね。第1王女の側近達には優秀な女性が全体の半分位いるから。王弟はまだそこまでいなかった。」
「ああ、頑張れよ。そうだ、レティシア嬢に話してみたらどうかな。バレット公爵と王弟は親友だから。
 よし、じゃ公爵家代変わりに向けて進んでいくぞ。まずマリー嬢たちが逃げるかどうか確認する、どちらにしても1年以内にすべて決まる。」
「はい、頑張りましょう。お兄様達。」
「うん、僕達の未来がかかってるからね。絶対に上手くいかせるよ。」
 ドレーブ家兄妹は固く結束した。

 家に戻ってきたレティシアは、両親にカトリーナ嬢達との話を伝えていた。
「そうか、やはりあの兄弟が戻ってきたとなるとカトリーナ様は婚約者候補辞退の方向で動くよな。」
「それはそうですわよ。だってあの王太子よ。誰だって危ないと思うでしょう。」
「分かった。男爵家の事は王弟に丸投げしたから、事情を話して相談してみるよ。」
「はい、よろしくお願いします。お父様。」
「ドレーブ家交代劇は、いつ頃開催されるのかしら。」
「マリー嬢の動向を見極めてからだろうな。彼女が逃げたらその事の責任を取らせて引退させる。それが一番穏便に早く片がつく。」
「じゃあそろそろレティシアの辞退確定に向けて動かないとね。」

 ハワードが急にそわそわしながらレティシアを見て話を切り出した。
「ちょっと聞きたいことがあるんだ。レティシアはルーサー様の事をどう思う。」
 真剣に見つめる両親を見て考えるレティシア。
「好ましく思っています。」
 ハワードは泣き崩れ、メリーナは飛び上がって喜んだ。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】番としか子供が産まれない世界で

さくらもち
恋愛
番との間にしか子供が産まれない世界に産まれたニーナ。 何故か親から要らない子扱いされる不遇な子供時代に番と言う概念すら知らないまま育った。 そんなニーナが番に出会うまで 4話完結 出会えたところで話は終わってます。

夫が運命の番と出会いました

重田いの
恋愛
幼馴染のいいなづけとして育ってきた銀狼族の族長エーリヒと、妻ローゼマリー。 だがエーリヒに運命の番が現れたことにより、二人は離別する。 しかし二年後、修道院に暮らすローゼマリーの元へエーリヒが現れ――!?

帰国した王子の受難

ユウキ
恋愛
庶子である第二王子は、立場や情勢やら諸々を鑑みて早々に隣国へと無期限遊学に出た。そうして年月が経ち、そろそろ兄(第一王子)が立太子する頃かと、感慨深く想っていた頃に突然届いた帰還命令。 取り急ぎ舞い戻った祖国で見たのは、修羅場であった。

大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!

古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。 その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。 『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』 昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。 領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。 一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――

はじめまして、私の知らない婚約者様

有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。 見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。 けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。 ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。 けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。 この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。 悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに? ※他サイトにも掲載しています。

とっていただく責任などありません

まめきち
恋愛
騎士団で働くヘイゼルは魔物の討伐の際に、 団長のセルフイスを庇い、魔法陣を踏んでしまう。 この魔法陣は男性が踏むと女性に転換するもので、女性のヘイゼルにはほとんど影響のない物だった。だか国からは保証金が出たので、騎士を辞め、念願の田舎暮らしをしようとしたが!? ヘイゼルの事をずっと男性だと思っていたセルフイスは自分のせいでヘイゼルが職を失っただと思って来まい。 責任を取らなければとセルフイスから、 追いかけられる羽目に。

中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています

浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】 ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!? 激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。 目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。 もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。 セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。 戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。 けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。 「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの? これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、 ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。 ※小説家になろうにも掲載中です。

「愛想がなく可愛くない」と捨てられた私、最強の竜騎士に拾われる。「その美しさに僕だけが狂わされたい」と、愛の重さでベッドから下ろしてくれない

唯崎りいち
恋愛
夜会の最中、王子に「愛想がなくて可愛くない」と婚約破棄された無表情令嬢。 だが彼女の美しさに一目惚れした隣国最強の竜騎士に連れ去られ、 「君はもう僕のものだ」 と毎晩愛の重さでベッドから下ろしてくれない生活が始まる——。

処理中です...