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13.村は静か
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しばらくしても返事はなく、時が止まったかのような静けさだけが辺りを包み込む。まるで時が止まってしまったかのよう。だが、数秒後静寂を破る音。現実へと意識を戻される。その耳障りな奇怪な音はただ不快な音として響き渡る。後方から聞こえてくるようだ。その音を聞き呆然としていると扉が開く。すぐに前へと視線を戻した刹那、視界がぐらつき家の中へと倒れこむ。何が起きたか理解できぬままに部屋の床にうつぶせの状態で倒れる。
「また来おったわい」
倒れた体を起こしながら声の主へと目をやる。そこには一人の老婆。その隣に屈強そうな男とユラたちの近くにも屈強そうな男。つまりこの男に中へ引っ張られたのだろうと推測できる。ラティは俺の横に立ってたからよかった。もし倒れてたらこいつらぶちのめしてたかもしれないし。
「突然悪かった、奴が来る頃合い。村の人々は外へは出ないのじゃ」
老婆は続ける。
服についた汚れを払いながら取り敢えずは老婆の話を聞く。
「奴は視界に入るものを食い尽くすのじゃ、故に奴がいる間は外にいてはならん」
その間にも外では不快で奇怪な叫び声が空気を振動させながら響き渡る。空間が歪んでしまうのではないかと思うほどだ。
「奴とはなんなんだ?」
さっきから奴とか言ってるけど詳しい事は言ってないしな。凶暴なくらいしか情報が来ないし。
老婆は奴について話し出した。
「あれはな…」
それからしばらく詳細を聞いたのだが、奴と呼ばれるものは二足歩行で鋭い牙に鋭い目。大きさは4メートルほどで二本の腕で人を捕まえ喰うそうだ。目の前の強そうな屈強なお兄さん達でも瞬殺されてしまうらしい。しゃーないな。
よし
「俺が倒してきます。そのかわりこの子と今日一晩泊めてください」
と必要な事を条件に狩に行く約束をする。
老婆はあんたみたいなのが狩れるのかと心配していたが余裕だろ。
「よし、行ってくる」
ラティの頭を撫でながら老婆達に挨拶を告げて出発する。ラティは手を振っていた。それだけでやる気十分。
歩いて数分のところ奴はいた。見た目はカメレオンのような二足歩行で家畜を喰い漁っていた。
眼をぎょろぎょろ頻りに動かしながら、ただ貪り喰っていた。その口からは血と唾液が混ざった液体がドロドロ地面へ零れ落ち付近を赤黒く染め上げ、あたり一帯を鉄の香りで満たしている。不快。その一言に尽きる。
「あぁ、くせぇなぁ」
ユラは一人ぼそりと呟く。同時にため息をこぼす。
途端に怪物は手に握っていた家畜を放り投げユラに向かって一目散に飛びかかってきた。それは僅か数秒の出来事。
その大きな爪を振りかざすと地面に強く当たる。どでかい地響きと砂埃、視界が悪くなる。
「はぁ、めんどくせぇ」
ため息混じりに呟くとその気だるさから一変、大きな声を上げる。
「燃やし尽くせ、ダークフレイム」
ユラはその手のひらから黒い炎を地面に向けて放つ。地面に当たった炎はユラの周り一帯を燃やし尽くし、砂埃さえ消しとばした。
視界が晴れ、あたりを見回す。めんどくさい事に奴は見えなくなっていた。だが所詮は怪物頭が悪い、涎が垂れている音が後ろから聞こえる。ユラは後ろに振り向きそのまま
「貫け、ダークソード」
手のひらから生成した黒き剣を怪物に向かって放射する。
「グギャァァァア」
黒き剣は怪物の眉間に突き刺さり、頭を破壊した。怪物は断末魔の叫びとともに絶命。
「んだよ、大した事ねえなぁ」
「また来おったわい」
倒れた体を起こしながら声の主へと目をやる。そこには一人の老婆。その隣に屈強そうな男とユラたちの近くにも屈強そうな男。つまりこの男に中へ引っ張られたのだろうと推測できる。ラティは俺の横に立ってたからよかった。もし倒れてたらこいつらぶちのめしてたかもしれないし。
「突然悪かった、奴が来る頃合い。村の人々は外へは出ないのじゃ」
老婆は続ける。
服についた汚れを払いながら取り敢えずは老婆の話を聞く。
「奴は視界に入るものを食い尽くすのじゃ、故に奴がいる間は外にいてはならん」
その間にも外では不快で奇怪な叫び声が空気を振動させながら響き渡る。空間が歪んでしまうのではないかと思うほどだ。
「奴とはなんなんだ?」
さっきから奴とか言ってるけど詳しい事は言ってないしな。凶暴なくらいしか情報が来ないし。
老婆は奴について話し出した。
「あれはな…」
それからしばらく詳細を聞いたのだが、奴と呼ばれるものは二足歩行で鋭い牙に鋭い目。大きさは4メートルほどで二本の腕で人を捕まえ喰うそうだ。目の前の強そうな屈強なお兄さん達でも瞬殺されてしまうらしい。しゃーないな。
よし
「俺が倒してきます。そのかわりこの子と今日一晩泊めてください」
と必要な事を条件に狩に行く約束をする。
老婆はあんたみたいなのが狩れるのかと心配していたが余裕だろ。
「よし、行ってくる」
ラティの頭を撫でながら老婆達に挨拶を告げて出発する。ラティは手を振っていた。それだけでやる気十分。
歩いて数分のところ奴はいた。見た目はカメレオンのような二足歩行で家畜を喰い漁っていた。
眼をぎょろぎょろ頻りに動かしながら、ただ貪り喰っていた。その口からは血と唾液が混ざった液体がドロドロ地面へ零れ落ち付近を赤黒く染め上げ、あたり一帯を鉄の香りで満たしている。不快。その一言に尽きる。
「あぁ、くせぇなぁ」
ユラは一人ぼそりと呟く。同時にため息をこぼす。
途端に怪物は手に握っていた家畜を放り投げユラに向かって一目散に飛びかかってきた。それは僅か数秒の出来事。
その大きな爪を振りかざすと地面に強く当たる。どでかい地響きと砂埃、視界が悪くなる。
「はぁ、めんどくせぇ」
ため息混じりに呟くとその気だるさから一変、大きな声を上げる。
「燃やし尽くせ、ダークフレイム」
ユラはその手のひらから黒い炎を地面に向けて放つ。地面に当たった炎はユラの周り一帯を燃やし尽くし、砂埃さえ消しとばした。
視界が晴れ、あたりを見回す。めんどくさい事に奴は見えなくなっていた。だが所詮は怪物頭が悪い、涎が垂れている音が後ろから聞こえる。ユラは後ろに振り向きそのまま
「貫け、ダークソード」
手のひらから生成した黒き剣を怪物に向かって放射する。
「グギャァァァア」
黒き剣は怪物の眉間に突き刺さり、頭を破壊した。怪物は断末魔の叫びとともに絶命。
「んだよ、大した事ねえなぁ」
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