アモスの魔法学校

高橋

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第四話

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アモスがあたりを見渡すと、そこはどこかの洞窟だった。しかし普通の洞窟ではない。辺り一面白い宝石に覆われている。そして、正面には大きな祭壇がある。アモスは辺りを散策し始め、宝石を削り取るとかばんの中に入れ始めた。そのようなことをすること数分、大きな足音が聞こえた。と思った瞬間、大音量で咆哮が洞窟内に響き渡る。後ろを振り返ると、祭壇上に真っ白な巨大生物が佇んでいた。アモスはかばんから図鑑を取り出すと、その生物を調べ始める。その生物とは、【古神竜・クリスタルドラゴン】であった。アモスは一歩後退するが、クリスタルドラゴンは翼を広げ、息を吐いた。するとその息が、鋭い水晶となりアモスへと向かってくる。ギリギリでよけたアモスは、魔法陣を展開した。まず、古代魔法・封印、そして召喚魔法・鎮静、さらに防御魔法・結界。これでクリスタルドラゴンは眠るはずだった。しかし、空中で魔法陣は奇妙な動きを見せる。3つの魔法陣が互いに干渉しあい、大きな魔法陣へと変わっていく。出来上がった魔法陣は古代魔法・魔球封印であった。この魔法は、対象を魔球へと封印してしまう。クリスタルドラゴンは魔球へと封印され、後には白い小さな魔球だけが残った。アモスは魔球を手に取ると、大事にしまいこむ。そして、学校へと帰って行った。学校へ帰るといくつかの生徒は既に製作を始めていた。アモスは、洞窟から採取してきた水晶と魔球で杖を作ろうとしている。魔法陣をいくつも展開し、あっという間に杖が完成する。その杖をルミスに見せようとした瞬間、ルミスが口を開く。
「今日の授業はここまで。その武器は寮に持ち帰ってもいいから」
A組の生徒たちは次々と寮へと戻る。アモスは部活動見学へと行こうとしていたが、まだ少し時間がある。寮へと帰り、クリスタルロッドを握ると、魔球にひびが入ってしまった。アモスは修復魔法をかけようとした。しかし、中から何かが飛び出してきた。でてきたのは、角と尻尾をもつ美少女だった。アモスの前に現れた美少女は、銀髪で、肌が白く胸は大きく、露出自体が多い。だが、下品さはない不思議な少女であった。アモスは話しかける。
「き、き、君は?」
「えっ私。クリスタルドラゴンの人型、というかこれが本来の姿だけど・・・」
クリスタルドラゴンはもともと人であった。それが魔法であの姿へと進化したという事らしい。アモスは始め困惑していたが、次第に状況を受け入れ始める。
「よろしくね、スタル」
アモスが新しい名前を付けて話しかけると、クリスタルドラゴンは顔を赤らめ顔を伏せた。
「そ、そのスタルというのは??」
「クリスタルドラゴンじゃそっけないかなぁって思って」
「うん。それがいい」
こうして、アモスと同じ部屋で寝ることになったのだ・・・古神竜と。

アモスが朝起きると、左腕に程よい柔らかいものに包まれている感覚を感じていた。そして、スタルがアモスの左腕を胸で挟み込んでいることに気づいた。そしてスタルは目覚める。
「あれ、なんで私こんなこと……。ごめんなさい」
アモスに対してスタルは涙を浮かべながら謝ってる。しかし、アモスはむしろ気持ちいいと思っていたため、なんと返事をすればいいか戸惑っていた。そして、アモスがスタルに話しかける。
「なあスタル。今日学校へ一緒に来てくれないか?」
「わたし、討伐されない?」
「大丈夫だ、しっかり説明する」
その一言で、スタルは安心したようで、一緒にザライル校長の部屋を訪ねることになった。
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