【完結】はじめてできた友だちは、好きな人でした

月音真琴

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24.出会わなければ良かった

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 皇祐は敦貴と距離を置くことを決める。

 ――これ以上傍にいたら、だめだ。

 はじめてできた大切な友だちなのに、考えることは友だちに対することではなかった。
 いやらしいことをする敦貴と自分を想像してしまう。
 
 ――敦貴に対して失礼だ。

 知られてしまえば、嫌われるだろう。そこまで考えて怖くなる。
 一人で平気なはずが、敦貴に関してだけは違った。

 ――こんなことなら、出会わなければ良かった。

 皇祐は、敦貴と出会うことが、自分をこんなに悩ませる原因になるとは思っていなかった。 

 ――仲良くなって友だちにならなければ、好きにもならなかったのに。

 自分自身を責めたくなった。



***



「仲谷くん」

 廊下で声をかけてきたのは、敦貴の彼女である美咲だった。

「敦貴なら、教室にいたけど」

 そう伝えると、美咲はもじもじとしながら言葉を発した。

「仲谷くんに、お願いがあって」
「お願い?」

 意を決したような表情をして、彼女は勢いよく話し出す。

「敦貴くんと一緒にお弁当が食べたいの。あと、放課後も一緒に帰りたい。だけど、仲谷くんと約束しているからって、いつも断られちゃって」

 そこまで話した途端、急にしゅんと落ち込むように顔を伏せた。
 敦貴に対する美咲の想いが伝わってきて、胸が痛くなる。

「そっか、気づかなくてごめん。美咲ちゃんと一緒にいられるよう僕からも敦貴に言っておくよ」
「ありがとう、仲谷くん」

 頬を染め、満面の笑みで微笑んだ彼女は、とても愛らしく見えた。
 自分がいるせいで、二人の仲が進展しなくなる。
 それでは、敦貴が幸せになれない。
 二人の邪魔をしてはいけないのだ。



「コウちゃん、昼行こう」

 いつものように、敦貴が声をかけてきた。
 敦貴と二人きりで過ごせる唯一の時間。皇祐にとってお気に入りのひとときだった。

 だけど――。

「敦貴、今日から美咲ちゃんと食べたら?」
「えー、どうして?」

 急に言い出した皇祐の言葉に、敦貴は渋い表情を浮かべながら訴えた。

「付き合ってるんだから、もっと一緒に過ごした方がいいよ。放課後も僕はこれから忙しくなるから、美咲ちゃんと帰ったらいいんじゃないかな」
「忙しくなるの? コウちゃんとゲーセン行きたかったのに」
「彼女とも行けるだろ。美咲ちゃんのこと大切にしてあげなよ」

 むっとして納得いかないという様子の敦貴。それでも皇祐の言ったことを最終的には受け入れてくれる。

「わかった……」
 
 美咲からお願いされたのは好都合だった。
 敦貴と距離を置く理由ができた。そうじゃないと自ら離れることは難しかった。
 いつも一緒に過ごしていたから、どうしても傍にいたいと願ってしまう。
 自分自身の気持ちを抑えることができなくなっていた。
 それでは、だめなのだ。敦貴の幸せを第一に考えなくては。
 
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