シャルロット姫の食卓外交〜おかん姫と騎士息子の詰め所ごはん

ムギ・オブ・アレキサンドリア

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恐怖のアンデットライン農園へ!首無し騎士と拗らせ女神のアイスクリームパーラー

温かグリューワイン

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「温まるわ~」

 ショッピングを一通り済ませた後に立ち寄った露店で買ったグリューワイン。
 ウィンターマーケット名物のスパイスが入った温かい赤ワインを飲みながら、シャルロット達は食べ歩きしていた。

「あっ……あれ、伝説の騎士団?」

 工芸品売り場には、大きなくるみ割り人形が複数飾られていた。
 それは、伝説の騎士団のおじさん達によく似ている。

 他にも様々なくるみ割り人形や煙出し人形、木工人形や木工品が店頭には並べられており、見ていて楽しかった。

「ああ、本当ね。そっくりだわ。あのオッサンたち、ペレー国ではヒーロー扱いなのよね。実際にはガサツで野蛮なだけの中年男集団だけど」

 アトランテは淡々と言った。

「そうかしら。優しい人たちだったわよ?私、この騎士団の人形が欲しい。グレース様が喜びそうだわ」

 シャルロットはくるみ割り人形を購入した。
 工芸品売り場を立ち去り、広場に入った時だった。突然、アトランテとキャロルが立ち止まり、剣幕な表情で踵を返した。
 ゲーテはシャルロットを守るように背後に立ち、警戒している様子。

「どうしたの?」

「出てきなさい!尾行がバレバレなのよ。さっきからアタシらを付け回して、どういうつもり?」

 アトランテが声を荒げた。
 シャルロットはびっくりして辺りを見渡すと、木陰から男が出て来た。

 肌着売り場で見かけた、あの厳つい顔の男2人組だ。

「ーーハハ、申し訳ない。尾行に気付かれていたなんて、参ったなあ」

「誰よ?あんたら」

「あっ……、あなた達……刑事さん?」

 アンデットラインで一度会ったことのある刑事だった。

「たまたま貴女達を街で見かけたもので、見守っていたんです」

「なあに~?いたいけなレディーを陰から見守るとか超キモいんですけど?変態なの?」

「俺たちは変態じゃないよーー最近、女性が何者かに襲われる事件が多発しているって話しただろう?」

「ええ……」

「ロングヘアーの女性が、何者かに襲われて、髪を刈られているんだ。それだけではなく、暴行を受けて大怪我を負った女性もいる。俺たちは、その事件について調査しているんだ」

「え!?酷い……」

「まあ、もう、大まかな犯人の目星は付いている」

「はぁ?アタシ達は犯人じゃないわよ?そんで、張り込みしていたの?心外だわ!」

「違う。貴女達を疑っているわけではない。女性から髪を刈り取り、転売する輩がいるんだ。おそらく、そいつらの仕業なんだ」

「髪?……転売?」

「その長くて美しいプラチナブロンドに、シルバーブロンドは珍しいし価値があるだろう。次に狙うとすれば、貴女達だろうと考え尾行していたんだ」

 シャルロットとアトランテは顔を見合わせ、呆然としていた。

「何よそれ。アタシらのこと囮にしていたの?」

「すまない…」

「ふふ、上等じゃない!髪は女の命よ!?それを奪うなんて許せないわ!そいつらは女の敵!!アタシが捕まえて、懲らしめてやろうじゃない!この女目明しアトランテ様が成敗してやるわ!」

 アトランテは勇ましく、腰に携えていた剣を抜いた。

「アトランテさん……っ、私も黙っていられないわ。刑事さん、捜査に協力いたします!絶対に捕まえなきゃ!」

 シャルロットも便乗するが、すぐにキャロルが止めた。

「姫様。危険です。無茶はやめて下さい」

「ふん!シャルロットちゃん。お義姉様に全部任せなさい!犯人を捕まえて、全身の毛という毛をツルッツルにしてやるんだから!よっしゃー、血祭りじゃ~!」

 アトランテは剣をブンブン振り回して、目もイっちゃっている。すっかりヤル気だ……。
 キャロルも刑事も、顔を真っ青にさせてドン引きしている。

 こうしてシャルロット達の囮捜査が始まったのだ。
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