シャルロット姫の食卓外交〜おかん姫と騎士息子の詰め所ごはん

ムギ・オブ・アレキサンドリア

文字の大きさ
185 / 262
新婚旅行はミレンハン国へ!猫になったシャルロットとポチたま大論争勃発!?

バテスト産院の視察(後編)

しおりを挟む
産院の中はとても清潔感があって、整然としていた。

「ナージャ王妃、シャルロット妃殿下、ようこそ」

客間に入ると、長身で中性的な雰囲気の女性が椅子から立ち上がり会釈した。
艶やかな暗色の髪に東洋人風の顔付きの中年女性は、この産院の院長でエリナと名乗った。
東の国からミレンハン国へ数十年前に移住し、ナージャ王妃とは年も近いので懇意にしているそうだ。

かつては看護婦として働いていた経験があるようだ。
その経験を活かし、この産院で働いている。彼女がこの国にやってきてから出生率、出産後の母子の生存率は大幅にアップし、病気などによる死亡者も減少している。

他国からこの産院に子を産みに来る貴族や王族もいるそうだ。

「シャルロット姫、この院長先生は僕の母親です」

グリムはにっこり笑うと院長エリナの横に立った。

「まあ、そうだったの…言われてみれば…どことなくにてるわね

シャルロットは驚愕した。

人の良さそうな顔のエリナはシャルロットを見てニコリと笑った。

「こちらが今後産院の入院食として試作中のメニューです。感想をいただけると幸いでございますわ」

「わあ…」

蒸した野菜とチキンのサラダ、暖かいミルクリゾット、ノヂシャのサラダ、お魚や根菜が入ったスープ、ハーブティー。
全体的に薄味で、脂も控えめなメニューだった。

「うん、ヘルシーだし食べ応えもあって美味しいですわ」

「シャルロットさんが教えてくれたダイエットメニューもね、すごく人気があるのよ。お豆腐を作る専門の料理人も雇ったわよ」

「気に入ってもらえてよかったわ。ナージャ王妃、あれからずっと体型を維持されていらっしゃって素晴らしいです」

王妃様は楽しそうに笑っている。

「ナージャ王妃はいつもシャルロットさんの料理のお話をするのよ」

エリナ院長もにこやかに笑う。

「あ、そうだ。ダイエットメニューで作っていたケーキやお菓子のレシピも教えるわ。砂糖やバターやクリームを控えて、3食では補えない栄養をプラスするの。それに妊娠中や母乳与えてる時って甘いもの控えていたから、やたらとお腹が空いちゃうし、食事制限ってすごく地獄だったのよね……」

シャルロットは前世での子育ての経験を反芻しながら提案した。

「いいアイディアだわ、それでは……」

終始和やかな雰囲気で試食会は終わった。
その後ガラス張りの保育室を見学した。

「可愛い赤ちゃんたちですね」

ユーシンやキャロル、騎士達もガラスの向こうの無菌室でスヤスヤ眠っている産まれたての赤ん坊を優しい目で見つめていた。

「私もナージャ王妃のように、いっぱい子供が欲しいわ」

「ふふん、じゃあ私から結婚祝いとレシピのお礼にアレをプレゼントするわ」

「アレ?…」

首をかしげるシャルロットを見て、ナージャ王妃は楽しげに笑う。

*
夜、バルコニーでお腹を出しながら眠っていたチワワのクロウはふと目が覚ました。
身体を起こして後ろを振り返ると鉄製の小さなケージがあって、その中には何か物体が蠢いている。
薄暗くてよく見えないので、ケージの柵の隙間に顔を近付けると、檻の中の生き物が長い首を突き出してきたーー。

危うく鼻先を噛み付かれる所だった。

「ふぎゃああ!」

チワワは絶叫し腰を抜かす。

「クロウ?」

ハンモックの上で仮眠していたグレース皇子が目を覚ました。

「2人とも起きたのね」

バルコニーにシャルロットがやってきた。
いつのまにか離宮に帰ってきていたようだ。

「シャルロット、この檻はなんだ?何が入っているんだ?」

「生きたスッポンよ。ナージャ王妃からいただいた食材なの。精力増強の効果があるんですって。ミレンハン国ではメジャーな食材らしいの」

「か……亀を食べるのか?」

グレース皇子は顔を真っ青にしていた。

「明日はスッポン鍋にしましょう。料理人が宮殿からきて、捌いてくれるみたい」

「いや、俺は……」

グレース皇子は首を横に振った。

「グレース様ってば、好き嫌いはいけないわ!」

「シャルロット……」

「グレース様にはもう少し頑張ってもらわないと…」

「なっ……!?」

押しの強いシャルロットに困惑するグレース皇子だった…。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

若返った老騎士の食道楽~英雄は銀狼と共に自由気ままな旅をする~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
あるところに、数百年周期で現れる魔王がいた。 人族から生まれ、闇に魅入られし者、妖魔を統べる魔王と呼ばれる存在。 度々現れては、人々を恐怖のどん底に貶めてきた。 此度、その魔王との戦いに終止符を打った男がいた。 名をシグルド卿といい、六十歳を迎えた老人の男だ。 元平民にも関わらず、爵位を得て史上初の将軍にまで上り詰めた英雄である。 しかし、魔王と一騎討ちの末に相打ちになった……と世間では言われていた。 当の本人は実は生きており、しかも若返っていた。 そして自分が生きていることが知られると、色々と面倒なことになると悟った。 それにどうせなら、自由の身になって世界を旅したいと。 これは役目を終えた英雄が旅をし、様々な人と出会い、美味い物を食べていく物語。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

家の庭にダンジョンができたので、会社辞めました。

希羽
ファンタジー
都内のブラックIT企業で働く社畜・佐藤健太(27歳)。 手取り18万、残業100時間。唯一の資産は、亡き祖母から相続した郊外のボロ戸建てだけ。 「このまま死ぬのかな……」 そう絶望していたある夜、庭の物置の裏に謎の穴が出現する。 ​そこは、なぜか最弱モンスターしか出ないのに、ドロップアイテムだけは最高ランクという、奇跡のボーナスダンジョンだった。 試しにスライムを叩いたら、出てきた宝石の査定額はなんと――【1,000,000円】。 ​「……え、これ一個で、俺の年収の3分の1?」 ​スマホアプリで即換金、ドローン配送で手間いらず。 たった10分の庭仕事で5000万円を稼ぎ出した健太は、翌朝、上司に辞表を叩きつけることを決意する。

処理中です...