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7、小さな違和感
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希望は消えた。
よって、次に考えるのは人生の終わらせ方だ。
(どうしたものでしょうか)
妹と母により悪女であることを求められ、いつも通りに城下に向かう。
その道中で考えを巡らせるのだった。
なかなかに方法が難しいのだ。
メアリは15歳の頃に、一度だけ衝動的に命を絶とうとしたことがある。
その時から、監視の目は一層厳しくなった。
自室に鍵をかけられないようになり、睡眠時であっても定期的に侍女が部屋に入ってくるようになった。
刃物を身につけるなどはもっての他だ。
メアリの食事においては、その前後においてナイフとフォークの数が厳密に数えられるほどだった。
とにかく様々な対策がなされているのだ。
この状況で自身はどう工夫すれば良いのか。
悩ましかった。
そして悩ましいままに、怒れる人混みに対する時がやってきてしまった。
(何か手段はあるはずです)
そう結んでおいて、メアリは群衆へと目を向ける。
死を覚悟すれば、これも苦しくはないかもしれない。
そんなことを期待したものだったが実際は違った。
やはり敵意の視線には、胸中をざわつかせられる。
ともあれ、いつも通りだった。
妙な振る舞いを見せてしまえば、監視の目が厳しくなる可能性がある。
メアリは1つ息を吐いて、いつも通りの笑みを……
「すまないっ!! 前に通してくれっ!!」
その声にメアリは背筋を震わせることになった。
聞き間違えようなど無い。
群衆をかき分けて、1人の青年が前に進み出てきた。
衛兵が押し止めようとするが、それは「内務卿だ」の一言ではねつけられる。
キシオンであった。
彼はメアリの前に立ち、燃えるような双眸を見せてくる。
「お聞きしました。またの浪費かと思えば、今度は商人を脅して高価な宝飾品を提出させたとのこと。これは真のことでしょうか?」
冷静になどなれなかった。
だが、さすがに5年積み重ねてきたものがある。
メアリは震える唇で言葉をつむぐ。
「……そうよ? 何か文句でもある?」
何とか言葉は震わせずにすんだ。
だが、これで一安心とはならない。
キシオンは間髪入れずに怒声を上げてきた。
「文句どころの話ではありませんっ! 王権を傘に着たこの暴虐っ! 貴女には王族としての誇りはないのかっ!」
その罵倒の言葉に、メアリは思わず泣きたくなった。
(もう止めてよ……)
自分は脅されて悪女として振る舞っているだけなのだ。
全ては家族の行いであり、人々を苦しめているのは自分では無いのだ。
それなのに、何故自分は怒鳴られているのか?
キシオンにこうも侮蔑の目を向けられなければならないのか?
冷徹な代弁者の登場に、群衆は今までにない盛り上がりを見せていた。
その通りだと賛同の声はひっきりなしだ。
王族として恥ずかしくないのかと、キシオンにならった罵倒の声も少なくない。
そして、彼はそのままだった。
変わらず剣呑な目つきでにらみつけてきている。
もう耐えられなかった。
「め、メアリ様!?」
見張り役の侍従が驚きの声を上げてきた。
メアリが城下に出る目的は、群衆に対して自らの罪を認めることにある。
ただ、世間的にはこれは趣味の途中のはずなのだ。
城下の散策の途中の出来事に過ぎず、メアリは当然この後城下街に出向かなければならない。
だが、今日は無理だった。
これ以上キシオンと向かい合ってなどいたくなかったのだ。
城内へときびすを返し、自室へと急ぐことになる。
唇を噛みつつ考えることになる。
まさか、彼はこれからもあれを続けるつもりなのだろうか?
民衆に混じって自身を糾弾してくるのだろうか?
(早く手段を見つけないと)
今後は分からずとも、覚悟は強まるのだった。
メアリは今日にでも実行したいと思案を巡らせ……ふと首をかしげることになった。
(彼は……何故?)
そんな疑問とも違和感とも言えないものを覚えたのだ。
群衆に混じってメアリに非難を浴びせる。
彼は何故そんな無駄な行動に出たのか?
よって、次に考えるのは人生の終わらせ方だ。
(どうしたものでしょうか)
妹と母により悪女であることを求められ、いつも通りに城下に向かう。
その道中で考えを巡らせるのだった。
なかなかに方法が難しいのだ。
メアリは15歳の頃に、一度だけ衝動的に命を絶とうとしたことがある。
その時から、監視の目は一層厳しくなった。
自室に鍵をかけられないようになり、睡眠時であっても定期的に侍女が部屋に入ってくるようになった。
刃物を身につけるなどはもっての他だ。
メアリの食事においては、その前後においてナイフとフォークの数が厳密に数えられるほどだった。
とにかく様々な対策がなされているのだ。
この状況で自身はどう工夫すれば良いのか。
悩ましかった。
そして悩ましいままに、怒れる人混みに対する時がやってきてしまった。
(何か手段はあるはずです)
そう結んでおいて、メアリは群衆へと目を向ける。
死を覚悟すれば、これも苦しくはないかもしれない。
そんなことを期待したものだったが実際は違った。
やはり敵意の視線には、胸中をざわつかせられる。
ともあれ、いつも通りだった。
妙な振る舞いを見せてしまえば、監視の目が厳しくなる可能性がある。
メアリは1つ息を吐いて、いつも通りの笑みを……
「すまないっ!! 前に通してくれっ!!」
その声にメアリは背筋を震わせることになった。
聞き間違えようなど無い。
群衆をかき分けて、1人の青年が前に進み出てきた。
衛兵が押し止めようとするが、それは「内務卿だ」の一言ではねつけられる。
キシオンであった。
彼はメアリの前に立ち、燃えるような双眸を見せてくる。
「お聞きしました。またの浪費かと思えば、今度は商人を脅して高価な宝飾品を提出させたとのこと。これは真のことでしょうか?」
冷静になどなれなかった。
だが、さすがに5年積み重ねてきたものがある。
メアリは震える唇で言葉をつむぐ。
「……そうよ? 何か文句でもある?」
何とか言葉は震わせずにすんだ。
だが、これで一安心とはならない。
キシオンは間髪入れずに怒声を上げてきた。
「文句どころの話ではありませんっ! 王権を傘に着たこの暴虐っ! 貴女には王族としての誇りはないのかっ!」
その罵倒の言葉に、メアリは思わず泣きたくなった。
(もう止めてよ……)
自分は脅されて悪女として振る舞っているだけなのだ。
全ては家族の行いであり、人々を苦しめているのは自分では無いのだ。
それなのに、何故自分は怒鳴られているのか?
キシオンにこうも侮蔑の目を向けられなければならないのか?
冷徹な代弁者の登場に、群衆は今までにない盛り上がりを見せていた。
その通りだと賛同の声はひっきりなしだ。
王族として恥ずかしくないのかと、キシオンにならった罵倒の声も少なくない。
そして、彼はそのままだった。
変わらず剣呑な目つきでにらみつけてきている。
もう耐えられなかった。
「め、メアリ様!?」
見張り役の侍従が驚きの声を上げてきた。
メアリが城下に出る目的は、群衆に対して自らの罪を認めることにある。
ただ、世間的にはこれは趣味の途中のはずなのだ。
城下の散策の途中の出来事に過ぎず、メアリは当然この後城下街に出向かなければならない。
だが、今日は無理だった。
これ以上キシオンと向かい合ってなどいたくなかったのだ。
城内へときびすを返し、自室へと急ぐことになる。
唇を噛みつつ考えることになる。
まさか、彼はこれからもあれを続けるつもりなのだろうか?
民衆に混じって自身を糾弾してくるのだろうか?
(早く手段を見つけないと)
今後は分からずとも、覚悟は強まるのだった。
メアリは今日にでも実行したいと思案を巡らせ……ふと首をかしげることになった。
(彼は……何故?)
そんな疑問とも違和感とも言えないものを覚えたのだ。
群衆に混じってメアリに非難を浴びせる。
彼は何故そんな無駄な行動に出たのか?
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