音喜多勇吾の異世界転生

高橋

文字の大きさ
上 下
8 / 17
序章 ヴォリダラン

初めての登院

しおりを挟む
魔法学院ヴォリダラン分校へ学生として初めて登院したのだが、その反響はおおきかった。まあ俺ではなくシェルパの美貌への反響なのだが。ヴォリダラン分校は、学科ごとに棟が分かれている。
上級魔法科が入っている’本棟’
その正面には主に実践でつかう「校庭」
その正面には正門と付属施設
本棟の右袖には技術科が入る「右棟」
本棟の左袖には近接科が入る「左棟」
その周りを取り囲むように「普通魔法棟」や「事務棟」・「部室棟」・「寮館」などが立ち並ぶ。また、それぞれを繋ぐ「連絡通路」も配置されている。
そして、東西南北4方向に「東塔」「西塔」「南塔」「北塔」が見張り台として建っている。
このように、非常に充実した校舎なのだが、特に俺が居る本棟はすごい。12階建てで5本の尖塔。内部の様子は、ヴェルサイユ宮殿のような豪華さで、教室も絨毯が敷かれ、猫足家具が並ぶ。さらに、精霊学部Aクラスは、11階の校庭側正面に位置し、バルコニーまである。このような素晴らしい環境で学べるわけだが、精霊学部Aクラスの人数は少ない。5人しかいないのだ。精霊学部全体の人数は40名ほどいる。だが、その中でも強力な人材は少ないということだ。
本棟の12階には「分院長室」「格幹部室」「幹部会議室」などが設置されている。
授業が始まったが、とても難しかったが、問題は無い。テストは筆記ではなく実践だからだ。
つまり、この世界では知識ではなく、実力があるものが勝つ。
さて、授業が終わり、イルシス・ケイ(獣使い部Bクラス所属 筋骨隆々の男)に呼び出されていたので、部室棟へ向かった。
呼び出された部屋は「ヴォリダラン使役部」扉を開けると、副部長以下10名ほどが集まっていた。
副部長イルシス・ケイが口を開く
「想像は容易にできると思うが、次の使役選手権に出てほしい。頼む」
誰から聞いたのかは知らないが、シェルパによると使役部内では現在部長がいない。
別の副部長ナイロス・ネロとイルシス・ケイによる部長の座の取り合いが起きているらしい。そこで、イルシス・ケイは、部長になるべく俺を誘ってきたのか。
直感で分かった。これは断ったほうがいい。あとあと面倒になる。
「ちょっとそれは無理だ。すまない」
「こちらこそ無理をいって申し訳なかった」
意外といい人なのか。断って正解だった。いい人と対立する人は昔から悪だと相場は決まっている。
きっとイルシス・ケイがもともとの部長候補だったのだろう。
部長になったら協力しようと思った。
寮に帰った俺は、シェルパと話していた。
「なあなあ、シェルパ。なぜあんな事知ってるんだ?」
「今日の朝に一緒に話そうと誘われて、あの話を教えてくれた人がいます」
「今日は無事だったから良かったけど、次からは知らない人とは話さないようにしてね」
「すみませんでした。もうしません」
うなだれているシェルパも可愛いが少し罪悪感が生まれた。
「もう大丈夫だから」
「じゃあ。一緒に寝たい。抱っこして寝させて」
そのまま俺は、シェルパを抱き枕代わりにしてみたが、とても良いにおいがして、やみつきになりそうだ。眠りそうになった矢先、電話のベルが鳴り響いた。
「もしもし、音喜多勇吾です。どちら様でしょうか?」
「ヴォリダランギルドマスターのアルバードだが、至急、ギルドに来てほしい」
「あっ。分かりました。すぐに向かいます」
ギルドと学院は近いところに建てられているので、すぐに向かうことができる。だが、嫌な予感しかしない。なぜなら、まず時間。現在の時刻23:13分。この深夜に電話がかかってくるということは、まず良いことではない。そして、ギルドからの連絡は文書での伝達が多い。つまり、緊急事態ということだ。
文句をいっても仕方がないので、シェルパから手を離し、ギルドに向かうことにした。ギルド内には、すでに冒険者や学生が集まっている。俺たちは、ギルドに併設されている「ヴォリダラン総合戦術局」へと案内された。その一室、「大会議室」で、会議は行われるそうだ。内部の構造は、暗くてはっきりとは分からないが、30m×70mほどの広い空間で、天井は3階建て分ほどある。ドーナツ型のテーブルが同心円状にいくつも並び、前方と後方には大きなスクリーンある。また、前方にはお偉いさんが座ると思われる席が5席ほど用意されていた。収容人数は250名だそうだ。
俺が席に座ってから15分ほどで、会議が始まった。前に出てる5人の役職を見てるみると、向かって左から「ギルドマスター」「魔法学院分校長」「ヴォリダラン駐屯基地長」「戦術参謀長」「町長」となっている。ここまでの規模の会議、議題は何なのか。
しおりを挟む

処理中です...