ぽぽぽぽいぞなぁ!~物騒すぎるジョブになっちゃったので、私、スローライフは諦めます~

藤原キリオ

文字の大きさ
27 / 171
第一章 毒娘、冒険者になる

23:くさむらからへんしつしゃがあらわれました

しおりを挟む


「おいーっす」


 森で採取に励んでいると木陰から無精ひげの男が出て来た。
 まさかこんな街に近い所に山賊!?

 ……いや、こいつは知っている顔だ、つまり――


「出たな、変質者!」

「へ、変質者!?」

「ちげーよ! 誰が変質者だ!」

「気を付けてポロリン! このおっさんは変質者だから!」

「えっ!? う、うん!」

「おっさんでもねーよ! 俺はまだ三二歳だ!」


 一通り変質者のおっさんをいじった所でポロリンにちゃんと紹介する。
 森で急に出て来るのがいけないんだよ。部屋に侵入されるよりマシだけど。


「えっ国の役人さん!? あ、ピーゾンさんが言ってた人?」

「そうそう」

「おう、改めてジョブ管理局、固有職ユニークジョブ監視員のアロークだ。よろしくな」

「あ、よ、よろしくお願いします」

「んで何しに来たのよ」

「お前はとことん俺に敬意を払わないな。もっと年上を敬ってもいいんだぞ」


 誰が敬うかっつーの。
 ポロリンも役人って聞いてビクついてるけど、こんなおっさんに怯えることないのに。
 て言うか、その怯えた表情と仕草ヤメロ。庇護欲刺激する感じヤメロ。


「まー確認だよ、確認。そこの少年……少年? ……少年だよな? いや確か資料には少年だと……」

「合ってる合ってる」

「ボクは男ですっ!」

「お、おう。で、少年、ポロリンって名前だな。お前は学校に行かず冒険者になるって事でいいんだな? そこの毒娘とパーティー組むと」

「はいっ」

「誰が毒娘だ、誰が」


 私しかいないって、言ってる自分がよく分かってる。つらい。
 その愛称、払拭したい。


「別にお前のジョブを危険視してるわけじゃねーんだ。監視もつく予定なかったし。でも進路を決めずにいたから経過観察みたいな感じだったんだよ。それがどういうわけだか超危険人物のピーゾンとパーティー組むってなったもんでな」

「誰が超危険人物だ、誰が」

「だからピーゾンの担当の俺がついでにポロリンも見るはめになった。その挨拶と仕事増やしてくれた事に対する愚痴を言いに来た」

「正直すぎるでしょ」

「す、すみません……」


 ともかく私の監視を継続するついでに一緒に居るポロリンも見るってことね。
 どうせ報告するのは一緒なんだろうし別に仕事増えてないでしょうが。

 ん? という事はポロリンのジョブやスキルについてもアドバイス貰えるのかな?
 ちょっと聞いてみよう。


「【セクシーギャル】は聞いたことねえな。過去にも居ない未知のジョブのはずだぜ。お前も大変だなぁ、男なのに……さすがに同情するわ」

「うぅぅ……」


 やはり【セクシーギャル】の詳細は分からないか。
 本当使えないおっさんだな。何の役にも立ちゃしない。


「男女それぞれ専用のジョブってあるじゃない? それがあべこべになった事例とかは?」

「有名所だと女性限定ジョブで【巫女】とか【魔女】とかあるけどな、男がそれに就いたって事は俺の知る限りねえな。おそらくポロリンの場合、固有職ユニークジョブ特有の現象だとは思うが」

「特有って言うのは?」

「お前だって毒とか扱った事ないのに【毒殺屋】になったろ? 想像もしない、全く経験のないジョブになる事が固有職ユニークジョブの場合は結構あるんだよ。なんでこんなジョブに就いたのか意味分かんないってな」


 全くもってその通りだね。私に毒要素なんて微塵もないし。


「そういう意味じゃポロリンを研究したいってヤツもいると思うぜ? 男なのに【セクシーギャル】とか珍しいって騒いでもおかしくはない」

「うわぁ」「ひぃぃ」


 ますます王都に行きたくなくなってきたね。
 国の義務的に行かざるを得ないんだけど。冒険者になって正解かも。

 気を取り直してスキルの事を聞いておこう。


「じゃあ<挑発>と<呼び込み>は?」

「それなら分かる。他のジョブでも同じのあるしな」


 良かった。敵と戦える段階になってからスキル考察するつもりだったんだ。
 ここで知れるならラッキーだね。たまには使えるおっさんだな。


「<挑発>は戦闘状態の魔物の敵意を自分に向けさせるものだな。レベルが上がればより自分に執着させる事ができる。基本は単体向きだから、複数の魔物を自分に向かせるなら<挑発>は何回も必要ってことだな」


 やっぱヘイト上昇か。レベルが上がればヘイト管理も楽になると。
 となるとやはりポロリンは盾役タンク一択かな。トンファーが盾代わりになるけど。
 ステータス的にも【防御】が一番高いしね。

 王都に行ったらちゃんとしたトンファーと防具を見繕う必要があるね。
 中期目標に入れておかねば。


「<呼び込み>は一番近くの魔物をおびき寄せる。それが単体なのか群れなのか分からねえ。とにかく近くのヤツだ。レベルが上がればその範囲が広がる感じだな」


 くちぶえか!
 てっきり店の前に立って「お客さ~ん」ってやると確実に呼び込めるスキルかと思ったが……これはレベリングが捗りますなぁ!
 かなり有用なスキルだ。個人的には嬉しい。


「<セクシートンファー術>ってのは知らねえ」


 ですよね。


「そもそもトンファーを扱える【武闘家】も<トンファー術>ってスキルを持ってるわけじゃねえし」

「えっ、そうなんですか」

「【剣士】の<剣術>みたいな感じじゃないんだ」

「【武闘家】は<武術>を覚えるな。それで武器の適性が増えて、その中の武器の一つとしてトンファーがあるって話だ。だからトンファーより棍とかの方が使われるんだろう」

「トンファー不遇だねぇ」

「悲しいです……」


 結局のところ<セクシートンファー術>とは何なのか。
 普通のトンファーとは何が違うのか、ただセクシーなだけなのか、それは分からずじまい。
 まぁ私からすれば武器を持てるってだけで羨ましい限りなんだけどね。


「とりあえず<挑発>と<呼び込み>が分かっただけでもラッキーだね。トンファーは扱いに慣れていかないと、どっちにしろ意味ないし」

「うん、ですね! 頑張ります!」

「そうだそうだ。俺的にもお前らに簡単に死なれちゃ困るんでな。せいぜい鍛錬に励め。……ただピーゾンよぉ、お前教え方が……」

「何よ」

「あーまぁいいや、とにかく死なねーように頑張れよ」


 それだけ言ってアロークのおっさんはぶらりとどっか行った。
 なんだ? 私の教え方? 言い残しは気になるんだよなぁ。


「何だったんだろ」

「さあ」

「ま、とりあえず採取の続きやろっか」

「うん」


 おっさんは監視してるようでしてなかったり、呼んでも来ない時もあれば突然現れる時もある。
 覗き魔で流浪者で変質者だね。頼っちゃいけない大人だ。捕まればいいのに。

 まぁ今後もいないものとして考えておきましょ。
 今回はスキルの情報が手に入っただけでラッキーだったと。


「あのさ、ピーゾンさん」

「なーに?」

「……なんで薬草避けて毒草だけ採取するの?」


 ……薬草、採取した事ないんですけど?


しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【完結】発明家アレンの異世界工房 ~元・商品開発部員の知識で村おこし始めました~

シマセイ
ファンタジー
過労死した元商品開発部員の田中浩介は、女神の計らいで異世界の少年アレンに転生。 前世の知識と物作りの才能を活かし、村の道具を次々と改良。 その発明は村の生活を豊かにし、アレンは周囲の信頼と期待を集め始める。

ガチャと異世界転生  システムの欠陥を偶然発見し成り上がる!

よっしぃ
ファンタジー
偶然神のガチャシステムに欠陥がある事を発見したノーマルアイテムハンター(最底辺の冒険者)ランナル・エクヴァル・元日本人の転生者。 獲得したノーマルアイテムの売却時に、偶然発見したシステムの欠陥でとんでもない事になり、神に報告をするも再現できず否定され、しかも神が公認でそんな事が本当にあれば不正扱いしないからドンドンしていいと言われ、不正もとい欠陥を利用し最高ランクの装備を取得し成り上がり、無双するお話。 俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。 単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。 ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。 大抵ガチャがあるんだよな。 幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。 だが俺は運がなかった。 ゲームの話ではないぞ? 現実で、だ。 疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。 そのまま救急搬送されたが、恐らく脳梗塞。 そのまま帰らぬ人となったようだ。 で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。 どうやら異世界だ。 魔物が闊歩する世界。魔法がある世界らしく、15歳になれば男は皆武器を手に魔物と祟罠くてはならないらしい。 しかも戦うにあたり、武器や防具は何故かガチャで手に入れるようだ。なんじゃそりゃ。 10歳の頃から生まれ育った村で魔物と戦う術や解体方法を身に着けたが、15になると村を出て、大きな街に向かった。 そこでダンジョンを知り、同じような境遇の面々とチームを組んでダンジョンで活動する。 5年、底辺から抜け出せないまま過ごしてしまった。 残念ながら日本の知識は持ち合わせていたが役に立たなかった。 そんなある日、変化がやってきた。 疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。 その結果、俺は信じられない出来事に遭遇、その後神との恐ろしい交渉を行い、最底辺の生活から脱出し、成り上がってく。

規格外で転生した私の誤魔化しライフ 〜旅行マニアの異世界無双旅〜

ケイソウ
ファンタジー
チビで陰キャラでモブ子の桜井紅子は、楽しみにしていたバス旅行へ向かう途中、突然の事故で命を絶たれた。 死後の世界で女神に異世界へ転生されたが、女神の趣向で変装する羽目になり、渡されたアイテムと備わったスキルをもとに、異世界を満喫しようと冒険者の資格を取る。生活にも慣れて各地を巡る旅を計画するも、国の要請で冒険者が遠征に駆り出される事態に……。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

俺のスキルが回復魔『法』じゃなくて、回復魔『王』なんですけど?

八神 凪
ファンタジー
ある日、バイト帰りに熱血アニソンを熱唱しながら赤信号を渡り、案の定あっけなくダンプに轢かれて死んだ 『壽命 懸(じゅみょう かける)』 しかし例によって、彼の求める異世界への扉を開くことになる。 だが、女神アウロラの陰謀(という名の嫌がらせ)により、異端な「回復魔王」となって……。 異世界ペンデュース。そこで彼を待ち受ける運命とは?

政治家の娘が悪役令嬢転生 ~前パパの教えで異世界政治をぶっ壊させていただきますわ~

巫叶月良成
ファンタジー
政治家の娘として生まれ、父から様々なことを学んだ少女が異世界の悪徳政治をぶった切る!? //////////////////////////////////////////////////// 悪役令嬢に転生させられた琴音は政治家の娘。 しかしテンプレも何もわからないまま放り出された悪役令嬢の世界で、しかもすでに婚約破棄から令嬢が暗殺された後のお話。 琴音は前世の父親の教えをもとに、口先と策謀で相手を騙し、男を篭絡しながら自分を陥れた相手に復讐し、歪んだ王国の政治ゲームを支配しようという一大謀略劇! ※魔法とかゲーム的要素はありません。恋愛要素、バトル要素も薄め……? ※注意:作者が悪役令嬢知識ほぼゼロで書いてます。こんなの悪役令嬢ものじゃねぇという内容かもしれませんが、ご留意ください。 ※あくまでこの物語はフィクションです。政治家が全部そういう思考回路とかいうわけではないのでこちらもご留意を。 隔日くらいに更新出来たらいいな、の更新です。のんびりお楽しみください。

【☆完結☆】転生箱庭師は引き籠り人生を送りたい

寿明結未
ファンタジー
昔やっていたゲームに、大型アップデートで追加されたソレは、小さな箱庭の様だった。 ビーチがあって、畑があって、釣り堀があって、伐採も出来れば採掘も出来る。 ビーチには人が軽く住めるくらいの広さがあって、畑は枯れず、釣りも伐採も発掘もレベルが上がれば上がる程、レアリティの高いものが取れる仕組みだった。 時折、海から流れつくアイテムは、ハズレだったり当たりだったり、クジを引いてる気分で楽しかった。 だから――。 「リディア・マルシャン様のスキルは――箱庭師です」 異世界転生したわたくし、リディアは――そんな箱庭を目指しますわ! ============ 小説家になろうにも上げています。 一気に更新させて頂きました。 中国でコピーされていたので自衛です。 「天安門事件」

[完結]前世引きこもりの私が異世界転生して異世界で新しく人生やり直します

mikadozero
ファンタジー
私は、鈴木凛21歳。自分で言うのはなんだが可愛い名前をしている。だがこんなに可愛い名前をしていても現実は甘くなかった。 中高と私はクラスの隅で一人ぼっちで生きてきた。だから、コミュニケーション家族以外とは話せない。 私は社会では生きていけないほどダメ人間になっていた。 そんな私はもう人生が嫌だと思い…私は命を絶った。 自分はこんな世界で良かったのだろうかと少し後悔したが遅かった。次に目が覚めた時は暗闇の世界だった。私は死後の世界かと思ったが違かった。 目の前に女神が現れて言う。 「あなたは命を絶ってしまった。まだ若いもう一度チャンスを与えましょう」 そう言われて私は首を傾げる。 「神様…私もう一回人生やり直してもまた同じですよ?」 そう言うが神は聞く耳を持たない。私は神に対して呆れた。 神は書類を提示させてきて言う。 「これに書いてくれ」と言われて私は書く。 「鈴木凛」と署名する。そして、神は書いた紙を見て言う。 「鈴木凛…次の名前はソフィとかどう?」 私は頷くと神は笑顔で言う。 「次の人生頑張ってください」とそう言われて私の視界は白い世界に包まれた。 ーーーーーーーーー 毎話1500文字程度目安に書きます。 たまに2000文字が出るかもです。

処理中です...