大好きな婚約者を僕から自由にしてあげようと思った

こたま

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「スイートルームは初めて」
「僕も滅多に入らない。ケーキを頼んだよ」

 スイートルームの大きなテーブルに、銀のケースがおいてあった。開けると小さなケーキが幾つも市松模様のように並んでいた。

「可愛い」
「大きなケーキではなく、いつも智晴が食べているケーキを中心にブロックみたいに集めてみたんだ」
「たくさん食べたいな」
「これから体力を消耗するんだから、食べられるだけ召し上がれ」
「っ、大輝。恥ずかしい」
「可愛いよ、僕の智晴」

 大輝がアールグレイティーを淹れてくれた。二人でケーキを食べて、二人でお風呂に入った。

「だんだん熱くなってきた」
「発情期だね。智晴。香りがする」
「うん。大輝からも良い香りがする」

「俺だけのものだ」

 広い浴槽で大輝に抱えられるように座る。乳白色のバラの香りの入浴剤に負けないほどの互いの芳香。

「あ、ん…」

 後ろから僕の前に回った大輝の指先が胸の粒を摘まむ。撫でたり、弾かれるとジンと快感が走る。触られていないピンクのシンボルが立ち上がってしまう。

「かわいい」

「大輝。大輝のもお尻に当たってる」

 手を後ろに持っていくと僕のとは比べられないくらいの重量感のある起立があった。

 後ろを向いて大輝の端正な顔を見たら、欲とお湯の暖かさに頬が赤くなっていた。僕もきっと赤い顔をしているだろう。

「キスして良い?」
「うん」

 眼を閉じて待つと柔らかな唇がふれ、啄む。舌が僕の口の中に入ってくると粘膜をなぶられてぶるっと震えるくらい気持ち良かった。

「ん…あ、」
「気持ち良いね」
「ん。好き…大輝」

 体を持ち上げられてざっとタオルでふかれた。抱っこのままベッドルームに運ばれ、そっと下ろされた。

「智晴。ネックガード取って?」
「うん」

 指を項に回した。ロックを回し指紋解錠も解いて、長く僕の首を彩っていた輪とサヨナラをした。

「それ、頂戴?」
「?、はい」

 ネックガードを大輝に渡す。大輝はそれにちゅっと口を着けてから、ベッドサイドのテーブルに置いた。

「これ、18から着けてるでしょう?」
「うん。お祖父様からのプレゼント」
「僕からのプレゼントでもあったんだ。裏に僕のイニシャルを入れて貰ってあった」
「そうなの?知らなかった」
「ふふふ。GPSも、うちの家からも検索可能だったんだよ」
「そうだったんだ…」

「さあ、もう熱いよね?僕も待てない。触るね」
「うん。大輝。たくさん愛して」

 軽いキスから、深い口づけ。からだの至るところを探られる。小さな胸の粒が立ち上がって主張すると大輝が唇に含んでなめたり、摘まんだりする。

「あっ」
「胸が良いんだね。智晴は敏感でかわいいよ」
「気持ちいい」
「前も後ろも触るね」

 撫でながら指を入れられる。はしたなく滴が垂れ、ぬかるんで大輝を求めていた。大好きな幼なじみ、婚約者。僕達はひとつになれるんだ。

「行くよ」
「うん」

 顔を見ながら、キスをしながら大輝が僕に入ってきた。圧迫感のあとは気持ち良さが勝る。

「あ、あっ。もっと」

 動かしながら、大輝が僕をうつ伏せた。項を触り、舐めて、軽く歯を当てて、

「噛むよ」
「ん、来て」

「あ!」

 一瞬の痛みのあとで恍惚感が目の前を真っ白に染めた。光の中に入ったように暖かく、清らかな幸福に包まれた。

 ノットが填まる長い放出の間、大輝が僕を抱きしめ

「愛してる」

 耳元で囁き、牙を立てた項を舐めて傷を癒そうとする。

「僕もだよ。大輝、好き」

 初めての発情期は翻弄されたまま、知らぬ間に傷も消毒されてピルも水分や栄養も取って終わっていた。

「どうだった?」
「疲れたけど幸せ」
「良かった。これ、貰って?」
「え?」

 気づけば左手の薬指に大輝とお揃いの指輪がはまっていた。

「婚約指輪?」
「そうだね。結婚指輪はまた別にね。もっと早く婚約指輪を互いに着けて置けばよかったね。余計なアプローチを避けられたよ。ごめんな」
「ううん。学生で指輪もちょっとね」
「いや、指輪を着けると我慢出来なくなりそうだった。智晴が僕だけと決心してから贈りたい気持ちもあったんだ」
「そっか。嬉しい。ありがとう」
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