就職したら運命の隠れαに愛されました

こたま

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 引っ越してから、仕事には一緒に車に同乗させて頂いて出勤している。会社の地下駐車場から、大和さんとエレベーターに乗るのは気恥ずかしいけど、嬉しい。

 生活に慣れてきた今度の週末、僕達は中村先輩のお宅に訪問する予定だ。いわば僕達のキューピッド役の一部を担った中村先輩。あの時の赤ちゃんが3ヶ月になって、首が座ったそうです。
 お祝いの品をどうするか、先輩社員に相談したり、ネット記事を見たり。

 ベビー服、スタイ、帽子、関連会社である子供向け教材会社の商品券。色々揃えて、親御さんである先輩と奥様のリラクゼーションになるように入浴剤なども揃えた。

「うわー、かわいーい。小さい~。」

 赤ちゃんが本当にかわいくて、起こさないように小さな感嘆の声をあげる。

「中村さんと似ていなくて良かったですね」
「なんだよ~。確かに女の子で奥さん似なのほっとしたけども」

 大和さんの愛情あるからかいを含んだ発言。中村先輩は、今日はプライベートなので敬語なしってことで。と最初に言っていた。

 中村先輩の奥様は、こう言ったら何だが先輩には勿体ないくらいの可愛らしくしっかりした人だった。

 僕達は、お子さま出産時の、先輩の慌てた様子と視察、帰国に関するバタバタを楽しく奥様にお話した。
 奥様は、涙を浮かべて笑ってくれて、特に入国審査で危うく別室につれて行かれそうになったときの中村先輩の絶望的表情とか、赤ちゃんが産まれると電話を受けて大慌てだったときのことをお話したら爆笑していた。

 中村先輩は、お返しとばかりに大学時代の大和さんがモテモテだったとか、ばっさばっさと告白を断って生きる屍を作ったとか、その後顔を隠すようになったことだとかを話してくれた。

 持参したプレゼントを喜んで頂いて、僕もいつかは大和さんの赤ちゃんを産めると良いな、とほっこりした気持ちになって帰宅した。

「楽しかったですね」
「そうだね。でも、恥ずかしいことを中村さんにばらされてしまったな」
「恥ずかしいなんて。とても楽しい過去のお話でしたよ。伺えて良かった」
「そう?」
「はい。それに赤ちゃんかわいくて僕も大和さんの赤ちゃん、欲しくなっちゃいました」
「それなら良かった。コウノトリのご機嫌次第だね」
「はい。焦らず、まずは挙式ですね」
「ああ。少しばかり大きめの披露宴になってしまうから、疲れないように気を付けて」
「はい。会社のためですから、倒れないように頑張りましょう」


 結婚式は、ほぼ親族と近しい社員1部のみであるが、披露宴は、大和さんの後継者としての披露も兼ねている部分がある。大和さんは経歴、実力とも充分で、早い出世コースではあるが、まだ上層部にしか後継者表明していなかった。
 今回結婚を機に飛び越えて役職が上がり、後継者表明するのだ。社内外の多くの出席が見込まれる。パーティーに先んじて大和さんは記者会見も予定されていて、社をあげての行事になる予定。そろそろ社内には、僕の事も含めて発表される。

 招待状、衣装合わせ、席次表、挨拶、引き出物の準備と、決めることがたくさんある。仕事をしながら、休みの日は結婚式準備に追われてゆっくりする暇がなかった。

「はあ〰。今週も大変でしたね」
「お疲れ様。マッサージでもしようか?」
「ふふふ。嬉しいです」

 ここに寝て、とソファーにうつぶせになると、肩や腰を優しくマッサージしてくれる大和さん。意外にも手つきが慣れていて上手だ。

「大和さん、とっても上手ですね。誰かにやってあげたことあるんですか?」
「ああ。わが社の会長。爺さんだ」
「会長!肩凝りなんですね」

「ふふ。良かった。嫉妬するところでした」
「そんなかわいい事言うと、襲いたくなるな」

 仰向けに変わって、大和さんの顔がゆっくり近付いてきた。ちゅ、と軽いキス。唇を軽く食まれて、それから舌を。口の中、上のほうを舌で撫でられ、ぞくっと気持ちが良くなるが

「疲れているから、今日はここまでにしておこうね」
「はい」

 今日はこれでおやすみなさい。
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