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【R18】第1話
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「うっ……うっ……」
短く、リズムを取るように俺の口から声が漏れる。
その音とアンサンブルを奏でるようにベッドが軋む。
「うっ!!」
「はぁ……はぁ……先輩。そんなに感じるんですか? もう、三回目ですよ」
俺の背後から、今年から面倒を見ることになった後輩、シモンの声が脳を揺さぶる。
既に俺の中で一度果てたはずのシモンの自身は、未だに春の若木のように張りを保っていた。
俺の蕾を初めて咲かせたその若木は、時に優しく時に激しく俺の内部を愛撫している。
今まで感じたことの無いような絶頂の中で、俺は自分に何が起きたのか、必死で思い出そうとしていた。
止めどなく訪れる快楽に溺れきってしまうことに抗うかのように。
☆☆☆
「ねぇ。私たち付き合わない?」
「冗談。俺たちは一度きりの関係のはずだろ?」
ことを済ませた後シャワーから出ると、ベッドに裸のまま伏せている女性がそんなことを口にした。
しかし、俺は相手の目を見ることもせず否定の言葉を返す。
今までにも何度かあったことだが、残念ながら俺には一向に興味のない事だった。
この部屋は朝まで取ってあるからと伝え、俺は女性を置いて一人部屋から出ていく。
通りにはまだまだ多くの人が、それぞれの人生を示すような姿で歩いている。
飲み過ぎたのか泥酔する者、それを介抱する者。
たった今仕事を終え真っ直ぐに帰路へと向かう者も居れば、大声を上げながらはしゃいでいる若者の姿もあった。
俺が先ほどまで居たバーから、男女が出てこちらに向かって歩いてくるのが目に付いた。
男性の腕は女性の腰に回っている。
きっと、彼らも俺と同じような流れなのだろう。
ふと、ショーウィンドウに移る自分と目が合う。
上等なスーツに包まれた整った顔立ちの青年が立っていた。
自分で言うのもなんだが、この恵まれた見た目のおかげで、今まで女性に不自由したことは無かった。
今まで関係を持った女性の数を挙げればキリがない。
だが、今までどんな女性と付き合っても、上手く言葉に出来ない不自然さを感じていた。
始めは相手に問題があるのだろうと気に止めてなかった。
いつか見つかるだろうと、多くの女性と付き合っては、結果別れることを繰り返していた。
そんなことを繰り返していくうちに、俺は付き合うということ自体億劫になってしまった。
いつからか、言い寄ってくる相手には既に特定の人が居ると断るようになる。
しかし完全に割り切れる訳でもなく、まるで自分は正常だと自分自身に言い聞かせるためだけに、定期的に行きずりの恋を繰り返していた。
「付き合うだって? 冗談。相性は最悪だった」
既に目の前に居ない女性に向かって、俺の心の声を漏らす。
自分のこの気持ちが何なのかも分からぬまま、満たされぬ心を抱えて、俺は自宅へ戻ろうと駅へと向かった。
「あれ? 透先輩。こんな時間に一人でどうしたんですか? 随分前に帰ったはずでは?」
聞き覚えのある声がして俺は顔をそちらへと向ける。
「シモンか。お前こそどうした? 一緒の時間に帰ったはずだが?」
目線の先には、幹部候補生として研修のため今月から俺の部署に配属された後輩のシモンが立っていた。
俺の直属の部下になり面倒を見ているが、前評判通り周りが嫉妬をするほどの後輩だった。
海外の有名大学を首席で卒業した後、現地の支社に入社。
そこで目覚しい成績を成して、そうそうに本社への異動が決まった様なやつだ。
俺も負けるつもりは無いが、おそらく出世街道をそのままかけ登っていくだろう。
それはシモンの種族、狼族としては異例のことだと言っていいだろう。
海外の多くでは既に表立った種族による差別は禁止されている。
しかし、島国である俺の国では未だに他種族への差別意識が強い。
それをものともしないほどの実績、そして才能をシモンは示しているのだ。
「同期の人達から飲み会に招待されまして。今終わったところです。先輩は? 少し酒の匂いがしますね。それと……」
「ん? ああ。そこのバーで飲んで、今から帰るところだ」
「飲んでた……一人でですか?」
「なんだ? ああ。そうだが。何かあるのか?」
俺はシモンの顔が少し歪んだようにも感じたが、気のせいだろうと嘘を付いた。
わざわざさっきの行為を知り合って間もない後輩に言うほど、俺は口が軽くはない。
「なんで……嘘つくんですか?」
「は? なんだと?」
「なんで嘘つくんですか!? 先輩からは女性の臭いがします! しかもこの前とは違った人の! その前とも!!」
突然俺の誰にも話したことのない事実を大声で叫ぶ後輩を前に、俺は声も出せず目を見開き立ちすくんでいた。
短く、リズムを取るように俺の口から声が漏れる。
その音とアンサンブルを奏でるようにベッドが軋む。
「うっ!!」
「はぁ……はぁ……先輩。そんなに感じるんですか? もう、三回目ですよ」
俺の背後から、今年から面倒を見ることになった後輩、シモンの声が脳を揺さぶる。
既に俺の中で一度果てたはずのシモンの自身は、未だに春の若木のように張りを保っていた。
俺の蕾を初めて咲かせたその若木は、時に優しく時に激しく俺の内部を愛撫している。
今まで感じたことの無いような絶頂の中で、俺は自分に何が起きたのか、必死で思い出そうとしていた。
止めどなく訪れる快楽に溺れきってしまうことに抗うかのように。
☆☆☆
「ねぇ。私たち付き合わない?」
「冗談。俺たちは一度きりの関係のはずだろ?」
ことを済ませた後シャワーから出ると、ベッドに裸のまま伏せている女性がそんなことを口にした。
しかし、俺は相手の目を見ることもせず否定の言葉を返す。
今までにも何度かあったことだが、残念ながら俺には一向に興味のない事だった。
この部屋は朝まで取ってあるからと伝え、俺は女性を置いて一人部屋から出ていく。
通りにはまだまだ多くの人が、それぞれの人生を示すような姿で歩いている。
飲み過ぎたのか泥酔する者、それを介抱する者。
たった今仕事を終え真っ直ぐに帰路へと向かう者も居れば、大声を上げながらはしゃいでいる若者の姿もあった。
俺が先ほどまで居たバーから、男女が出てこちらに向かって歩いてくるのが目に付いた。
男性の腕は女性の腰に回っている。
きっと、彼らも俺と同じような流れなのだろう。
ふと、ショーウィンドウに移る自分と目が合う。
上等なスーツに包まれた整った顔立ちの青年が立っていた。
自分で言うのもなんだが、この恵まれた見た目のおかげで、今まで女性に不自由したことは無かった。
今まで関係を持った女性の数を挙げればキリがない。
だが、今までどんな女性と付き合っても、上手く言葉に出来ない不自然さを感じていた。
始めは相手に問題があるのだろうと気に止めてなかった。
いつか見つかるだろうと、多くの女性と付き合っては、結果別れることを繰り返していた。
そんなことを繰り返していくうちに、俺は付き合うということ自体億劫になってしまった。
いつからか、言い寄ってくる相手には既に特定の人が居ると断るようになる。
しかし完全に割り切れる訳でもなく、まるで自分は正常だと自分自身に言い聞かせるためだけに、定期的に行きずりの恋を繰り返していた。
「付き合うだって? 冗談。相性は最悪だった」
既に目の前に居ない女性に向かって、俺の心の声を漏らす。
自分のこの気持ちが何なのかも分からぬまま、満たされぬ心を抱えて、俺は自宅へ戻ろうと駅へと向かった。
「あれ? 透先輩。こんな時間に一人でどうしたんですか? 随分前に帰ったはずでは?」
聞き覚えのある声がして俺は顔をそちらへと向ける。
「シモンか。お前こそどうした? 一緒の時間に帰ったはずだが?」
目線の先には、幹部候補生として研修のため今月から俺の部署に配属された後輩のシモンが立っていた。
俺の直属の部下になり面倒を見ているが、前評判通り周りが嫉妬をするほどの後輩だった。
海外の有名大学を首席で卒業した後、現地の支社に入社。
そこで目覚しい成績を成して、そうそうに本社への異動が決まった様なやつだ。
俺も負けるつもりは無いが、おそらく出世街道をそのままかけ登っていくだろう。
それはシモンの種族、狼族としては異例のことだと言っていいだろう。
海外の多くでは既に表立った種族による差別は禁止されている。
しかし、島国である俺の国では未だに他種族への差別意識が強い。
それをものともしないほどの実績、そして才能をシモンは示しているのだ。
「同期の人達から飲み会に招待されまして。今終わったところです。先輩は? 少し酒の匂いがしますね。それと……」
「ん? ああ。そこのバーで飲んで、今から帰るところだ」
「飲んでた……一人でですか?」
「なんだ? ああ。そうだが。何かあるのか?」
俺はシモンの顔が少し歪んだようにも感じたが、気のせいだろうと嘘を付いた。
わざわざさっきの行為を知り合って間もない後輩に言うほど、俺は口が軽くはない。
「なんで……嘘つくんですか?」
「は? なんだと?」
「なんで嘘つくんですか!? 先輩からは女性の臭いがします! しかもこの前とは違った人の! その前とも!!」
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