親衛隊隊長だけど彼女がいます!

kira

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(5)藤岡くんの日常

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 - 2年A組
 なんだか今日は早く目が覚めてしまった。
 朝のホームルームまでだいぶ時間があるな。さすがに誰もいないし。

 ガラガラ
「あれ?人がいる!」
「!」
 入口に立っているのは、クラスメイトの流星だ。

「藤岡だよね!話すのは初めてだな。俺は安武 流星やすたけ りゅうせい。流星って呼んでくれ!」

「よろしく!俺のこと知ってたんだな。改めて俺は藤岡 幸輝ふじおか こうき。俺のことも幸輝って呼んでくれてかまわない。」

「よろしくな幸輝!いや幸輝のことは同じ外部生ってことで気になってたし、親衛隊に入ったって聞いてさ驚いたから。」

「驚いた?」
「いや俺はもともと共学に通ってたから、男が男に盛り上がってるのがまだあんまり受け入れられなくて笑」

「なるほど……俺は別に会長が恋愛的に好きってわけじゃないよ。ただ支えてみたいなって思っただけ。あっ!でもこれ他の人にはオフレコな笑」
(好きどころか気にくわないけど、それを言ったらなんで所属してるんだってなるからな。)

「そうなんだ!そういうやつもいるよな!同じ外部生なのに受け入れるのすげーなって思ってたからさ笑」

「あはは……」
(やっぱりそう思うよな……根本的な部分で俺と似てるな)

「そういえばどうしてこんなに早い時間に?」
「いやなんとなく早く目が覚めちゃって、誰もいない教室を満喫してたんだ。」
「へぇー。なんかカッコいいな。」

 カッコいいって久しぶりに言われた気がする。この学園に来てから可愛いって声をかけられることばかりで気が滅入ってたんだよな。

「流星はどうして?」
「俺は今日は部活の朝練がなかったから自主練しようと思って。昨日教室に制汗剤忘れちゃったから取りに来たんだ。」
「そうなんだ! あぁごめん引き留めたみたいになってたな。」
「いや、別にやってもやらなくてもって感じだったから。暇なら幸輝も一緒にトレーニングかなんかする?」

「いや遠慮しとく笑
 ちょっとしたいこともあるしね。」
「おっけー! じゃあ俺はちょっと動いてこようかな。またな!」


 なんか嵐のような時間だった。でもこの学園に自分と同じような感覚のやつがいて安心したのは事実だ。


 とりあえずまだ誰もいない間に、親衛隊メンバーの顔と名前ぐらいは一致させないとな。名簿を使いながら、織部から送られてきた写真と合わせて覚えていく。いいこたちだから問題を起こすってことはなさそうだが、何かあったときに統率がとれないと面倒だ。それに恋は盲目っていうし、思いきった行動をしてしまうやつが出てきてしまうかもしれないしな。


 ・
 ・
 ・

「……だいぶ覚えたぞ!」
「何が?」
「え? あれ? 野口いつの間にいたんだ?」
「気づいてなかったのか笑
 もう10分前ぐらいから隣にいたぜ。」
「まじか。」
 気がつくと教室にはだいぶ人が集まってきていた。

「それで何を覚えたって?」
「あぁ! 親衛隊メンバーの名前だよ! 俺は隊長なのにまだ全然覚えられてなかったから。」
「なるほどな。でもやっぱり藤岡って真面目だなー。」
「そうか?」
(隊長ってそういう役目かと思ってたんだけどな。まぁ会長とかは人の顔を覚えないみたいだし、トップがあれなら俺は真面目に入るんだろうな。)

 ここで朝のホームルームが始まり、野口との会話は終わった。


 - 授業中

「今日は小テストをしまーす! 普段から授業をよく聞いてれば解けるはずだぞー!」

 先生がそういうとクラスから大きなブーイングが上がった。

「やばい!」
「野口どうした?」
「俺は勉強一夜漬けタイプなんだって! 抜き打ちは無理だ!」

 野口の顔がその深刻さを物語っている。

「まぁ小テストだし、そんなに難しい問題は出ないんじゃないか?」

「藤岡にとってはな!くそっ!安武といい、藤岡といい外部生は頭がいいやつが多い……。」

「流星も頭がいいのか?」

「あぁ! この小テストの騒ぎで、慌ててないのはおまえら2人だけだ!」

「なるほど。」
(スポーツ推薦って頭の良さそこまでだと思ってたが、流星に失礼だったな……。)

「じゃ、テスト配るぞー!」

「Oh~No~!」

 ・
 ・
 ・

(……やばい。集中できない。)

「んー。んー?これは!いや……?んー」
 野口が隣の席でずっと唸っててうるさい。今度勉強教えてやるか……

「はい。終了。」

「野口どうだった?」

「ふっ。悟りを開いたぜ。」

 (……ダメだったんだな)

 ・
 ・
 ・

 - 昼休み

「失礼しまーす!藤岡くーん!」
 2年A組の入口に織部が立っている。

「織部?どうかした?」

「一緒にランチでもどうかと思って!」

「おー!いいよ!……あっ!野口はどうする?」
「ふっ。俺が百合に挟まる無粋な男に見えるかい?」
「……じゃ別ってことか?悪いな。」
 (百合……?)

「あっ!ごめん……。そうだよね!藤岡くんのこと考えずに来ちゃって。」
「いやなんとなく一緒に食べてるだけだし、約束してるわけでもないから大丈夫!」
「そう……?それならいいんだけど、食堂に一緒に行かない?」
「いいな。あっ!でも俺今日はパン持ってるんだけど食堂で食べてもいいのかな?」
「もちろん大丈夫だよ!お弁当とか食べてる人もいるし!僕は学食食べるけど!」
「それなら良かったじゃあ行こうぜ!」


 歩きながらなぜ織部に俺をランチに誘ったのかを聞いた。


「まぁ親衛隊の絆をより深めよう!っていうのが建前ね!」
「でもなんというか、藤岡くんは可愛い見た目に反して男前な感じが見えかくれするというか……なんか仲良くなりたいなーって!」
「ありがとう笑」
(すごい素直だな)



 - 食堂

 ざわざわ……ざわざわ……
「すごい人だな……。織部!俺先に席取りしてくる!」

「助かるー!ありがとう!」
 そう言って織部は人混みの中に入っていった。
 なんか潰されてそうだな……。
 
 織部とわかれて空いている席を探す。パッと見た感じはどこの席もいっぱいだ。まるでテーマパークのレストランみたいだ。

「あれ?藤岡くんではないですか?」

 ふいに声をかけられる。

「あっ!東金先輩!と花房先輩!」
「お席をお探しですか?」
「はい。でもなかなか空いてなくて……。」
「相席でもよろしければこちらにどうぞ。」 
 東金先輩と花房先輩(兄)が4人席のうちの2つの椅子を指す。

「えっと、ではお言葉に甘えて……。」
(東金先輩の噂を聞いてしまったからちょっと気まずいな。織部、早く来てくれー! )
   
「親衛隊の仕事はどうですか?」
「親衛隊の子達がみんないいこなので、特に問題もなく仕事ができてます!それにマニュアルを基本としながら自分たちなりに活動してます。」
「そうですか……。確かに今年度の親衛隊はとても評判が良いですよ。」

 ……これは噂を調べてることを知ってるぞっていう警告か?

「えっと、失礼ながら前年度は……?」
「ふふふ」

(なんか言ってくれ! こえーよ! 織部早くカムバック! )

「なぁ藤岡。」
「……!どうしました花房先輩?」
「その花房先輩っていうの下の名前でいい。この学園に花房は2人いるからな。」
「わかりました!その……隆弘先輩、この間親衛隊の合否のときに俺を呼んだときと話し方が違いませんか?」
「あぁ、あれは葵のイメージに合わせてただけ。」
(東金先輩のイメージに? )

「親衛隊の雰囲気としてですか?」
「まぁそんな感じ。」

 この話し方の隆弘先輩は確かに花房先輩(弟)に似ているかもしれない。


 キャーキャー! 抱いてー! 抱かせてくれー!

 この歓声があがるということは……やっぱり!

「おや、生徒会の方々ですね。親衛隊の出番では?」

 優雅に紅茶を飲みながら東金先輩が言う。

 そうだ……。親衛隊はこういうときにガードに入らなければならない。思い腰を上げて、歓声の中心に向かう。
 歩いてる途中で親衛隊メンバーも合流してきたので、みんなで生徒会メンバーと一般生徒の間に入る。ちなみに織部はまだランチを選んでるのか、潰されたのか知らんがいない。

「皆さん!押さないで!そこ!触るのは禁止です!」
 キャーキャー!
「落ち着いてー!」
 キャーキャー

 生徒会メンバーが階段を上がって見えなくなると段々と騒ぎは落ち着いていった。親衛隊もゆっくりと離散した。

 東金先輩たちの席へ戻ると織部が既に座っていた。

「「藤岡くんお疲れ様(です。)」
 東金先輩と隆弘先輩がそう声をかけてくれる。

「相変わらず皆さんすごいパワーですよね……。」
「ふふ。去年を思い出しますね。ね? 隆弘くん。」
「そうだな……。しんどかった。」
「私は楽しかったですよ笑」

(やっぱり親衛隊の主な仕事はガードなんだな)

「というか織部サボったな……」
「違うの! 人に押されて進めなかったんだよ! 本当なら僕も会長の側に行きたかったもん!」
「それは災難だったな。」
(やっぱ潰されてたんだな笑)

「生徒会の方々が特別席に行っちゃうまでの一瞬はとっても貴重なんだから!」
「特別席?」
「えぇ。生徒会メンバーの皆さん上の階に行かれたでしょう?」
「あそこは生徒会メンバーしか入れない席なんです。」
「確かに行ってました!」
「えぇなので、一般の生徒はあの食堂に現れる一瞬を待っているのですよ。親衛隊の腕の見せ所ですね。」
「なるほど...」

「お二人とお話しするのは楽しいのですが、私たちはこれから用事があって失礼させていただきます。」

「「はい! こちらこそ楽しかったです!」」
 
 東金先輩と隆弘先輩が共に席を立って、食堂から出ていく。

「ねえ藤岡くん。」
「どうした?」
「やっぱり葵先輩と隆弘先輩、とっても素敵だね!」
「織部……誰にでもそういってる笑」
「違うよ! 本心から思ってる人にしか言わないよ!」
「もう! この学園には素敵な人が多いから、学園中の監視カメラのベストショットくれないかなぁ……」

「監視カメラ? それなら良い映像はあんまりないんじゃないか? 付いてる場所もほとんどないし。」
「あれ? 藤岡くん気づいてないの?」
「何が?」
「この学園、監視カメラで見られてないところほとんどないよ?」
「え? ここもってことか? 俺見たことないよ?」
「んーと、たとえばここはあそこの壁のすみに絵画が飾ってあるじゃない? あの絵画の男性の目にカメラが隠されてるよ!」
「……まじ?」
「うん! あんな感じで色々隠されてるんだよね! なんで隠されてるかはわからないんだけど……。」
「織部はどうして知ってるの?」
「僕ね、目と勘がいいんだよね! それに隠されてるものってワクワクしない?」

(織部はただ可愛いものや綺麗なものにしか興味がないと思っていたが、意外と観察眼が鋭いんだな...。)

「織部はさ……。東金先輩どう思う?」
(織部なら何か感じ取ってるかもしれない。)

「んー? やっぱり綺麗な人だなって思うし、ただ意外と不器用な人だと思うよ!」
「そっか! ありがとう。」

 こうしてバタバタしたランチタイムは過ぎていった。

 ・
 ・
 ・

 放課後には会長親衛隊のメンバーでお茶会が開催された。
 今日は織部が作ってきたお菓子を皆で摘まみながら雑談をしていた。
(織部の意外な一面を見れたな……。ただ今見てもそんな頭の切れるようには見えないけど。)

「あっ! 藤岡くん今失礼なこと考えたでしょー! 笑」
「えっ!? いやいやそんなわけ笑」
(いやまじでバレるとは思わなかった……)

 
 - 寮 (夜)

 ……プルル……プルル
「もしもし?」
「あっ! 幸輝だ。どうかした?」
「いやわかったことがあって……。この学園至るところに隠しカメラがあるみたい。」
「えっ!? 安全のためなら隠す必要なさそうだし、手がかりかもね……。」
「あぁ俺もそう思う。」

「なるほど、私は……」 
「雫ー? 私のパーカー知らない?」
「お姉ちゃん! わかんない! 今電話中だから……!」
「んー? あっ! 幸輝じゃん! 遠距離中だからって浮気したら許さんぞ! 雫を泣かせたら私がぼこぼこにするからね?」

「げっ! 彩ねぇ……わかってるし! 浮気なんかしねーよ!」
(彼女は雪城 彩音ゆきしろ あやね。雫の2個上の姉貴で俺にとっても姉みたいな人。それで響と両片思いである。)

「そういえば幸輝はどこにいるんだっけ? 雫から聞いたけど忘れた。」
「俺は今、響が通ってた光の上学園にいるよ。」
「!……。」

(……やっぱり彩ねぇもこの学園が気になってたんだ。)

「そこは……王道学園のところじゃない!」
「えっ?」
「俺様会長、美人系副会長、チャラ男会計、無口系書記、双子の庶務! まさに王道学園!」
「まぁだいたいそんな面子だけど、王道学園?」
「あぁ!気にしないで!こっちの話!」
「というかそこは何人も行方不明者が出てるんだから危ないんじゃない……。」
「行方不明者がいること知ってるの?」
「あぁ……。響がいなくなって独自に調べてみたんだ。」
「響がいなくなったのは私のせいだよ。」

「えっ!? どういうこと!?」
「私が響に言ったんだ……。本物の王道学園があるなら見てみたい! って」
「そしたら響がそれっぽいとこ発見したよって言うからチャラ男会計で潜入してくれないって頼んじゃった……。」
「響は優しいからそれで潜入してくれたんだ……。よく調べもしないで学園に潜入させちゃったから……響は……。」

「彩ねぇのせいじゃないよ。」
(たぶん響に俺や雫、他の誰かがそう頼んだとしても実行しないだろうし、彩ねぇの願いを叶えてあげたいっていう響の意思だろ。というか彩ねぇのためだったのか……。人脈づくりじゃねぇじゃん。)

「それに行方不明になるのは、学園で何かが起こってるからだ。彩ねぇがそれに関わらせたいなんて思ってたことはわかるし、絶対に彩ねぇのせいじゃない!」
「……ありがとう。幸輝カッコいいこと言うようになったじゃない笑」
「雫が惚れるのもわかるわー笑」
「お姉ちゃん!!」
「まぁ幸輝……。気をつけなね。それに雫も。」
「うん。ありがとう。ん?雫も何か危険なことが?」
「やばっ!お姉ちゃん!」

 ……切れた。


 雫に何か危険が迫っているんだろうか……。こういうときに離れた場所にいると不安だ。
 
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