ロボット製作するよ

高橋

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浜松勝

9話 新しいコンテスト??

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伝えられた内容はこうだった・・・・・
「次のロボットコンテストの発表は来週行う。それまで授業に専念するように。開催日のみは教えられる。7月23日、夏休み前日だ。それと、これからコンテストまで各担任は生徒に接触できない。それほど意味のある大会だということだ」
皆からは驚きの声が漏れている。だが、やるしかないのだろう。そこからの授業は皆いつも以上に真剣に受けている気がしてならなかった。

そして一週間後
コンテストの内容が書かれた書類が配布された。
[第一学期末ロボットコンテスト実施要項
開催日  7月23日
実施場所 第一実験場
ルール 様々な競技を行う。詳細は不公表。
    機体の制限は100cm×100cm×200cmの箱に入る大きさのもの。
    機体は幾つでも可・コントローラーは含まない。
    機体の重量は問わない。
    電源は無制限、ただし、競技中の補給はできない。
予算  明日までに全クラスに¥50,000,000.が振り込まれるそれを元手にロボットを作ること。
賞金  各クラスのポイントごとに授与]
五千万もの大金が支給されるとは驚きだ。それ以上に競技内容は不公表に目が行った。つまり、多角的に対処できるロボットを作らなければならないのだ。
「皆、聞いてくれ。この前のこのクラスの秘密兵器。爆竹砲は一応積むが主力装備にはしない。分かっている通り、対策をしてくる可能性が高いからだ。これから
1ヶ月間、時間無制限で作れるんだ、頑張ろう」
俺はそこで手を上げ、発言の機会を得た。
「今回、5千万が支給されたが、これは半分残したほうがいいと思う。次のコンテストで支給されるかが分からないから。あと、ロボットに人型のアームをつけたほうがいいと思う」
「なんでー」「作るの大変じゃん」
「どんな競技になるのか分からない。つまり、細かな手の動きが必要かもしれないから」 
だが、人型のアームを作るのは容易ではない。その日に、人型両腕製作班が結成された。予算は250万円が支給された。メンバーは、俺・朱里・引佐(機械)・丸山(化学)・佐久間(電気)など、技術のあるメンバーが集まった。早速、話し合いを始めた。
「まず大きさについてだが、平均的な人の大きさがいいだろう」
「それには賛成だ。だが、稼動部はどうする?」
「それは、通常の人の関節に加え、手首の回転や、関節の稼動域を広げたりはしたい」
「あのさ、操作方法はどうするんだ?」
引佐の言った一言で、皆黙り込んでしまった。
「普通のコントローラーでは難しいだろうしな・・・」
「どうするか」
突然、俺の頭に考えが浮かんだ。
「そうだ、直接手の動きを伝えられるようにしよう。グローブのようなものにセンサーを取り付けてそれをコントローラーにするんだよ」
「それはいいわね」「それだとさらに細かい操作ができる」
「じゃあそれで決まりで」
「じゃあ化学班は材質を探してきますね」
「じゃあ俺は部品を考えてみる」
「電気班総出で回路を作るよ」
「じゃあ情報班はプログラムの雛形を作っておく」
そういって俺と朱里は、パソコンと向き合った。今はセンサーなどが決まっていないので、先に動くモーターの制御から始めた。動きとしては、人の動きのほかに、手首の360°回転・指の関節の拡大などだ。作業開始から3時間、一通り終わった所に丸山がやってきた。手には柔らかそうな素材を持っている。
「化学班の人が開発していた素材なんだけど、表面にセンサーがあって触覚なんかが作れるらしいんだけど」
「これはいい、ありがとう。触った感覚が分かれば細かい作業が可能だ」
そうか、触覚を忘れていた。俺と朱里はセンサーからの情報を指先へと伝えるプログラムを製作する。
「さっきまで電気班で作っていた回路図、もってきたよ」
電気班から回路図が持ってこられた。やけに仕事が速いのは、班員の3分の1をこっちに回してもらっているからだそうだ。ありがたい。作業としては切りのいいところなので、もう帰ろうと思う。コンテスト期間中は8:00から16:00まで学校にいれば大丈夫という事になっている。今は4時半過ぎなので、朱里に声をかける。
「なあ、俺はそろそろ帰るけど朱里も帰るか」
「うーーん。私も切りがいいからそろそろ帰ることにするわ」
そういって、パソコンの電源を落とすと、ドアに手をかけ、開ける。開いたドアを俺は閉め、昇降口を通って寮へと帰ることにした。寮に帰った俺は、学校のモデリングを完成させ、眠りについた。
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