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「今度回ってくるネイティブの英語講師ってすごいイケメンらしいよ」
「何で知ってるの?」
「ほかの学校の友達に聞いた。曜日毎にいろんな学校を回るから、もう先に行っている学校では女子が大騒ぎになったんだって」
「へえ」
「うちの学校でも女子達が色めき立ってるみたい。アメリカの大学生で日米ハーフらしいよ」
「ふうん」
「何?あんまり興味無い?」
「うん。ごめん。それよりはマッチングの事が頭を占めてるかな?」
「ああ。悠希君は18の誕生日がもうすぐだもんね。確かにイケメンが皆アルファとは限らないしなぁ」
「みのり君は12月だからまだだよね」
「うん。登録するつもりだけど、すぐに相手が見つかるかはわかんないから都会の大学に行っておこうかなと思ってるんだ」
「僕も同じ。相性の良い相手がいつ見つかるか、見つかってもすぐに番うかもわかんないよね。結婚出来なくても独りで生きて行けるように、オメガの学生寮に住んで通える大学を受験するつもり」
悠希の通う私立高校では国の助成金でアルファクラスとオメガクラスを整備している。
昔は一学年300人のうち2割近いアルファが在籍したこともあったが現在はアルファ30人、オメガ20人だ。
オメガクラスの中で男子は悠希とみのりの二人だけ。オメガの女生徒の中にはアルファの同級生とお付き合いしていたり幼少から家の決めた婚約者のいるものがある。
そのほかは皆マッチングに登録する予定を立て、既に登録した生徒もいた。方法は簡便で、本人と保護者のサイン入り申請書と頬の内側の粘膜を専用の綿棒で擦り取った検体を郵送するのみである。
「もう高三なんて、早いよね」
「うん。受験に向けて勉強しないとね」
そんな話をしていた。4月末の誕生日に悠希は予定通り両親のサインと自分の署名、遺伝子採取した検体を郵送して小さな達成感を得た。
その後のゴールデンウィークに悠希は発情期が当たり、学校を休まないで済んで良かったなと考えていた。
5月の連休明け、発情期もあけたばかりの平日、オメガクラスの担任が告げた。
「来週から毎週金曜日にアメリカ人のネイティブ英語講師が登校に来校して講義をします。彼はアルファだそうです。彼も服用していますが皆も必ず抑制剤を飲んでくるように、注意してください」
「「「はい」」」
休み時間は英語講師の噂でもちきりになった。
「アルファだって。アメリカ人のアルファ。格好良いらしいね」
「イケメン楽しみだね」
「大学生で一年間だけ日本にいるって」
「日米ハーフなんだって」
「そうなの?」
「ほかの学校の友達が言ってた」
悠希はあまり興味は無かった。マッチングに登録した結果のお見合い相手がいつ紹介されるかのほうが喫緊の課題だったからだ。
オメガの女子生徒達とみのりの会話をふうん、へえ、と何となく聞いていただけだった。
抑制剤は毎日しっかり飲んでいる。また発情期が終わったばかりだ。自分にはあまり関係ない話題として認識していた。
そして翌週。くだんの英語講師は1限から一年の英語講義を回り始めた。悠希のいる三年生のオメガクラスに現れるのは、まだ二週間先である。
しかし彼の見目麗しさは悠希のクラスにも噂が届いており、学校中の皆からアイドル並みの人気になっていた。
「英語の先生がお昼に学食を使ったら大騒ぎになってたんだって」
「ふうん」
「皆、先生と話したがったり近くに座ろうとして。教頭先生が来て散れって怒鳴っていたらしいよ」
「そうなんだ、人気者だね」
「悠希君、僕達も見に行かない?」
「僕はいいや。みのり君、行きたいなら他の皆と行って来なよ」
「うん。わかった。ちょっと見てくるね」
昼休みになるとオメガクラスの女子数人とみのりも学食に教師を見に行った。
「ただいま」
「おかえり、早かったね。ご飯は食べられたの?」
「ううん。混んでたからパン買って、その先生見てきた」
「そっか。早く食べちゃいな」
「うん」
みのりは弁当を食べる悠希の前でもそもそとパンを咀嚼した。ほかの女子生徒も学食では食べられなかったのか、何か買ってきたり、弁当箱を出して教室で食べ始めた。
パンと飲み物を急いでかきこむと
「格好良かったよ。アメリカ映画に出る俳優とか雑誌モデルみたいだった。暗めの金髪で蒼い眼だった」
「そう。見られて良かったね。先生は珍獣みたいに皆が見にきて気分を害されて無かった?」
「皆がチラチラみたり、学食の外からも見てるのには苦笑してる感じだった」
「そう。もうすぐ講義で来るし、ゆっくり食事してもらえるように静かにしておいてあげたいね」
「うん。ちょっと反省したよ」
「何で知ってるの?」
「ほかの学校の友達に聞いた。曜日毎にいろんな学校を回るから、もう先に行っている学校では女子が大騒ぎになったんだって」
「へえ」
「うちの学校でも女子達が色めき立ってるみたい。アメリカの大学生で日米ハーフらしいよ」
「ふうん」
「何?あんまり興味無い?」
「うん。ごめん。それよりはマッチングの事が頭を占めてるかな?」
「ああ。悠希君は18の誕生日がもうすぐだもんね。確かにイケメンが皆アルファとは限らないしなぁ」
「みのり君は12月だからまだだよね」
「うん。登録するつもりだけど、すぐに相手が見つかるかはわかんないから都会の大学に行っておこうかなと思ってるんだ」
「僕も同じ。相性の良い相手がいつ見つかるか、見つかってもすぐに番うかもわかんないよね。結婚出来なくても独りで生きて行けるように、オメガの学生寮に住んで通える大学を受験するつもり」
悠希の通う私立高校では国の助成金でアルファクラスとオメガクラスを整備している。
昔は一学年300人のうち2割近いアルファが在籍したこともあったが現在はアルファ30人、オメガ20人だ。
オメガクラスの中で男子は悠希とみのりの二人だけ。オメガの女生徒の中にはアルファの同級生とお付き合いしていたり幼少から家の決めた婚約者のいるものがある。
そのほかは皆マッチングに登録する予定を立て、既に登録した生徒もいた。方法は簡便で、本人と保護者のサイン入り申請書と頬の内側の粘膜を専用の綿棒で擦り取った検体を郵送するのみである。
「もう高三なんて、早いよね」
「うん。受験に向けて勉強しないとね」
そんな話をしていた。4月末の誕生日に悠希は予定通り両親のサインと自分の署名、遺伝子採取した検体を郵送して小さな達成感を得た。
その後のゴールデンウィークに悠希は発情期が当たり、学校を休まないで済んで良かったなと考えていた。
5月の連休明け、発情期もあけたばかりの平日、オメガクラスの担任が告げた。
「来週から毎週金曜日にアメリカ人のネイティブ英語講師が登校に来校して講義をします。彼はアルファだそうです。彼も服用していますが皆も必ず抑制剤を飲んでくるように、注意してください」
「「「はい」」」
休み時間は英語講師の噂でもちきりになった。
「アルファだって。アメリカ人のアルファ。格好良いらしいね」
「イケメン楽しみだね」
「大学生で一年間だけ日本にいるって」
「日米ハーフなんだって」
「そうなの?」
「ほかの学校の友達が言ってた」
悠希はあまり興味は無かった。マッチングに登録した結果のお見合い相手がいつ紹介されるかのほうが喫緊の課題だったからだ。
オメガの女子生徒達とみのりの会話をふうん、へえ、と何となく聞いていただけだった。
抑制剤は毎日しっかり飲んでいる。また発情期が終わったばかりだ。自分にはあまり関係ない話題として認識していた。
そして翌週。くだんの英語講師は1限から一年の英語講義を回り始めた。悠希のいる三年生のオメガクラスに現れるのは、まだ二週間先である。
しかし彼の見目麗しさは悠希のクラスにも噂が届いており、学校中の皆からアイドル並みの人気になっていた。
「英語の先生がお昼に学食を使ったら大騒ぎになってたんだって」
「ふうん」
「皆、先生と話したがったり近くに座ろうとして。教頭先生が来て散れって怒鳴っていたらしいよ」
「そうなんだ、人気者だね」
「悠希君、僕達も見に行かない?」
「僕はいいや。みのり君、行きたいなら他の皆と行って来なよ」
「うん。わかった。ちょっと見てくるね」
昼休みになるとオメガクラスの女子数人とみのりも学食に教師を見に行った。
「ただいま」
「おかえり、早かったね。ご飯は食べられたの?」
「ううん。混んでたからパン買って、その先生見てきた」
「そっか。早く食べちゃいな」
「うん」
みのりは弁当を食べる悠希の前でもそもそとパンを咀嚼した。ほかの女子生徒も学食では食べられなかったのか、何か買ってきたり、弁当箱を出して教室で食べ始めた。
パンと飲み物を急いでかきこむと
「格好良かったよ。アメリカ映画に出る俳優とか雑誌モデルみたいだった。暗めの金髪で蒼い眼だった」
「そう。見られて良かったね。先生は珍獣みたいに皆が見にきて気分を害されて無かった?」
「皆がチラチラみたり、学食の外からも見てるのには苦笑してる感じだった」
「そう。もうすぐ講義で来るし、ゆっくり食事してもらえるように静かにしておいてあげたいね」
「うん。ちょっと反省したよ」
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