屋上より愛を込めて

アオ

文字の大きさ
12 / 19

12

しおりを挟む
 


 大きい男二人。私の狭い部屋にいるととても窮屈。

 どうしてこんなことになってるんだろう。まったく。

 お茶の用意をしながら二人の様子を垣間見た。

 二人とも黙ってにらみ合ってる。なんだかなぁ。

 お盆に紅茶セットを持ってきてテーブルの上に並べる。

 コポコポ音を立てて入れてると

 「何だかいいにおいだな。」

 「一条さん、お仕事忙しいみたいだから疲れが取れるハーブティーにしました。

 苦手ですか?」

 葵のやさしい心遣いに満面の笑顔になる。

 その笑顔痛いです。

 「大丈夫だよ。ありがとう」

 「一条・・・・・。ってもしかして葵に毎日告白してた一条?」

 いきなりリョウの発言に葵が慌てて止める。

 「きゅ、急に何いってるのよ。失礼でしょ」

 「そうだ、だから君にはこれ以上オレたちに間に入ってほしくない」

 一条さんまでなに言ってるのよ~。

 「ふぅ~ん。でも、葵は良い返事はしてないはずだ」

 「彼女はオレのことが好きだ。目を見たら分かる」

 な、なんてオレ様なの~!!

 びっくりして真っ赤になってるとリョウが大声で笑い出した。

 ちょっと、笑い事じゃありませんが。

 「葵、あなたの負けだね。いい加減、降参したら?」

 負けって、負けって・・・・。違うもん。

 首を横に振って否定してるとリョウは優しい目で私を見た。

 「ねえ、葵。あなたはもう答えがでてるでしょ?どうしてそんなに抵抗するの?」

 そんなこと言ったって。

 「あなたは、私に『人はだれでも幸せになれるよ。』って教えてくれたじゃない。

 なのに、自分はどうして不幸になろうとするの」

 そういって頭をなでてくれた。

 「もう、過去から逃げないでさ、前に進んでもいいと思うよ」

 過去から逃げる・・・・。そう、私は彼の呪縛から放れようとしなかった。

 「じゃなかったら、私が彼をもらうからね。いいの?」

 その言葉に、一条さんがびっくりしてた。そりゃそうでしょ。

 リョウはニコニコしながら一条さんの側に寄っていった。

 一条さんが微妙な顔をして私を見つめた。その顔がおかしくって笑ってしまった。

 「一条さん、葵がだめなら私がいますから、ネ。(ハート)ここに連絡頂戴ね」

 そういって名刺を渡して去っていった。

 一条さんは呆然と名刺を見ていた。

 その姿がやっぱりおかしくって笑ってしまった。

 困った顔になっていた彼を見ながら私は深呼吸をして言った。

 「一条さん、これから私の話を聞いてくれますか?」

 あのことを話すのは正直怖い。思い出すだけで震えがくる。

 だけどこのままじゃいけないんだ。

 葵の強い意思のこめた目を見て直も真剣な表情でうなずいた。

   



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ため息ひとつ――王宮に散る花びらのように

柴田はつみ
恋愛
「離縁を、お願いしたいのです」 笑顔で、震えずに、エレナはそう言った。 夫は言葉を失った。泣いてくれれば、怒ってくれれば、まだ受け止め方があった。しかしあの静けさは、エレナがもう十分に泣き終わった後の顔だと、ヴィクトルにはわかった。 幼なじみと結ばれた三年間。すれ違いは静かに始まり、深紅のドレスの令嬢によって加速した。ため息を飲み込み、完璧な微笑みを保ち続けた公爵夫人が、最後に選んだのは――。 王宮に散る花びらのような、夫婦の崩壊と再生の物語。

とっていただく責任などありません

まめきち
恋愛
騎士団で働くヘイゼルは魔物の討伐の際に、 団長のセルフイスを庇い、魔法陣を踏んでしまう。 この魔法陣は男性が踏むと女性に転換するもので、女性のヘイゼルにはほとんど影響のない物だった。だか国からは保証金が出たので、騎士を辞め、念願の田舎暮らしをしようとしたが!? ヘイゼルの事をずっと男性だと思っていたセルフイスは自分のせいでヘイゼルが職を失っただと思って来まい。 責任を取らなければとセルフイスから、 追いかけられる羽目に。

つまらない妃と呼ばれた日

柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。 舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。 さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。 リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。 ――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

冷徹公爵の誤解された花嫁

柴田はつみ
恋愛
片思いしていた冷徹公爵から求婚された令嬢。幸せの絶頂にあった彼女を打ち砕いたのは、舞踏会で耳にした「地味女…」という言葉だった。望まれぬ花嫁としての結婚に、彼女は一年だけ妻を務めた後、離縁する決意を固める。 冷たくも美しい公爵。誤解とすれ違いを繰り返す日々の中、令嬢は揺れる心を抑え込もうとするが――。 一年後、彼女が選ぶのは別れか、それとも永遠の契約か。

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

婚約破棄の代償

nanahi
恋愛
「あの子を放って置けないんだ。ごめん。婚約はなかったことにしてほしい」 ある日突然、侯爵令嬢エバンジェリンは婚約者アダムスに一方的に婚約破棄される。破局に追い込んだのは婚約者の幼馴染メアリという平民の儚げな娘だった。 エバンジェリンを差し置いてアダムスとメアリはひと時の幸せに酔うが、婚約破棄の代償は想像以上に大きかった。

処理中です...