カスタム侍女無双~人間最弱の世界に転生した喪服男は能力をいじって最強の侍女ハーレムをつくりたい~

藤原キリオ

文字の大きさ
412 / 421
after5:久しぶりのカオテッド

5-3:新年早々スペッキオ本部長の心労が酷い

しおりを挟む


■セイヤ・シンマ 基人族ヒューム 男
■24歳 転生者 SSSランク【黒屋敷】クラマス


 明けましておめでとうございます。
 そんな挨拶や風習はないのだが、何はともあれ新年一発目から本部長への報告を行う。
 いつものように組合を訪れれば、自動的に本部長室へと案内された。


「新年早々、セイヤの報告は聞きたくないんじゃがのう……疲れるのは勘弁して欲しいが」

「それはホントすいません」

「否定せんのか。はぁ……通信宝珠の定時報告ではそれほど驚くような展開はなかったんじゃがのう。せいぜい迷宮を最速で制覇したとか竜を狩ったとか。お主らの実力を知っていれば当然と思える程度のもんじゃったし」


 だいぶ毒されてきたな、本部長。

 聞けばザラとトルテーモの支部長から手紙の返信があったらしい。俺たちが去った後で。

 どちらの支部長も記録を大幅に更新するような速度での制覇や、迷宮を走ったり、バフを使い続けたり、魔物部屋に行ったりといった俺たちの通常探索・・・・に言及するような内容だったらしい。

 しかし本部長からすれば「ああ、【黒屋敷】のいつものやつね」くらいで終わる。
 特に驚くような内容ではないと。まぁそれでこっちに愚痴られたら堪らないから助かるんだが。


「で、改まって報告とは何じゃ? そっちのツェンの妹の事か? 金色の竜人族ドラグォールが居るとは知らなかったのう。竜人族ドラグォールの里から連れてきたのか?」


 今日の報告に来たのは、俺とグレンさん、セキメイ、エメリー、フロロ、ツェン、プラムだ。プラムはツェンの膝の上に座っている。と言うかツェンが抑えている。
 髪色は全く違うがツェンと並ぶと顔はそっくりだ。姉妹に見えるのも仕方ない。

 というわけでプラムの事から相談することにした。

 俺が竜神に会ったというのはあまり言いたくないので、族長に神託が下りて、俺たちの竜狩りを制限するよう言われたと。神はどうやら風竜や水竜を狩った俺たちをマークしていたらしいと。そんな感じで誤魔化した。


「【竜神ドラウグル】から名指しで警告とか……お前らもう大概じゃのう」

「それと神託の内容がもう一つありまして、本部長『竜の王』って知ってますか?」

「『竜の王』? 知らんが、そんなのが居るのか?」

「族長は多少知っていたんですが、マツィーア連峰の上の方には【輝帝竜】という『竜の王』が居るそうなんです。で、竜神は【輝帝竜】に手を出してはいけないと」


 【輝帝竜】はマツィーア連峰の竜を統べる者。
 仮にそれが倒されれば多くの竜は山脈を離れ人里を襲うようになってしまう。だから決して害してはいけない。
 そんな忠告を受けたと本部長に説明した。


「この情報の扱いについて悩んでいるんです。人を守る『竜の王』という存在は周知させるべきなのか、それとも秘匿するべきなのか。それで本部長に相談をと」

「はぁぁぁ……なるほど、言いたい事はよく分かる。周知させても周知させなくても危険じゃ。迷宮組合よりも魔物討伐組合で判断すべき内容じゃろう。もしくは山脈と接した全ての国か……いずれにせよ儂の方から内々に相談しよう。お前たちはやたら吹聴せんでおいてくれ」

「すいません、お願いします」


 投げっぱなしになっちゃったけど俺にはどうする事も出来ないからな。本部長にお任せしよう。
 で、ある意味これからが本題なんだが。


「その【輝帝竜】なんですが、神託のあった翌日にふらっと里に飛んできましてね」

「はあ!?」


 竜神が族長に神託したように、【輝帝竜】にも神託があったと説明する。
 内容は俺たちの事で、それに興味を持った【輝帝竜】が様子見に来たと。

 で、何やかんやあって、娘を預かる事になったと。
 俺たちを気に入ったのか、娘の社会勉強の為かは分からんと、そんな感じで。


「で、その【輝帝竜】の娘というのがこのプラムなんです」

「……ちょっと儂、混乱してよく理解出来ないんじゃが、え? プラムってそのツェンの妹? 竜? 竜人族ドラグォールじゃなくて?」

「【輝帝竜】という種に関しては人語も介しますし、人の姿にもなれるらしいです。プラム、元の姿に戻って」

「む? よいのか? では――」


 ツェンの膝から浮き上がると、プラムは<変異ミューテーション>を解いた。
 光と共に現れたのは2mほどの小柄な竜。白金の鱗に四枚翼。小さくてもさすがに【輝帝竜】と言える姿だ。


『妾がプラムじゃ! よろしく頼むぞ、本部長とやら!』

「な、な、な……っ!?」

「とりあえず茶を飲め、本部長。死ぬでないぞ」


 フロロのナイスフォローで、本部長が一気に茶を飲む。


「……はぁ、フロロ、お前の主はどうなってるんじゃ。儂を殺す気か。グレンよ、お前が付いていながら何をやっておるんじゃ」

「さすがにもう慣れました。一緒に居ると毎日退屈しませんよ」

「儂は退屈な日々を送りたいわい」


 グレンさんが居なくても【輝帝竜】は来ただろうけどな。
 どうにか気を持ち直した本部長が改まって、プラムと俺に視線を動かす。


「つまりそのプラムと言うのが次代の『竜の王』となるのか?」

「ですね。父親が現役なので当分先ですけど」

「それで人の姿になってカオテッドで共に暮らすと? まさか組合員にするつもりか?」


 プラムはツェンの妹って事で通そうと思っている。ちびっ子だけど百歳の竜人族ドラグォールですよと。本当は二千歳オーバーらしいけど。
 組合員にして一緒に迷宮探索するつもりだが、組合員証を作るのに本部長に黙ったままというわけにもいかない。
 というわけで先に話を通しておきたかったのだ。


「これこそまさに周知させるわけにはいかん情報じゃのう……人に化ける竜とか……。まぁ人として普通に過ごせるのであれば組合員とするのも吝かではないが、何かが起きた時はセイヤに責任をとってもらうぞ?」

「それは承知しています」

「うむ……ん? 【黒屋敷】に加入させるという事は、まさかその娘も奴隷にするつもりか?」

「竜が奴隷に出来るか分からないので、これからティサリーン商館に行って試してみるつもりです。仮に奴隷に出来なくても組合員にはしますけど」

「ふむ、それもそうか……」


 本部長は頭を抱えながらも何とか冷静さを保っている。さすがだな。

 しかし残念。爆弾の投下は止まらない。


「本部長、私とセキメイも奴隷となり【黒屋敷】に加入しますので」

「ちょっ!? はぁぁぁあああ!?」

「本部長よ、我の茶を飲め。もうちょっと生きろ」


 フロロのナイスフォロー。やっぱり対・本部長だとフロロは扱いに慣れているな。誰より付き合いが長いし。


「いや、ちょっと待てい! お前が強さを追い求める性格なのは知っておる! だからSSSランクとなったセイヤに惹かれたのであろう! しかしだ! ソロのSランクなど世界にグレンしかおらんのだぞ!? それを捨てると言うのか!?」

「Sランクとなったのは修行の成果であって目的ではありません。強くなる過程でたまたまランクが上がったに過ぎないのです」

「……いやまあ、確かにグレンならばそう言うか……紹介したのが間違いじゃったかのう……」

「紹介して下さって感謝していますよ。このような御仁は二人と居ないのですから」


 本部長はグレンさんの強さを追求する性格を知っていた。だからカオテッドに来たのも納得していたし、俺を紹介したわけだ。
 それがまさか俺の奴隷になるだなんてなぁ……俺でさえも思ってなかったし。
 ソロのSランクがSSSランククランに加入。世間的には大ニュースになりそうだけど本部長からすれば勿体ないんだろうな。俺もそう思う。

 本部長は遠い目をして語り始めた。


「儂はなぁ、セイヤ……昨晩かなり真剣に『昇魔の儀』を行ったのじゃぞ? 昨年起こった数々の事件――【天庸】事件やら【聖戦】やら【黒屋敷】関連の諸々やら……それらで煩った心労を払拭すべくとな。今年こそは心休まる一年にしたいと願っておった。……それがなぜ新年初日からこんな事態になっておる!?」


 もう一日早く帰還していれば去年のうちに報告出来たんですがね。
 俺自身、予想外の展開ばかりだったし、昨日が大晦日だって知らなかったし、仮に知っていても報告するのには変わりないし。
 ただ俺には謝る事しか出来ません。ご迷惑おかけしますと。


「はぁ……セイヤを二月ふたつきも旅に出すとこうなるんじゃなぁ……こんなことなら迷宮探索の報告を聞いている方がまだマシじゃわい」

「あ、本部長、もう一つ相談があるんですけど」

「なんじゃ! まあだ儂を困らせる気か! もう嫌じゃぞ! 儂はもう聞きたくない!」


 いやいや、そういった類の話じゃなくてですね。
 本部長が喜びそうな件でのご相談です。


「博物館を移転もしくはリニューアルしたいと考えてるんです」

「……む?」


 ほら、一気に乗り気になった。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

異世界転移から始まるハーレム生活〜チートスキルを貰った俺は、妹と共に無双する〜

昼寝部
ファンタジー
 2XXX年、X月。  俺、水瀬アキトは戦争の絶えない地球で『戦場の悪魔』と呼ばれ、数多の戦で活躍していた。  そんな日々を過ごしていた俺は、ひょんなことから妹と一緒に異世界へ転移することになった。  その世界にはダンジョンが存在しており、ライトノベルなどで登場する世界観と類似していた。  俺たちはその世界で過ごすため女神様からチートスキルを貰い、冒険者となって異世界での生活を満喫することにした。  これは主人公の水瀬アキトと妹のカナデが異世界へ転移し、美少女たちに囲まれながら異世界で無双するお話し。

スティールスキルが進化したら魔物の天敵になりました

東束末木
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞 奨励賞、いただきました!! スティールスキル。 皆さん、どんなイメージを持ってますか? 使うのが敵であっても主人公であっても、あまりいい印象は持たれない……そんなスキル。 でもこの物語のスティールスキルはちょっと違います。 スティールスキルが一人の少年の人生を救い、やがて世界を変えてゆく。 楽しくも心温まるそんなスティールの物語をお楽しみください。 それでは「スティールスキルが進化したら魔物の天敵になりました」、開幕です。 2025/12/7 一話あたりの文字数が多くなってしまったため、第31話から1回2~3千文字となるよう分割掲載となっています。

『スローライフどこ行った?!』追放された最強凡人は望まぬハーレムに困惑する?!

たらふくごん
ファンタジー
最強の凡人――追放され、転生した蘇我頼人。 新たな世界で、彼は『ライト・ガルデス』として再び生を受ける。 ※※※※※ 1億年の試練。 そして、神をもしのぐ力。 それでも俺の望みは――ただのスローライフだった。 すべての試練を終え、創世神にすら認められた俺。 だが、もはや生きることに飽きていた。 『違う選択肢もあるぞ?』 創世神の言葉に乗り気でなかった俺は、 その“策略”にまんまと引っかかる。 ――『神しか飲めぬ最高級のお茶』。 確かに神は嘘をついていない。 けれど、あの流れは勘違いするだろうがっ!! そして俺は、あまりにも非道な仕打ちの末、 神の娘ティアリーナが治める世界へと“追放転生”させられた。 記憶を失い、『ライト・ガルデス』として迎えた新しい日々。 それは、久しく感じたことのない“安心”と“愛”に満ちていた。 だが――5歳の洗礼の儀式を境に、運命は動き出す。 くどいようだが、俺の望みはスローライフ。 ……のはずだったのに。 呪いのような“女難の相”が炸裂し、 気づけば婚約者たちに囲まれる毎日。 どうしてこうなった!?

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

ガチャと異世界転生  システムの欠陥を偶然発見し成り上がる!

よっしぃ
ファンタジー
偶然神のガチャシステムに欠陥がある事を発見したノーマルアイテムハンター(最底辺の冒険者)ランナル・エクヴァル・元日本人の転生者。 獲得したノーマルアイテムの売却時に、偶然発見したシステムの欠陥でとんでもない事になり、神に報告をするも再現できず否定され、しかも神が公認でそんな事が本当にあれば不正扱いしないからドンドンしていいと言われ、不正もとい欠陥を利用し最高ランクの装備を取得し成り上がり、無双するお話。 俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。 単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。 ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。 大抵ガチャがあるんだよな。 幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。 だが俺は運がなかった。 ゲームの話ではないぞ? 現実で、だ。 疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。 そのまま救急搬送されたが、恐らく脳梗塞。 そのまま帰らぬ人となったようだ。 で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。 どうやら異世界だ。 魔物が闊歩する世界。魔法がある世界らしく、15歳になれば男は皆武器を手に魔物と祟罠くてはならないらしい。 しかも戦うにあたり、武器や防具は何故かガチャで手に入れるようだ。なんじゃそりゃ。 10歳の頃から生まれ育った村で魔物と戦う術や解体方法を身に着けたが、15になると村を出て、大きな街に向かった。 そこでダンジョンを知り、同じような境遇の面々とチームを組んでダンジョンで活動する。 5年、底辺から抜け出せないまま過ごしてしまった。 残念ながら日本の知識は持ち合わせていたが役に立たなかった。 そんなある日、変化がやってきた。 疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。 その結果、俺は信じられない出来事に遭遇、その後神との恐ろしい交渉を行い、最底辺の生活から脱出し、成り上がってく。

勇者パーティーを追放されたので、張り切ってスローライフをしたら魔王に世界が滅ぼされてました

まりあんぬさま
ファンタジー
かつて、世界を救う希望と称えられた“勇者パーティー”。 その中で地味に、黙々と補助・回復・結界を張り続けていたおっさん――バニッシュ=クラウゼン(38歳)は、ある日、突然追放を言い渡された。 理由は「お荷物」「地味すぎる」「若返くないから」。 ……笑えない。 人付き合いに疲れ果てたバニッシュは、「もう人とは関わらん」と北西の“魔の森”に引きこもり、誰も入って来られない結界を張って一人スローライフを開始……したはずだった。 だがその結界、なぜか“迷える者”だけは入れてしまう仕様だった!? 気づけば―― 記憶喪失の魔王の娘 迫害された獣人一家 古代魔法を使うエルフの美少女 天然ドジな女神 理想を追いすぎて仲間を失った情熱ドワーフ などなど、“迷える者たち”がどんどん集まってくる異種族スローライフ村が爆誕! ところが世界では、バニッシュの支援を失った勇者たちがボロボロに…… 魔王軍の侵攻は止まらず、世界滅亡のカウントダウンが始まっていた。 「もう面倒ごとはごめんだ。でも、目の前の誰かを見捨てるのも――もっとごめんだ」 これは、追放された“地味なおっさん”が、 異種族たちとスローライフしながら、 世界を救ってしまう(予定)のお話である。

処理中です...