シャルロット姫の食卓外交〜おかん姫と騎士息子の詰め所ごはん

ムギ・オブ・アレキサンドリア

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シャルロットと精霊博士のサンクスギビング・ターキーデー

ロレンス学園へ

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D番街のカラフルな色をした時計塔の前には金髪に金色の瞳をした美しい青年がポツンと立っていた。
シャルロット達の姿を見るなりパァーッと明るく笑って大きく手を振った。

「ママ~!」

シャルロットが産んだ幻狼の子ーーエステルだ。

東大陸にある明帝国の皇帝ジョンシアと契約し、ずっとあちらの国に住んでいる。
数年の間に魔力もだいぶ増えて成長していた。
現在では転移魔法も容易いものだ。オオカミ姿もクロウやグレイ達のように大人に成長し、人型になると見た目年齢はシャルロットよりも上に、20代前半くらいの成人男性。
ママと呼ばれるには違和感はあるが、シャルロットは嬉しそうに笑顔で彼に抱き着いた。

「エステルっ、見ない間にまた大きくなったわね」

身長はもう頭一つ分くらいシャルロットの背を超してる。
こんなに大きな子供がいるのは変な感覚だ。

「ママも元気そう!えへへ~、あ、これはジョンシアからママにプレゼント~餅茶だよ。どうぞ~!」

「ありがとう!うれしいわ!明帝国のお茶ってとっても美味しいのよね~」

餅茶ーープーアル茶は西大陸ではあまり手に入らないお茶だ。
円盤型に固められた茶葉を崩して飲むもので、健康にも良い。クセがあるから、茶葉は少なめ、水出しにして飲むと飲みやすいと教えてくれた。


「あ、その子っグレイの子供?はじめまして~!」

今日は一緒に着いてきた幻狼たちは皆、学生祭を回るために人の姿に化けている。
グレイは2歳児くらいの幼児姿に変化したスノウを抱っこしている。

神秘的な白髪に黄金の瞳、真っ赤なプニプニほっぺの可愛い男の子。

「スノウって言うの。まだ生まれたばかりなのよ」

「へえ~、じゃあ僕がお兄ちゃんだ!!わぁ~い」

「ふふ、スノウ、私の息子のエステルよ」

「エステル兄ちゃん?」

スノウはポツリと呟いた。

「グレイ~僕が抱っこしてもいい?」

「ああ」

グレイはエステルに我が子を託した。
エステルは小さなスノウを抱えてギュッと抱きしめ、優しく笑うと頬擦りした。

*

大学都市にはいくつかアカデミーが存在する。
グレース皇子が通うアカデミーは国が運営する名門校で高級住宅街のA番街にある。
B番街にあるのが魔人が通う全寮制の魔法学校でユハやジョンシアが通っていたアカデミーだ。

C番街には庶民が通う一般的な私立の学院が4つ、D番街はダウンタウンにあるロレンス学園。
ここは少し特殊な教育機関で、劇団員など役者を目指す人や音楽や絵などの分野を磨きたい人、それから料理人になるための専門的な知識が学べる学科がある。
能力とやる気があれば庶民でも金持ちでも差別なく受け入れ、夢を追いかけて入学してくる若者が多い。

エスター国は国を挙げて優秀な人材の育成に取り組んでいる。
シャルロット達が住んでいる西大陸では生まれつきの身分で人生は変わるが、こちらでは誰にでも平等にチャンスがあり実力至上主義というお国柄、富裕層の殆どは成金だろう。

「スイーツアートコンテスト?」

今日、シャルロットがこのロレンス学園の学生祭にやってきたお目当てはこれだ。
ロレンス学園の菓子職人育成コースの生徒達がケーキを作り展示するイベントだった。

それもただのケーキじゃなく、美術品、芸術品のように美と造形にこだわったケーキのビジュアルを審査するものだ。

大人気のイベントで、外部からもこれを目当てにやってくる客がいるそうだ。

「そう。ユハに教えてもらったのよ。販売用のケーキも売ってるんですって」

「ケーキ♪わぁい~」

フクシアとエステルはニコニコご機嫌そうだ。

「シャルロット…メロンはある?」

グレイはぽつりとローテンションな様子でシャルロットに尋ねた。

「どうかしら。シーズンオフだからないんじゃないかしら」

精霊達は本当に甘いものが好きみたい。

(本当はグレース様も誘おうと思ったけれど……)

シャルロットは怒っていたことを思い出して首をブルブルと横に振った。

「いいわ…、今日はケーキをやけ食いしましょう」

「わーい、やけ食い♪やけ食い♪」

一行は学園へ向かって歩き出した。
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