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59話 フリーパスダンジョン2
しおりを挟む「また負けた」
芽依はジェネラルの亡骸があった場所に立っている俺に近づいてくる。
「継続的な速さは芽依の方が早いが、瞬間的な速さはまだまだ俺の方が速いようだな」
「ほんと、翔の反転はチート」
「芽依も似たようなものだけどな。それにしても、この宝箱はどっちが開ける?」
俺の目線の先には、宝箱が一つ鎮座していた。
「えっ!宝箱だ!」
どうやら、芽依は今気付いたようだ。それだけ、ジェネラルを狩れなかったのが悔しかったんだろう。ちなみにこの宝箱は、ジェネラルの亡骸がダンジョンに消えていくと共に現れたものだ。
「ジェネラルは俺がもらったし、芽依が開けろよ」
俺が芽依に宝箱を開ける事を勧めると、芽依は首を横に振った。
「ううん、これはジェネラルを狩った翔が開けるべき。私は、自分で倒した魔物から出た宝箱を今度開けるからいい」
こう言うところが、芽依の良いところだな。俺は芽依の良さを発見した所で、芽依の言葉に甘え、宝箱を開けさせてもらう事にした。
「じゃあ、遠慮なく開けさせてもらうぞ」
「うん、何が出るかな?」
芽依は、宝箱を開けることは辞退したが、中身はすごく気になるようだ。俺は宝箱の蓋を一気に開ける。
「ん?これは」
宝箱の中身を取り出すと、それは紫色の液体の入った瓶だった。
「あー、これ魔力回復ポーションだわ」
「あー、お互いに使わないやつ出ちゃった」
そう、普通なら魔力回復ポーションはそれなり以上に需要があるが、俺と芽依は魔法を使わない。つまり、魔力を消費する機会もないため、俺たちに魔力回復ポーションは宝の持ち腐れだ。
「まぁいいか、今度冒険者ギルドに行った時に売るとするか」
「賛成、先に進む?」
「ああ、魔石を拾ったらな」
俺と芽依は、お互いに分担しながら魔石を拾い、拾い終わると、フロアボスの間の奥へと向かう。うっすらと光る転移陣の横を通り、十一層へと向かうための階段のある方に向かう。階段の前には、扉があるため、俺はそれを一息に開く。
「準備はいいか?」
「問題ない、いつでも行ける」
「なら行くか」
俺と芽依は、十一層へ向かうために、階段を降りていく。階段の段数は50もないため、数分で十一層へと辿り着く。
「なんだ、上の層とあんまり変わらないな」
十一層に降り立った俺は、相変わらずな洞窟型のダンジョンを見て、そう呟く。
「見た目は変わらないけど、上の層より魔物は強くなってる。見える気配が違う」
俺とは違う意見を言ったのは芽依だ。
「それは心眼で見たのか?」
「うん、心眼を使えば、索敵のようなことも出来そうだって気づいた」
そう言う芽依は、心なしか自信ありげだ。
「ますます心眼は万能になっていくな。芽依、ありがとな。良い情報だ。見た目が変わらなくてがっかりしたが、ちゃんと魔物が強くなってるなら、問題はない。バンバン魔物を狩っていくぜ」
「うん、バンバン狩ってレベル上げ」
俺と芽依は、下へと降りる階段を探しながら、経験値となる魔物を探す。すると、すぐにその相手が見つかった。
「グギャ!」
その相手は、定番のゴブリンだと思いきや、ホブゴブリンだった。それも3体、周りにゴブリンはいない。
「あ?ホブゴブリンはゴブリンを率いてるんじゃなかったのか?ホブゴブリンが単体で出てきたってことは、ここからはホブゴブリンが最弱って事になりそうだな」
俺は、なぜホブゴブリンしかいないのかという疑問から、一つの答えを導き出した。
「翔の言う通りなら、この層の最強はなんなのか、楽しみ」
そう言う芽依の顔には笑みが浮かんでいた。
「だな、強い敵だと良いが、まだまだ十一層じゃ望みは薄そうだな」
「終わった」
なんて事を考えていると、芽依があっという間にホブゴブリンを3体狩っていた。
「仕事が早いな。どんどん次に行くぞ。一つ一つの戦闘に時間をかける意味はないからな」
その後も出会う魔物はゴブリンシリーズが多く、最低がホブゴブリン、最高はメイジだった。といっても、これらのゴブリン種達も、上の層よりも若干強くなっている気はした。
「下の層に行くと、同じ魔物でも強さが違うな」
「翔も思った?私もちょうどそう思った所」
ホブゴブリンは10体、アーチャー3体、メイジ2体を一緒に狩った所で、芽依も同じ事に気付いたようだ。
「ならどんどん下に行けば、期待できそうだな」
「うん、ここは期待外れだった。早く行こ」
芽依がそう言ってある方向を指差す。その方向を目で追うとそこには、次の層に降りるための階段があった。
「おっいいな、どんどん下に行くぞ」
「うん」
魔石を拾った俺達は、階段を降りていく。
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