【完結】私を【偽聖女】と罵倒してきた男がいました。しかし、私は彼によって守られていたみたいです〜鳥になった聖女と、偽りの公爵〜

甘海そら

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プロローグ:その公爵は偽りを吐く

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「さすがは偽物殿。相変わらず人をたばかることに精が出ているようで」

 とある村の片隅であった。
 アザリアは思わずしかめ面を作ることになる。
 
(また貴方ですか)

 うんざりと胸中で呟かざるを得ない相手だった。
 晴天の下、多くのお供を連れた青年が立っている。
 品の良い顔立ちをして、だがそれを台無しにする醜悪な目つきをしている男。
 レド・レマウス。
 立場としては、ケルロー公爵家の当主となる。
 王家であっても、一定の敬意を払わなけばならないような立場だ。
 しかし、アザリアにとっては、とても敬意などを払いたくなるような相手では無かった。
 
「まったく、大したお方ですね。わざわざ聞きつけていらっしゃいましたか。ケルロー公爵とは、よほどヒマなお立場なのですね」

 皮肉を返すと、レドは嫌味な笑みで「ふん」と鼻を鳴らしてきた。

「ご挨拶だが、貴殿のような者に言われたくは無い。そろそろ認められたらいかがですかな?」

「いつものことですが、一応問わせていただきましょう。何を認めろと?」

「いつものことだが、一応言葉にさせてもらおう。そろそろ認めることだ。しかるべき身分も無く、聖女としての『燐光』も無い。そんな貴殿が、聖女などと自称し、あまつさえ大聖女の地位をかすめとった稀代きたいの蛮行。このレド・レマウス、決して見逃すことは出来ん」

 まったくもって、いつも通りだった。
 アザリアは、いつも通りにうんざりとため息をもらした。

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