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47話 お試し期間6
しおりを挟む完全に利用されたと気づいたが、まーいいかと気持ちを切り替え、座る場所を探そうとした時、俺達を静止した女が俺達に対して、こっちに来いというジェスチャーをしてきた。
(面倒臭いけど、行かない理由は特にないからな)
「あの人のところに行くでいいか?」
「うん、翔についていく」
俺は芽依の許可をもらい、女の元に近づいた。
「どうぞ、ここに座ってください」
俺と芽依は、女に指定された場所に座る。
「先程は申し訳ございませんでした」
座った瞬間、急に女に頭を下げられた。
「なんの事についてだ?まだよく分かってないんだが」
俺の言葉遣いに、周囲にいた何人かから、鋭い視線を感じたが、特に気にしない事にした。
「そうですね、まずそこから説明しないといけませんね。私達は、先程のギルド職員と組んで、最近ここらへんで迷惑行為をしている男5人を法で裁くことを目的にしていました。1日その冒険者をここで待っていましたが、一向に姿を表さず、30分程前にようやくここに姿を見せました。
そして先程、貴方たちが来た。今回迷惑行為をかけている男達がターゲットにしていたのは、初心者で弱そうな女の子のいるパーティーだったので、貴方達が狙われたという事ですね。
法で裁くと言っても、冒険者資格を剥奪するほどの行為となれば、剣を抜かせるのが確実です。そこが肝だったのですが、貴方が予想以上に上手くあの男達を挑発してくれたおかげで、剣を抜かせることができました。正直、あのまま放っておいても剣を抜いたでしょうが、ギルド側が全く何もしていないとなると、体裁が悪いので、少しだけ参加させていただきました。
このような事に巻き込んでしまった事についてのお詫びと、剣を抜かせる事に貴方は協力しようとしたわけではないとは分かっていますが、感謝を」
そう言うと、女はまた頭を下げる。
(ここで何か言ってもいいが、この人たちも仕事だし、それにあの面倒な奴らを2度とダンジョンで見る事はないと分かったからそれでいいか。この人達はギルド側にも、そして周囲の反応からしても、多分冒険者達の中でも一目置かれている存在だ。そんな人相手に事を立てる気はないな)
「気にしないでくれ、確かに、うちの相棒が絡まれた件については迷惑したが、あいつを2度と見ることがないと分かってすっきりしたよ。だから謝罪も感謝もいらない」
俺の言葉遣いにまたしても周囲の視線が厳しくなる。そして、うちの相棒という言葉に、芽依が反応していたが、気にしない事にした。
「そう言ってもらえると助かります」
「これで用件は終わりか?ここは落ち着かないから、離れたいんだが」
(正直周りの視線が鬱陶しい。多分この人は偉い人か実力のある人なんだろう。そんな人に俺はタメ口だから、周りがなんだこいつって俺のことを見てくる。まぁだからって態度は変えんが)
「せめてものお礼として、ここで休んでいってください。ここは地面が平になっているので、休憩するには丁度いいんですよ」
俺の気持ちを察しているのか、察していないのか分からないが、目の前の女は気にせず話し続ける。
「あっそうだ。自己紹介がまだでしたね。私は、至誠の盾というクランのサブマスターをやっています。加賀智子といいます。以後お見知り置きを」
「どうも、俺は四ノ宮翔。このプレートの通りF級冒険者になりたてです」
「芽依」
(いや、短か!芽依って、人見知りなのか?俺の時は最初からスムーズに話してた気がするが)
「もういいか?貴方やここに不満があるってわけじゃないが、ここは人目を集める。俺達は注目されるのが苦手なんだ」
先ほどから周囲の視線が鬱陶しすぎる。ここまで言うと、やっと察したようだ。
「あっそうでしたか、それは失礼しました。もうこちらも用件はないので、そう言う事でしたら好きに動いていただいて構いません」
「じゃあ」
俺と芽依が席を立ち、移動をすると、周りから態度が悪いなとか、せっかくの機会を無駄にするなんてみたいな言葉が聞こえたような気がするが、気にするほどのことでもないため無視をする。
(はぁ、色々と面倒くさかったな)
俺と芽依は、なるべく人のいない所に移動し、腰を下ろす。その際、ごつごつしている床に反転をかけ、見た目はごつごつなのに、座るとふわふわするという謎なソファのようなものができたが、まぁいいだろう。
「ひゃっ!」
そんな場所に座った芽依は、一瞬驚いて声をあげたが、俺の能力によるものだと気づいたのか、俺の方を見てきた。
「ありがとう」
「気にするな。こんなごつごつした床だと、休めないからな」
俺がそう返すと、芽依は首を横に振った。
「?」
俺が不思議そうな顔をしていると、芽依は口を開く。
「それもだけど、あの男達が絡んできた時に、前に立ってくれてありがとう。それにあの女の人と表立って話してくれてありがとう」
(なんだ、その事についてお礼を言っていたのか)
「それこそ気にするな。芽依は人見知りなのか?」
俺の言葉に、芽依は小さく頷いた。
「そう、初めての人とはうまく話せない。翔は平気だったけど」
「へぇ、そうなのか」
芽依と色々な雑談をしながら、自分たちの番が来るのを待っていると、俺たちの座っている床が微かに光る。結局、2時間半ほど待つ事になった。
「よし、ようやく回ってきたか。芽依行けるか?」
「うん、いつでも平気。フロアボス楽しみ」
芽依も問題はないみたいなので、2人でフロアボスの間に向かって歩く。
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