大好きな婚約者を僕から自由にしてあげようと思った

こたま

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「智晴。大好き。もうすぐ誕生日だろう?ホテルのスイートルームで誕生日を祝って番になりたい」
「大輝。僕も番になりたい」
「そうしたら、初めての発情期が僕だけの物になって、今後も誰にも君の香りは知られないんだ。何て幸せなんだろう」
「嬉しい。僕も大輝を僕だけの物に出来る?」
「ああ。僕達は産まれた時から決められた相手なんだよ。他の人にひかれるなんてあり得ない。僕の人生には智晴だけだ」

 誕生日にこのホテルのスイートルームで、大好きなケーキで祝って貰って番契約をすると約束した。
 僕は、なんて幸せな二十歳を迎えられるのか。とても安心して自宅に送り届けられた。


「ねぇ、エマってヤツと取り巻き、調べて?今後俺達に関わらないようによろしく」
「承知しました」

 大輝は次男であったが優秀で大胆、冷淡な面も併せ持っていた。自身の部下や付属校からの友人達にはおそれられる部分もあった。
 智晴には、優しい大輝としか映らないようにしていたが。

 エマというオメガは、大学におそらく裏口を使った推薦で伴侶を求めに入学してきたようだ。
 幾人ものアルファにアプローチしたが、見た目が少し可愛いだけで性格が悪く頭脳、能力、家柄もないオメガを本気で相手にするアルファは居ない。

 都合良く遊ばれただけの女に大事な智晴を悲しませる事になった。彼女の父親は、偶然友人の家族が経営する会社に勤めているようだ。
 どこか遠くに赴任して貰って、彼女含めて今後近くに帰って来ないように。うちと智晴の実家の影響下なら何とでも出来る。

 智晴、心配ないよ。もうすぐ僕達の記念日だ。安心して番になろう。


「智晴、お誕生日は大輝くんと二人で過ごすのよね?」
「お母様。はい。その予定です」
「これは、私達から。早めのプレゼントよ?」
「ありがとう。なんでしょう?」
「開けてみて」

 母から渡されたのは、大輝とお揃いのブレスレットとケースに入った避妊薬だった。もう、番になるって宣言しているけど。公認でエッチするみたいで恥ずかしい。

「ブレスレットはね、名前とかメッセージを後からでも入れられるの。二人で相談したら良いわ。ネックガードが要らなくなるから、お義父様が念のため代わりにGPSを入れておきなさいって。ごめんなさいね」
「そっか。僕はわかったけど。大輝が着けるかどうかは本人に説明して決めて貰って良い?」
「もちろんよ。お義父様、大輝さんにはうちとあちらの架け橋になって経営に参画して欲しいみたい。大輝さんがあちらのお祖父様に似ていて、自分の孫みたいに思っているようなの」

 もしかしたら、お祖父様同士にはアルファ同士の友人を超えた恋に近い感情があったのかも知れない。僕達に自分達の会社の未来を託したい気持ちもあるのかも。

 でもそれとは関連なく僕は大輝と番になれることが嬉しい。ずっと好きだった人。もうすぐ大輝の唯一になれるんだ。


「智晴。金曜日の夜からホテルに一緒にチェックインしようね」
「うん。わかった。何が必要?」
「何も要らないよ。迎えに行く」
「ありがとう。わかった」

 抑制剤を止めて、誕生日に発情期が来るように調整した。簡単な着替えとブレスレット二つを入れて迎えを待つ。

「智晴、お待たせ。行こう?」
「大輝。ありがとう」
「おばさま、智晴をお預かりします」
「大輝くん、お願いね。二人の幸せを祈ってるわ」
「ありがとうございます」
「お母様、行ってきます。お祖父様とお父様とお兄様にも宜しく伝えてください。僕は喜んで出かけたって」
「ええ。智晴が幸せそうで嬉しいわ」

「おばさま、何かおっしゃっていた?」
「うん。お祖父様達は、お互い友人を超えた存在だったのかもねって。ブレスレットを僕達二人分頂いたんだけど、後で刻印できることと、多分うちだけではなく両家で追跡出来るGPSが仕込まれてる。僕達に何かあったときのためだと思う。着けるかどうか、いつ着けるかは大輝に任せる」
「そっか。それは、僕達が旅行とか行くときに着けよう。名前やメッセージの刻印は、良く考えてからね。お祖父様達は、小さな時からの親友だけどもしかしたらアルファ同士でなかったら愛し合う相手になり得たのかも知れないね。僕達に託す部分があるのかも」
「うん。両家の事業を共に発展させる未来を託されたね」

「その縁はありがたいけど、僕達は僕達なりに番として幸せになろう」
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