親衛隊隊長だけど彼女がいます!

kira

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(16)勉強会!

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  とりあえず勉強会を放課後の2年A組で行うことにした。雫たちがいつ勉強会をするのかは聞きそびれたが、部活動停止から定期テストまで毎日勉強会をしてればいつかかち合うだろう。
 野口、香、乾くんにそれぞれメッセージを送った。みんなその期間は暇だそうだ。さっそく今日から勉強会開始だ!

 - 2年A組

「お!野口早いなー。」
「藤岡ー。今日はまじありがとう。俺まだ依頼されたこと何もしてないのに報酬もらっていいのか?」
 
 俺が教室に入るとすでに野口が待機していた。

「いいよ。無ければないでいいことだし!」
「そっか!じゃあさっそく始めるか?」
「いやまだ……」
「?」

 ガラガラ
 教室の扉が開いて、香とその背中に隠れるように乾くんが入ってきた。

「ごめーん!遅れちゃった!」
「えっ!?どういうこと!?」
「えっ?こーくん説明してないの?」
「まぁ野口ならいっかって笑」
「ひでぇ!」

 テンポの良い会話が続くが、その間乾が口を開くことはなかった。

「えっと……乾くん?」
(やはりハードルが少し高かったか。この間は結構話せたと思うんだけどな。)

「こーくん、あっくんはリラックスしてきたら話せるようになるから大丈夫!」
「了解!一応紹介しとくと、野口は……野口だ……。」
「藤岡!?説明雑すぎる!自己紹介させてもらうな、野口亮太です!
勉強が苦手です!」
「ありがとう野口くん。僕は織部香です。一応文系の科目が得意だよ。」
「俺は……しなくていいか。理系が得意だ。」

 この流れで乾は自己紹介できるか……?

「……俺は乾亜樹。勉強はあまりできない……。」

 みんなが感動したように乾を見る。

「いいね!生徒コンビで頑張ろ!」
「生徒コンビ?」
「そう!藤岡と織部くんは教師コンビだろ?」
「なんかいいね!」
「香、そういうあだ名みたいなの好きそうだな。」
「もうこーくん僕のことわかってるじゃん!」

 空気がほぐれたところで勉強を開始した。各々がテスト範囲を勉強しつつ、わからないところがあれば俺や香に聞く方式だ。





「ふ、藤岡くん……。」
「乾くん質問?」
「うん。ここの問題なんだけど……」

「あ、野口くんここ間違えてるよ。」
「え、まじ?何が違うかわからない……。」
「副詞は……」

 互いに質問し合いながら有意義な時間を過ごせたと思う。

「みんなで勉強すると、1人でやるより効率良くていいな!提案した俺天才だわ。」
「これで野口が赤点取ったらウケるけどな。」
「やめろよ!言霊になるだろ!」
「ふふ、今回俺はたくさん質問できるから成績あがるかもしれない。」
「待って!生徒コンビ同士仲良くしようぜ!置いていかないで乾!」
「実際、今日教えてる感じ、あっくんは伸びそうだよー?」
「ほんとにやばいじゃん俺!」

 乾も緊張しなくなったみたいだし、この調子で成績アップを狙いに今後もみんなで勉強会をしていくこととなった。
(今日は雫たちいなかったな。乾がこのメンツに緊張しなくなったなら、2人をまぜての勉強会もいいかもしれない。)

 夕方ということもあり、今日の勉強会は終了となった。
「じゃあほんとにありがとなー!」
「僕も勉強になったよ!」
「おう!俺も勉強になったわ。」
「そうだ!僕の部屋でスイーツでも食べてかない?」
「昨日眠れなくてたくさん作っちゃったんだよねー!」
「いいね!勉強後はやっぱり甘いものでしょ!」

 先に野口と香が昇降口へと向かう。

「藤岡くん」
 背後から乾に呼び止められ、振り返る。

「どうかしたか?」
「今日は本当にありがとう。」
「いやいや全然!」
「きっと先輩に押しつけられたのに、ちゃんと教えてくれて嬉しかった。」

(あっ、さすがに蘭丸先輩が俺に押しつけたことはわかってたんだ。)

「良ければなんだけど幸輝って呼んでもいい?」
「もちろん!じゃあ俺も亜樹って呼ぼうかな?」

 呼び捨てで乾のことを呼ぶと、乾は真っ赤な顔になった。照れたのかと思ったが、窓から入る夕日のせいだろう。

「早く行かないと2人に置いてかれるぞ?」
 そう言って俺は昇降口へと向かった。

「……あの笑顔は反則じゃない?」
 乾がそう呟いていたのは俺には聞こえていなかった。





 - 寮 (香の部屋)
 香の部屋に入ると甘い匂いが充満していた。

「良い匂いー!」
「あはは、ありがとう!マドレーヌとマカロンと色々作ったよ!」
「本当に眠れなかったんだな……笑」
「まさか織部くんの手作りお菓子が食べれるなんて……!」
「野口?何に感動してるんだ?」
「織部くんのお菓子は美味しいって有名なんだけど、選ばれた人しか食べれないって噂なんだ!」
「俺は4回目」
「乾ー!マウントなんてひどいぞ!」

 野口が乾のドヤ顔を見て、泣き真似をする。俺がもっと食べているっていうのは黙っといた方が懸命だろう。

「僕は知り合いに渡してるだけだよ!急に見知らぬ人にお菓子配り始めたら怖いでしょ?」
「それならばこの野口に今後もくれるってことですか?」
「いや野口は考えとく。」
「なんでだよ!」

「そうだ。飲み物って何かあるか?」
「実はないんだよね。水しかここにはないかもー。」
「じゃあ俺、買ってくるよ!」
「本当に!こーくんありがとう!僕、紅茶!」
「俺はサイダー!」
「俺はコーヒー。一緒に行くよ?」
「香が紅茶、野口サイダー、亜樹コーヒー。おっけー。大丈夫!俺1人でいいよ!」

 俺は皆に頼まれた飲み物を忘れないように、すばやく部屋を出た。

 (売店でもいいけど、自販機の方が近いし自販機でいいか。)

 自販機の方に行くと話し声が聞こえてくる。

「君は何者?」
「えっと……?どういう……。」
「だいたいこの学園に転校生としてくるのは、何か事情があるやつだけなんだ。」
「ぐ、偶然この学園の案内を見て……。」
「ふーん?」
「……」

 自販機の前で雫が蘭丸先輩に追い詰められている。雫はうまい言い訳が思いつかないようだ。あまり得策ではないが、割り入るしかないかも……。そう考えているとそこにまた新たな人影が現れた。

「夢野と……転校生?」
「あっ!会長ーこんばんはー」
「夢野……おまえまでこれに?」
「違うよ!もう……転校生くん行っていいよ。」
「あっはい!失礼します!」

 俺の隣を雫が走り去っていく。目があった。俺も雫の後を追おうとした。

「藤岡くん?どこ行くのかな?」
「?幸輝がいるのか?」

 行こうとしたが、蘭丸先輩に呼び止められてしまった。それのせいで会長も俺のことを探している。出ていくしかない。

「気づいてたんですか?」
「もっちろん!会長は気づいてないみたいだったけど笑」
「俺は今来たばかりだろうが!」

 俺もさっき来たばっかりだが……。

「藤岡くんも来たばっかりだけど?まぁそれより会長!なんで幸輝って呼んでるの!?」
「前に自己紹介されたからだが……?それに俺の親衛隊だからな。」
「ひどいよ幸輝くん!俺のときは名字しか言わなかったじゃないか!」
「あはは……。すみません。」
(一瞬で呼び方が変わったな。)

「それにしても夢野は転校生と何の話を?」
「俺も気になってました!」
「あぁ転校生の正体ってなんだろうなって。」
「正体?普通の転校生だろ。ダサいけど。」
「それがこの学園じゃ違うんだって!これまでこの学園に来た転校生は、だいたい学園長の息子、義理の息子、先生の弟とか身内ばっかりなんだよ。」
「へぇー。外部からはないってことか。」
「そう!最初は外部ってされてても後から判明するとか!」
「そうなんですね……。」
(それはまずいな。雫は特に身内じゃないぞ。入学前に調べたって言ってたけど擬装されてたんだな……。)

「だからあの転校生は何者かなーって興味!」
「俺は興味ないな。おまえが転校生に惚れたのかと思って気になっただけだし。」
「会長!違うって言ってるじゃん!」
「わかったわかった。」
「じゃあ幸輝またな。」

 ガコン
 会長はコーヒーを買って、帰っていった。

「もうー。そういえば幸輝くんはどうしてここに?」
「飲み物買いに来たんです。勉強お疲れ様会してて。」
「あー亜樹くんのね!」
「はい。先輩に押しつけられた役割ですけど。」
「あははー怒ってる?ごめんね笑」
「でも亜樹くんにももっと心が開ける人がいればいいなと思ったんだー。」
「なるほど...意外と考えてるんですね。」
「俺先輩だけど?笑」
「すみません。今香が作ったお菓子食べるんですけど来ますか?」
(やはり先輩は気がまわるんだな。せっかくだし誘っとくか。香も喜ぶだろ。)

「あー。嬉しい誘いなんだけど、俺を待ってる子がいてね!」
 蘭丸先輩がウィンクをしながら答える。

「あっ、そうですかー。」
(そういえば遊び人って言ってたな。)

「また誘ってねー!そうだ連絡先交換しよー!」

 さくっと先輩と連絡先を交換し、頼まれた飲み物を買って帰る。こっちに手を振ってきたが、頭を軽く下げてさっさと帰った。

(蘭丸先輩だいぶ長い間話してたけど、待ってるやつはいいんだろうか。まぁファンなら別にどれくらいでも待つか。)





 部屋の前までやってきたが、飲み物で手が塞がって開けられない。チャイムでも鳴らそうとしたとき扉が勝手に開いた。

「わっ!」
「悪い待たせたか?」
「う、うん。探しにいこうとしてた。」

 乾が俺を探しにいこうとしてたみたいだ。

「だから言ったろー。すぐ戻るって!」
「まぁこーくんは変なことに巻き込まれてそうだけど、結局無事に戻ってきそうだしね!」

 それに比べて、野口と香はダラダラとしたまま俺を迎えた。

「おまえらなー!せっかく買ってきた飲み物、俺と亜樹で全部飲むぞ?」
「あー!ごめんごめん!」
「ごめん!飲み物ください!」




 こうして香のお菓子を楽しみながら、勉強会お疲れ様会の夜は更けていった。
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