【完結】はじめてできた友だちは、好きな人でした

月音真琴

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12.一緒にいたいけど、いない方がいい

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「待ってよ……」

 敦貴は、感情を抑えるような低い声を出した。

「遅れるって」

 普段と違う様子なのは感じていたが、授業に遅れることの方が気がかりで、頭が回らなかった。
 低い声のまま、敦貴が言葉を続ける。

「コウちゃんは、オレのこと友だちだと思ってないってこと?」
「え?」
「オレは……、コウちゃんと一緒だと楽しいから、ここに来てるんだよ。大好きな友だちだから、コウちゃんといるのに……」

 想像していなかったことを彼の口から聞かされ、息が詰まったように立ち尽くしていた。

「コウちゃんは……違うの?」

 敦貴が震えたような声を出した。泣いているのかと思って、心臓が激しく波打つ。
 彼の様子を確認したかったが、それすらも怖くて顔を上げられない。

「ごめん、そうじゃない。僕も敦貴と一緒にいたいけど、敦貴は僕といない方がいいと思って……」
「一緒に居たいのに、なんでそうなるの?」
「敦貴は、他に友だちがいるから」
「他に友だちがいたら、コウちゃんと友だちになれないの? それなら、他の友だちはいらないよ!」

 思いきって敦貴の顔を見れば、表情が曇っていて、彼の苛立ちが伝わってきた。
 敦貴を独り占めしたいわけじゃなかった。自分と一緒にいることで、彼に嫌な思いをしてほしくないだけなのだ。そして、自分自信も傷つきたくなかった。

「……よく、わからないんだ」

 自分でも何を言いたいのか、整理がつかなくて混乱していた。どれが正解なのか、何が正しいのか、答えが見つからない。

「頭の良いコウちゃんでもわかんないなら、オレなんか、わかるわけないよ」

 敦貴のためを思って言っているつもりだったけど、本当は自分のことしか考えていないのかもしれない。
 傷つくのが怖いから。人と関わらなければ、最初から一人でいれば、苦しまなくて済むのだ。

 本鈴が鳴っていたが、敦貴は掴んでいた腕を離そうとしなかった。振り解くこともできたはずなのに、それをしないのは離れたくないからだ。

「授業、始まるよ……」
「いいよ、授業なんて。こっちの方が大事だもん。はっきりさせないとヤダ!」

 言い出したら聞かないのは、食べることに関してだけかと思っていた。彼の性格自体が、頑固なのだろう。
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