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僕は、美術部に入っているわけではない。成績を落としたくないし、自分自身での創作が得意ではないから。でも時々美術室に出入りしてスケッチさせてもらったり、先生に話を聞かせてもらって、進路の参考にさせて頂いている。
その日は、先生に伺いたいことがあったので放課後美術室を訪れた。
「失礼します。先生はおいでですか?」
「今日はまだだよ。中で待つ?」
美術部長が一人キャンバスを出しながら答えた。部員数は少なく幽霊部員も多いが、この部長は高校生ながら展覧会に入賞しており、芸大へまっしぐらの人だ。
「すみません。お邪魔にならないように隅で待たせて頂きます」
しばらく静かな時間が流れた。
「怜君さ、君、本当は俺を目当てで来てるんだろ?しょっちゅうここに来て、良い匂いさせて。潤んだ目をして誘ってるの?」
「は?何をおっしゃっているのか分かりません。僕は美術が好きですし今日は先生にご相談があってきました。でも、もう失礼します」
怜が椅子から立って部屋を出ようとすると
バン!
壁に両腕をついて囲われた。大きなアルファの体に見下ろされ、恐怖心で動けなくなる。先輩が見たことのない暗い眼をしている。
「目が潤んでキラキラして、唇は艶々濡れて、キスして欲しいって思ってるの?発情期はまだ?俺のモノになりたいんだろ?」
「いや…やめてください」
先輩の指がネックガードに触れて外そうと動く。
ふるふると震える。大きな声を出さないと。逃げないと。でも怖くて涙が零れ落ち、前が見えにくくなってしまった。アルファの圧におされて息苦しさを感じ始めた。どうしよう。先生来て…。
「止めろ!」
「やめなさい」
ドアをバタンと開けて、そこに先生と優真が立っていた。優真から、空気が揺れるほどの強いフェロモンが放たれた。助かった。そう思うと怜は力が抜けて膝から崩れ落ちた。倒れる、と思った瞬間優真に抱き止められた。ああ。お陰で頭を打たないですんだなと思った時には意識を失っていた。
起きたらベッドに寝かされていた。見たことのない白だけの部屋。真っ白のシーツ、白い柵のベッドに天井。ベッド周りに白いカーテンが掛けられていた。一瞬あの世かと疑うが、左腕に刺さった点滴の管が現実だと告げてくれていた。
生きていると認識すると身体がとても熱い事に気がついた。頭がボーッとして、熱くて、吐く息も暑苦しい。熱がこもって渦巻いている。
何もしていないのに下半身が苦しい。起立して、放出を待つ分身。下着は前も後ろも濡れて冷たく気持ち悪い。無意識に下着を脱ぎ、起立を擦って出しても後ろが疼いて仕方ない。
「はあ、はあ、苦しい」
ああ、これが発情期なのか。放出して一時的に覚めた頭が認識した。しかし直ぐにまた熱に浮かされる。何度も出して汚れて、枕元を見たらティッシュペーパーやナースコールがあるのがわかった。
病院にいるんだよな。拭いて始末し、病衣のあわせを直して、掛け布団をしっかり掛けてからナースコールを押した。
看護師が来てくれ、鎮静や抑制の追加を点滴に入れた。しばらく眠ったり、熱を放ったり、水分や栄養を取り、身を清めてもらって、初めての発情期が終わった。
怜の頭の中には意識を失う直前の優真のフェロモンが、現れたり消えたりして、チカチカと点滅するようだった。
その日は、先生に伺いたいことがあったので放課後美術室を訪れた。
「失礼します。先生はおいでですか?」
「今日はまだだよ。中で待つ?」
美術部長が一人キャンバスを出しながら答えた。部員数は少なく幽霊部員も多いが、この部長は高校生ながら展覧会に入賞しており、芸大へまっしぐらの人だ。
「すみません。お邪魔にならないように隅で待たせて頂きます」
しばらく静かな時間が流れた。
「怜君さ、君、本当は俺を目当てで来てるんだろ?しょっちゅうここに来て、良い匂いさせて。潤んだ目をして誘ってるの?」
「は?何をおっしゃっているのか分かりません。僕は美術が好きですし今日は先生にご相談があってきました。でも、もう失礼します」
怜が椅子から立って部屋を出ようとすると
バン!
壁に両腕をついて囲われた。大きなアルファの体に見下ろされ、恐怖心で動けなくなる。先輩が見たことのない暗い眼をしている。
「目が潤んでキラキラして、唇は艶々濡れて、キスして欲しいって思ってるの?発情期はまだ?俺のモノになりたいんだろ?」
「いや…やめてください」
先輩の指がネックガードに触れて外そうと動く。
ふるふると震える。大きな声を出さないと。逃げないと。でも怖くて涙が零れ落ち、前が見えにくくなってしまった。アルファの圧におされて息苦しさを感じ始めた。どうしよう。先生来て…。
「止めろ!」
「やめなさい」
ドアをバタンと開けて、そこに先生と優真が立っていた。優真から、空気が揺れるほどの強いフェロモンが放たれた。助かった。そう思うと怜は力が抜けて膝から崩れ落ちた。倒れる、と思った瞬間優真に抱き止められた。ああ。お陰で頭を打たないですんだなと思った時には意識を失っていた。
起きたらベッドに寝かされていた。見たことのない白だけの部屋。真っ白のシーツ、白い柵のベッドに天井。ベッド周りに白いカーテンが掛けられていた。一瞬あの世かと疑うが、左腕に刺さった点滴の管が現実だと告げてくれていた。
生きていると認識すると身体がとても熱い事に気がついた。頭がボーッとして、熱くて、吐く息も暑苦しい。熱がこもって渦巻いている。
何もしていないのに下半身が苦しい。起立して、放出を待つ分身。下着は前も後ろも濡れて冷たく気持ち悪い。無意識に下着を脱ぎ、起立を擦って出しても後ろが疼いて仕方ない。
「はあ、はあ、苦しい」
ああ、これが発情期なのか。放出して一時的に覚めた頭が認識した。しかし直ぐにまた熱に浮かされる。何度も出して汚れて、枕元を見たらティッシュペーパーやナースコールがあるのがわかった。
病院にいるんだよな。拭いて始末し、病衣のあわせを直して、掛け布団をしっかり掛けてからナースコールを押した。
看護師が来てくれ、鎮静や抑制の追加を点滴に入れた。しばらく眠ったり、熱を放ったり、水分や栄養を取り、身を清めてもらって、初めての発情期が終わった。
怜の頭の中には意識を失う直前の優真のフェロモンが、現れたり消えたりして、チカチカと点滅するようだった。
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