女三人 何でも屋始める

小梅カリカリ

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木田さん宅へのプレゼント ①

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 小西家が帰るのを見送った木田さん夫妻。
「無事に解決して良かったわね。【何でも屋】さんが来てから町内の問題が上手く解決していて嬉しいわ。良い人達が来てくれてよかった。」
「そうだな、持ち主の鈴木さんお家族はとてもいい人達だし、その人達が貸すんだから大丈夫だろうとは思っていたけれどね。仲良くなりたくて看板も送ってみたんだけど、気に入ってくれたのかな、一応飾ってくれているけど。」
「どうかしら。まあ、捨てられてないから良かったじゃないの。
 あの子達、嫌な依頼はきちんと断るのよ。なんていうか、私も依頼を紹介する時、張り合う感じで楽しいわ。」
「いや、張り合わないでくれよ。花蓮はかなり年上なんだし、少し譲った方が良いんじゃないのか。」
「っふん。余計な事は言わなくていいのよ。誠さん、頂いたお菓子を食べましょ。おいしそうだわ。」
「はい、はい。」
 お菓子を食べながら先程来た配達の荷物を開ける2人。中には可愛いハンカチが入っていた。
「可愛いわね、4枚あるわ。どなたが送ってくれたのかしら。」
 中に入っていたカードを読む花蓮。
「ん、うーん。誠さんこれ見て。」
「どうしたんだ、あなたのファンよりって書いてあるな。ファンって誰だ。」
「知らないわよ、なんか怖いわね。最近この近所変な事件が毎月起きてるけれど、まあ犯人は猫とカラスと元夫だったから関係ないわね。
 これは、交番に知らせておいた方が良いかしら。」
「そうだな、送り主を調べて貰った方が良いだろう。何だか嫌な感じだな。戸締りをきちんと確認した方が良いだろうな。」
 念の為といってスマホで写真を撮った誠さん。紅茶だけ飲んで頂いたお菓子を少し包むと、届いた荷物と伝票をもって交番に向かった。

「こんにちは、森さん、林さん」
「こんにちは木田さん。今日はどうなさったんですか。」
 2人は交番に入ると持ってきたお菓子と荷物を机に置く。
「美味しいお菓子をいただいたのでお裾分けと、知らない人から荷物が届いたので相談に来たんです。」
「これですか、ちょっと見せて貰いますね。」
 中を確認する警察官2名。伝票も見た後にカードを読む。
「ちょっと不気味ですね、業者に連絡して送り主を確認してみます。」
「ええ、荷物も一緒に預けておきますね。よろしくお願いします。」
「結果が出たら知らせますね。お菓子、ありがとうございました。」
「お隣の【何でも屋】さんっていう探偵をしている女性が作ってくれたのよ。とてもいい人達でねえ。ウフフ、所でお2人は彼女いるんでしたっけ。」
「いませんけれど、確か鈴木警部の姪御さんですよね。最初にご挨拶に来て下さって、ええ。」
「そう、知ってたのね。あっでも、お菓子を作った女性は違う人だけど。」
 2人をじっと見る花蓮さん。残念そうに首を振った。
「性格も顔も良いのに残念よね。頑張ってね。」
「え、どういう意味ですか。今の否定は何だか傷つくのですが。」
「妻の事は気にしないでください。では、私達はこれで失礼します。」
 誠さんは花蓮さんと一緒にさっさと交番から出て行った。

「余計な事を言うと嫌われるぞ。全く。」
「違うわよ、年齢差が残念ねって言ったのよ。香さんと雪さんは32歳花ちゃんは30歳でしょ、最近は年下でも良い人もいるけれど、森君が27歳。うーん。」
「そういう事が余計な事だぞ。そういう話は、家の中だけにしないと。でもこれで、送り主が見つかればいいけどな。」
「見つかってほしいわね。ファンって、ちょっと気味が悪いわ。宅配って偽名で出す事も出来るみたいし不安よね。まさか、私達がこんなことに巻き込まれるなんて思ってなかったわ。」
 花蓮の話を隣で頷きながら聞いていた誠、ふと首を傾げて花蓮に質問した。
「なあ、花蓮はいつの間に3人から年齢を聞いたんだ。」
「違うわ、鈴木さんに聞いたのよ、奥さんの方ね。ここに挨拶に来てくれた時に若い女性3人だからよろしくって頼まれたのよ。変なのが来たらすぐに知らせてほしいってね。私だって親しくない人に年齢なんて個人的な事聞かないわよ。」
「それもそうか。変なのはこっちに来たな、まあ悩んでも仕方がないか。頂いたお菓子を食べて気分転換しよう。」
 誠に同意して頷いた花蓮、2人が家に着くとアジが来ていた。アジに魚をあげる花蓮。美味しい紅茶とお菓子を食べ可愛いアジを見て少し心が癒された。

 木田さん達が帰った後すぐに宅配業者の営業所に連絡して調べる森林コンビ。
「嫌な予感的中です。これは実際に営業所に聞きに行かないとだめかもしれないですね。一応鈴木警部に連絡しておきます。」
「そうだなあ、送り主が分からないとなると木田さん夫妻の事が心配だな。問題はどちらのファンなのかという事だが、どう思う。」
「可愛いハンカチでしたし、女性への贈り物のようですよね。年配の男性はあまりピンクとかオレンジは使わない気がします。花柄や猫の柄もありましたし。
 送り主は、2人の知り合いもしくは一方的に知っている人間だと思います。少なくとも最近猫を飼いだした事を知るくらいには。
 最近は本当に、ストーカー関連の被害者も加害者も年齢なんて関係なくなりましたよね。」
「そうだな、賀来さんの事件の犯人がストーカーじゃなくて、カラスでホッとしていた所だったのに。あれを解決したのが【何でも屋】さんだったかな。
 木田さんの周辺の家に聞込みに行くついでに挨拶に行くか。」
 それを聞いて先輩を鋭く睨んだ林巡査。
「先輩、言っておきますけれどダメですよ。鈴木警部がわざわざ訪ねていらして、”姪がとても仲良くなった友人だから、よろしくね”と仰ってたじゃないですか。」
「分かってるよ、あの鈴木警部だぞ。変な事考える訳がないだろ、仕事だよ。聞込み。」
「素敵な人って評判ですけれど大丈夫でしょうね。私が話しますから、先輩は横で愛想だけ振りまいておいて下さい。」
 憮然とした表情で後輩の林巡査を睨む森巡査。
「っふん。お前だって変な事言ったら、部長と警部に伝えるからな。」

 交番勤務の巡査、森健太27歳と林康太23歳、この近所では性格も顔も良いのに残念ねと言われる森林コンビ。何も知らないのは本人達だけである。
 森林コンビの調査の結果、差出人は偽名で住所も出たらめ。持ってきた人物については何もわからなかった。

 木田夫妻に伝えに来た森林コンビ。
「そうですか、私達も友人に聞いてみたんですけれど誰も送ってないという事が分かって。」
 険しい顔をしている4人。
「取りあえずは、戸締りを厳重にするくらいしか思いつかないわね、あなた。」
「そうだな、ファンとなると不気味だよな。周囲の人にも話しておこう。」
「私達も近隣の防犯カメラをチェックして近所の方達に聞込みをしてみます。宅配の方も引き続き調べますので、何か気が付いた事などあったら、いつでも交番に知らせてください。」
「はい、わざわざありがとうございました。」
 挨拶をして帰っていく2人を見送った木田夫妻。早速近所の人達に注意喚起のメールを送った。
「一応【何でも屋】の花さんにもメールで知らせておいたわ。」
「そうだな、巻き込んでしまうかもしれないから、ご近所には知らせておかないと。」
 お互いに戸締りをすると、遊びに来ていたアジと一緒に家に戻っていった。
「アジ、慰めてくれているのかしら。荷物が届いてからずっと家にいてくれるわね。」
「優しい子だからね。アジ、お魚あげような、ありがとう心配してくれて。」
 優しい声で鳴いて2人の足元によって来るアジに慰められながら家に入っていった。

 翌日、木田さん夫妻の家に荷物が届く。中身を見て箱を落とした花蓮。中にはアジとアジに笑顔でご飯をあげる花蓮のA4サイズの写真とカードが入っている。カードにはあなたのファンよりと書かれていた。
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