シャルロット姫の食卓外交〜おかん姫と騎士息子の詰め所ごはん

ムギ・オブ・アレキサンドリア

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東大陸へーー幻狼エステル誕生。シャルロット、オオカミの精霊のママになる

エステルと星宿の絶品ラーメン

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 国境近くで待機していたクライシア大国の騎士達はユーシンがフクシアと共に連れてきたフォリア夫妻を保護した。

「大丈夫っすか?」

 初老の夫婦を倒木の上に座らせ、労りの言葉を掛けたユーシン。
 2人は明帝国でなんとかギョウホウ皇子や宮殿の人間に取り入って使用人として働いて命拾いしていたそうだ。
 外出などの行動は制限されていたが衣食住は最低限レベルのものを用意され、体には傷1つない。

「助けてくれてありがとう、ユーシン」

「……ごめんね、俺のせいで2人を危険な目に遭わせてしまって……」

 自分なんかを養子に引き取ったせいで2人は明帝国に狙われてしまった。
 ユーシンは遣る瀬無い思いでいっぱいだった。
 そんな彼を夫妻は優しい笑顔で抱きしめた。

「ユーシン、何言ってるの!血なんか繋がってなくてもあなたは私たちの大切な息子よ。そんなことは気にしなくていいのよ」

「そうだぞ、必ずユーシンが助けに来てくれるって信じていたぞ」

 温かい言葉にユーシンの目に涙がにじむ。
 義父のジェニーはユーシンに四つ折りにされた肖像画を手渡した。
 紙はすっかり古びて黄ばんでおり、全体的にシワが寄って角は擦れている。
 そこには若い男女と、女の腕にはお包みの中でスヤスヤと眠る赤ん坊。家族を描いた肖像画だった。
 なんとなく紙を裏返すと綺麗な文字で【太阳】と記されてあった。

「タイヤンって読むそうだ。ユーシンの産みの親が名付けたお前の本当の名前だ。お前の父親は明帝国の皇帝の弟だった、もうだいぶ前に死んでしまったがーーお前の父親を知る人物と宮殿で接触することができた、それはその人から預かったのだ」

 夫妻は危険な状況にいながらも、手探りでユーシンの出自を調べていた。

「ーーいや、俺はユーシンだよ。貴方達が名付けてくれたユーシンって言う名だ」

 ユーシンは笑った。
 そして肖像画を丁寧に四つ折りにした。

「ユーシンで、タイヤンだ」

 そして前世では『陽太』だった。
 どの名前の自分にも嘘はない、全部自分なんだ。

 *

「ーーエステル!?」

 グレイの背中に乗って山に駆け付けたシャルロットとグレース皇子は、死屍累々、大きく陥没した地面、木々はなぎ倒され、草が燃えて燻り煙が立ち込めているーー爆撃が起きたばかりの悲惨な光景に驚愕した。
 ジョンシアの腕の中でエステルは気を失っていた。

「シャルロット!……グレース!」

 クロウは2人に気付き、慌てて駆け寄る。
 シャルロットはクロウの頭をポンポンと撫でた、でも目線はエステルから離せない。

「ねえ、エステルはどうしちゃったの?……」

「大丈夫だよ、疲れて眠ってるだけだから」

 クロウは順を追って、事の顛末をゆっくりと説明した。

 シャルロットはジョンシアの前に立つと、深々と頭を下げた。

「ジーハオ皇子、エステルを助けていただいてありがとうございます!」

「いや……俺もごめん。俺の兄がお前に酷い真似をしたようだな」

 遅れてやってきたクライシア大国の騎士たちや明帝国の皇帝付きの兵士らがギョウホウ皇子や負傷した兵士を黙々と連行している。

 取り押さえられたギョウホウ皇子は茫然自失で、兵士からの呼び掛けにも応えない。
 目は虚で背中に大きな火傷を負い、耳からは爆音により血を流していた。
 ふらふらと、兵士に支えられながら歩いている。

 それをジョンシアは辛そうな顔で見ていた。
 だが、自分をなだめるように深い息を吐いた。

「ま……ママ?」

 ジョンシアの腕の中で、エステルは目を覚ました。
 シャルロットの顔を見るなり嬉しそうに飛びついた。

 シャルロットも笑ってエステルを抱き締める。

「エステル、大きくなったわね!良い子にしてた?」

「うん!ジョンシアとね、イノシシいっぱい捕まえたんだよ」

「そうなの。すごいわね」

 グレース皇子もエステルを抱っこして額にキスをした。

「無事でよかった、エステル」

「ふふふ」

 嬉しそうなエステルを見て、グレース皇子も微笑んだ。

「……」

 グレース皇子の表情は曇る、それを見てシャルロットは首を横に傾げた。
 グレース皇子はジョンシアの前に立つと、エステルを彼に預けた。
 エステルは不思議そうにグレース皇子とジョンシアの顔をキョロキョロ見回す。

「ジーハオ皇子ーーエステルをよろしく頼む」

「ああ」

「絶対にエステルを傷付けないと約束してくれ」

「分かってる」

 ジョンシアとグレース皇子は強い眼差しで見つめ合い、握手を交わした。

 シャルロットはようやく察した。
 ジョンシアと契約したエステルは今後はクライシア大国を離れて、明帝国で彼と共に過ごす事になる。

「エステル、俺はこの国の王になるぞ」

 突然 真剣な顔をして、ジョンシアはエステルの黄金の瞳を見つめた。

「ジョンシア……?」

「今まで心に迷いがあってなかなか踏み出せずにいたがーーようやく決心がついた!お前が共に居てくれるなら心強い。この国を立て直すために、お前の力を俺に貸してくれーー」

 ジョンシアは笑顔を向けた。
 エステルは尻尾を振って彼に飛び付いた。

「ーーうんっ!」

 自警団のみんなも歓声を上げていた。

 この日、明帝国に新たな幻狼が迎えられた。
 噂はその日のうちにたちまち国全土に広がり国民達は大いに喜んだ。

 現在の皇帝の退位が決定し、ジーハオ第2皇子への譲位が決定したのは明後日の正午過ぎだったーー。
 同時に、ギョウホウ第1皇子の廃太子と流刑が決定した。
 当初ギョウホウ皇子には斬首刑が言い渡され公開処刑されることが決まっていたが、ジーハオ皇子が控訴し最終的には流刑となったようだ。
 この国では前例のないことばかりで、宮殿は大騒ぎであった。

 あれから、シャルロットとグレース皇子達は明帝国の賓客用の宮殿に泊まっていた。
 連日太陽がまだ昇っている内から宴会が開かれ、連日VIP待遇でもてなされていた。
 獣化を解いた大瑠璃姫も一緒だ。

 小麦粉を全身に被った金色の子狼が宮殿の大理石の廊下をひょこひょこと走り回っている。

「エステル!走っちゃダメよ、それに廊下が汚れてるわ!」

 シャルロットの怒鳴り声が響く。
 ママに怒られてエステルはしゅんっと尻尾を下げた。

「あのね~ジョンシアとラーミェン作ってたの、それでね、ママ達を呼んで来いって」

「ラーミェン?」

 なんだろう?シャルロットは目を点にした。

 皇子宮の広い中庭には自警団のメンバーが集まっており、焚き火の上に直に置かれた巨大な鍋の前にジョンシアとユーシンとユハが額に汗をにじませながら立っていた。
 何かをグツグツと煮込んでいる。
 クライシア大国の騎士達も集合していた。

「シャルルさん!グレース皇子!こっちっす」

 ユーシンが手を振っている。

「何を作ってるんだ?」

 不思議そうに鍋を見つめるグレース皇子。
 向こうでは自警団の若者が熱湯に丸めた生麺を次々に投入して茹でていた。

「ラーミェンだよ。ジョンシアたちが麺を手打ちしてくれてー、スープは俺っち特製☆旨辛コッテリ豚骨ラーメン♪」

「トンコツラーメン?素敵だわ」

 ラーメンが大好きだったシャルロットは舞い上がって喜んだ。
 手打ち麺にピリ辛な自家製トンコツスープのシンプルな素ラーメンだったが、ほっぺたが落ちそうなほど美味しかった。

 麺もコシがあって喉越しが良い太麺。
 スープはコッテリだけど後味は柑橘類の香りがアクセントになっていて爽やかで、唐辛子の辛さが暑さに負けいた食欲を呼び起こさせる。

  
「美味しいですわね」

 大瑠璃姫も満足そうだ。
 シャルロットと2人で肩を並べて縁側でラーメンをすすっていると、一羽のフクロウが飛んで来た。

「瑠璃!」

「あ!鳳太子!」

 獣化した鳳太子だった。
 彼はすとんっと大瑠璃姫の隣に着地する。

「鳳さま……!」

「大丈夫だったかい?瑠璃、怪我はないかい?」

「大丈夫ですわ、鳳さま。心配をおかけして申し訳ございません」

 大瑠璃姫はウルウルと涙目になり、感情が高まり過ぎたのか無意識に獣化してしまった。
 青い小鳥は大きなフクロウの身体に擦り寄り、すすり泣いている。

「鳳太子も良かったらラーメンを食べますか?」

「らーめん?……蕎麦か?」

 落ち着いて獣化を解いた2人は隣り合って座った。

「どうぞ」

「ああ、ジーハオ皇子。お久しぶりでございます。挨拶が遅れて申し訳ございません」

「今更 堅苦しい挨拶は要らんぞ、鳳」

「ふふ、わかりました」

 この2人は昔から親交があったようだ。


「グレイ、一緒に食べようぜ」

 向こうの木陰に座っていたグレイに一杯のラーメンを持ったフクシアが駆け寄り、有無も聞かずに隣に座って絡んでいた。
 それを邪険にしているグレイ。

 中庭の池の前ではアーサーが自警団の若者と楽しそうに酒を飲んでいた。
 イルカルは左王の隣で静かにラーメンを食べている。

「やっぱりみんなで食べると美味しいわね」

 シャルロットは賑やかな中庭を見渡し笑顔になった。
 縁側に座るシャルロットの足元にエステルがやってくる。

「ママ、ラーミェン 美味しい?」

「うん、すごく美味しいわ!エステル、ありがとう」

 ーー大瑠璃姫やシャルロット達を迎えにやって来た鳳太子が今明帝国に到着したということは、もうそろそろ ここを発たないといけないっていうことだ。
 シャルロットは切なげな目で、はしゃいでいるエステルの後ろ姿を見つめた。

 *

 東大陸はお風呂の文化がある。
 明帝国の宮殿の中にはなんと天然の露天風呂が付いていた。
 今夜は月や星がとても綺麗で、良い眺めだ。

「ひ、姫、本当に一緒に湯浴みをするのか?」

 グレース皇子は戸惑っていた。
 クライシア大国には湯浴みはあっても身を清める行為であって、楽しむ文化は根付いていない。
 貴族達は嗜みとして温泉街に行くこともあるようだが、グレース皇子には縁遠かった。

「ここまで来てまだ躊躇しているんですか?男女の混浴くらい普通だとジーハオ皇子や鳳太子も言ってたじゃない。それに私達は婚約者です、普通ですわ。ほら早く入りましょう?」

 シャルロットは服を脱いで布を身体に巻いた。
 グレース皇子もぎこちなく服を脱いで身体に布を纏った。

 クロウとエステルは幻狼姿ではしゃぎながら温泉に飛び込んだ。

「走っちゃダメよ」

 シャルロットは窘めた。

『最後に家族で一緒に温泉に入りたい』と提案したのはシャルロットだった。
 エステルとお別れをする前に思い出作りがしたかった。

 明帝国の宮殿に露天風呂があると聞いて、ここがぴったりだと思い立ったのだ。

 エステルはお湯にプカプカ浮かんだり、犬掻きしていた。
 グレース皇子はそれを眺める。

「エステル、元気そうだな」

「そうね、契約してくれる人が見つかってよかったわ。これで安心ね」

「楽しいねえ、エステル」

 クロウはエステルに声をかけた。
 エステルは大きく頷く。

「うん!」

 *

 翌日の早朝、宮殿前には沢山の馬車が停まっていた。
 紅国へ発つ馬車だ。
 ここから紅国へは約1日半かかるだろう。

 エステルを抱えたジョンシアが城門前で見送ってくれた。

「それじゃあ、元気でね。エステル。クライシア大国へ帰ったら、お手紙を書くわ」

 シャルロットは精一杯笑ってエステルの頭を撫でた。

「ママ……」

 エステルの黄金の瞳からポロリと涙が落ちた。
 釣られて泣きそうになるのをシャルロットは堪えたーー。

 目頭が熱くなるのを感じながら笑顔を作った。
 グレース皇子やクロウ、騎士のアーサーやユーシンも各々エステルと別れの言葉を交わす。

 エステルはまだ魂の成長が安定していない。
 今はジョンシアの側を離れられないのだーー。

「ジーハオ皇子、これから色々と大変でしょうが、頑張ってください」

「ああ。ここが落ち着いたら、今度 エステルを連れてクライシア大国に顔を出そう」

「俺っちの食堂にも食べに来てよん」

 ユハは明るく笑い、ジョンシアの肩を叩いた。
 それからしばらくして護衛騎士キャロルが馬車へ乗るようにシャルロットを促す。

「頑張ってね、エステル」

 シャルロットはエステルの額にキスをすると、すぐに背を向けた。
 エステルはジョンシアの腕の中で離れていくシャルロットの背中を見つめていた。

「マーーーー……」

 遠くなる背中に向かって呼びかけて、すぐにハッとしてエステルは黙り込んだ。

「大丈夫だ、またすぐ会える」

 ジョンシアの優しい声。

「ジョンシア……」

 馬車の中に入ると、シャルロットは大泣いていた。
 向かいに座っていたグレース皇子は困ったように笑い、シャルロットの隣に移動する。
 そしてハンカチを手渡すと、そっと震えている肩を抱いた。

「姫が泣くなんて珍しいな」

「ごめんなさい……」

「いや、泣いて良いぞ。しばらくは馬車も止まらないし、俺しか見てない」

 馬車の窓の外を見ると、ジョンシアとエステルの姿が点になっていた。
 シャルロットはグレース皇子の胸を借りて、静かに泣いていた。
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